神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

文字の大きさ
289 / 601
第4章

5.神々の要請書

しおりを挟む
 どういうことかと考えながら、じっとラモスとディモスを見つめ――えっと小さな声を漏らした。

「おっ、ユフィー、自力で気付いたか?」

 フレイムが嬉しそうに言う。曖昧に首肯し、アマーリエは口を開いた。

「自信はないのだけれど。この子たちの神格、これまでと変わっているわよね?」
「大正解!」
(もしかして、おめでたいことってこれ?)

 ラモスとディモスに関してめでたいことがあると、フレイムが言っていた。

「ええと。ラモス、ディモス……どういうこと?」
『主、驚かせてしまってすまない。悪いことがあったわけではない。ただ想定外の事態になったというか……』

 ラモスが答え、ディモスが続ける。

『神々のお心遣いで、予期せぬ方向にいったのです』

「想定外? 予期せぬ方恋?」

 状況が飲み込めず、伝えられた言葉を反復する。

「神々のお心遣いってどういうことなの?」
『実は、火神様の元に要請書が届いたようなのです』
「……要請書? って何の? どなたから届いたの?」
『届けて下さったのは三柱です。邪神様と泡神様、そして波神様から。邪神様はラミルファ様の方です』
「え?」

 完全に予想外の言葉に、アマーリエは目を見張った。恐縮した声音で説明したディモスが口を閉じたタイミングで、ラモスが後を引き継いだ。

『邪神様の要請書には、こう書かれていたそうだ。〝我が黒炎にも怯まず地上の主人を守った忠義者。神炎により自身や片割れが致命傷を負わされてもなお、その意思と心は揺らがず毅然としていた。感嘆すべき精神を持っている。その誇り高い魂に相応しき手厚い待遇を強く求める〟』

 驚きで言葉もないアマーリエは、軽薄な笑みでヘラヘラしている末の邪神を思い浮かべた。彼らはこちらから見えないところで、どれだけ細々と動いてくれているのだろう。

『泡神様と波神様の要請書にも、〝地上における主に対し偏に忠義篤く、その胆力には刮目する。剛強な意志に見合う懇ろな厚遇を是非に求む〟と書いていただいたとのことです』
「コイツらはマジでユフィーへの忠義が深い。オーブリーがユフィーに対してやらかした件を知った時は、何卒オーブリーに重い罰をと、あの狼神様に対して臆せず直訴したそうだぜ」

 最古神の一柱である狼神を相手に一歩も怯まず、決死の覚悟と勢いで何度も何度も懇願したという。

『同席してた泡神様と波神様も、それを見てたんだ。で、誠に天晴れ、その心意気や良しと感嘆して、要請書を書いてくれたらしい』

 フレイムが解説してくれた。そして、軽やかな動作で前に出ると、ラモスとディモスの背を両手で叩く。

「やったなお前ら! 天界でも言ったが、これで安泰だ!」

 それに追随し、葬邪神と疫神が祝意を述べる。

「うん、お前たちはもう完全に俺たちの同胞だ。歓迎しよう」
「おめでと、おめでと。身内増えた、嬉しい、楽しい」

 皆が笑顔の花を咲かせている中、一人付いていけないアマーリエはフレイムに目を向けた。

「……あの、要請書が届いて……それでどうなったの?」

 何か良いことが起こったようだが、どういうことかさっぱり分からない。

「コイツら、神になったんだよ。神使から一足飛びにステップアップだ」
「神? ……四大高位神の神使は神格を授かるのでしょう。フレイムに選ばれて火神様に承認いただいた時点で神になっていたのではないの?」
「そうなんだが、あれは最高神の使役としての箔付けのために授かる特殊な神格なんだよ。普通の神格とは違うんだ。色々と制限がかかってて、後から剥奪されることもあるし、立場だって神使のままだしな」

 神格を得る以上、広義の意味では神に含まれる存在になるものの、その身分と立ち位置はあくまで神使に留まるのだという。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?

ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十周年。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。 ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

ローザリンデの第二の人生

梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。 彼には今はもういない想い人がいた。 私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。 けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。 あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。 吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 1/10 HOTランキング2位、ありがとうございます。

侯爵令嬢ソフィアの結婚

今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる 美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた 結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて… 表紙はかなさんです✨ ありがとうございます😊 2024.07.05

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

処理中です...