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第5章
7.疫神は何派?
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疫神と葬邪神が、そろってライナスに手をかざす。時空神もじっと愛し子を見つめた。
「うぅん、不具合を起こしておる様子も無しか」
「うん、悪いトコ、ない」
「そのようだ。きちんと動作している」
「俺が試した時はソッコー反応したんで、機能不全とかじゃないと思いますよ」
フレイムに続き、アマーリエも控えめに口を挟んだ。
「ライナス様とランドルフ君とルルアージュちゃん、三人とも発動しなかったのですよね。仮に不具合があったとしても、三人の防御壁に同時に障害が起こるのは不自然ではありませんか?」
「確かにそうだ」
時空神が首肯した。葬邪神が腕組みして宙を睨む。
「悪神同士の力で相殺された……いや、それはないな。悪神の強硬派が襲撃することも想定して、中和されんように調整している。となると……何故だろう、分からんなぁ」
「我もお試ししてみる。念のため。ライナス、エスティ、ごめんね。ちょっぴりだけ、怖いの我慢する、大丈夫?」
「はい」
「ディス、軽くで頼む。この子はつい先ほども焔神様の気を受けたばかりだ」
「我、了解。ちょっぴりね、ちょっぴり」
疫神が軽く殺気を出した。すぐさま防御の壁がそそり立つ。
「うん、相手が悪神でもちゃんと反応するなぁ」
「シュナ、半分寝てて意識ボンヤリだから、壁すり抜けた?」
「いや、覚醒の程度はどうあれ、傷付けようという思考があれば起動するはずだ。襲って来たという虎の様子やこの部屋の状況を見聞きする限り、確実に害意はあったはずなんだが」
選ばれし神の敵意を短時間で二度も向けられたライナスはフラフラになっており、ランドルフとルルアージュが心配そうに両脇から支えている。彼らの頭上から回復の神威を振りかける時空神が、細い眉を曇らせて言った。
「念のため、今宵はこの子たちの側にいる。私は焔神様のように特別降臨をしているわけではないが、愛し子に関わることならば一晩くらいは許されるはずだ」
愛し子やそれに匹敵する存在のためならば、降臨の制限や条件が緩和されるのだ。ライナスが頷いた。
「あなたがいて下されば助かります。また襲撃があれば事ですので、イステンド大公邸の使用人たちは数日ほど別邸に移ってもらいます」
さすがは年の功か、すっかり落ち着きを取り戻した瞳がランドルフとルルアージュに据えられた。
「また損壊する可能性を考えると、このイステンド大公邸よりも、私が聖威師として持っている私邸にいた方が良い。大公邸には歴史的な価値の高い物も多いから、後で復元することは可能とはいえ、極力壊したくない。フェルとアリアも、今夜は私の邸に来なさい」
「はいー」
「仰せのままに、お祖父様」
「ローナとセインももう来るだろうから、事情を念話して私の邸の方に来てもらおう。夜勤のオーネリア様とリーリア、皇国の聖威師にも念話で説明し、警戒を怠らないよう言っておく」
続けて放たれた台詞に、内輪ではフルードのことも秘め名で呼んでいるのだと知り、アマーリエは何となく嬉しくなった。
(フルード様がご立派なお義父様を得られて良かったわ)
何しろ、実父は最悪の虐待野郎だったと聞く。その分、優しく思いやりのある義父にたんまり可愛がられていて欲しい。
「そうだな、家族で固まるのが良いだろう。フルードが一緒なら、もれなくラミと規格外神器も付いて来るからなおさら安心だ。俺は一度天界に還り、他の主神にも事情を説明しておこう」
「我も、天界戻る。シュナの領域、見て来る。強硬派の神、変なことしてないかも、確認する」
はいはーいと手を挙げた疫神に、フレイムが問いかけた。
「そういえば今更ですけど、あなたは何派なんですか、疫神様?」
「我? ……断然、強硬派。それ一択。聖威師、神。神、天にいるべき。これ真理」
一瞬の間を開け、恐ろしい返答が返る。アマーリエたちは一気に身を硬くした。だが、幼児姿の神はくりんと瞳を回し、でも、と続けた。
「でも、我、最初勘違いした、アマーリエ泣かせちゃった。反省の極み。だから、尊重派の真似事、してあげる。お詫びの証。それに、強硬派だけど、力ずくで手にかける、しない。初め、それで雛たち怖がらせちゃった。どっぷり後悔中」
「……ふ~ん、そうですか。強硬派なんですか、へぇ~。……ま、襲いかかって来ないなら良いですけど」
フレイムが嘆息した。何派にいくか、何を考えてどう行動するかは、各々の神の自由だ。外野が強制できることではない。
「うぅん、不具合を起こしておる様子も無しか」
「うん、悪いトコ、ない」
「そのようだ。きちんと動作している」
「俺が試した時はソッコー反応したんで、機能不全とかじゃないと思いますよ」
フレイムに続き、アマーリエも控えめに口を挟んだ。
「ライナス様とランドルフ君とルルアージュちゃん、三人とも発動しなかったのですよね。仮に不具合があったとしても、三人の防御壁に同時に障害が起こるのは不自然ではありませんか?」
「確かにそうだ」
時空神が首肯した。葬邪神が腕組みして宙を睨む。
「悪神同士の力で相殺された……いや、それはないな。悪神の強硬派が襲撃することも想定して、中和されんように調整している。となると……何故だろう、分からんなぁ」
「我もお試ししてみる。念のため。ライナス、エスティ、ごめんね。ちょっぴりだけ、怖いの我慢する、大丈夫?」
「はい」
「ディス、軽くで頼む。この子はつい先ほども焔神様の気を受けたばかりだ」
「我、了解。ちょっぴりね、ちょっぴり」
疫神が軽く殺気を出した。すぐさま防御の壁がそそり立つ。
「うん、相手が悪神でもちゃんと反応するなぁ」
「シュナ、半分寝てて意識ボンヤリだから、壁すり抜けた?」
「いや、覚醒の程度はどうあれ、傷付けようという思考があれば起動するはずだ。襲って来たという虎の様子やこの部屋の状況を見聞きする限り、確実に害意はあったはずなんだが」
選ばれし神の敵意を短時間で二度も向けられたライナスはフラフラになっており、ランドルフとルルアージュが心配そうに両脇から支えている。彼らの頭上から回復の神威を振りかける時空神が、細い眉を曇らせて言った。
「念のため、今宵はこの子たちの側にいる。私は焔神様のように特別降臨をしているわけではないが、愛し子に関わることならば一晩くらいは許されるはずだ」
愛し子やそれに匹敵する存在のためならば、降臨の制限や条件が緩和されるのだ。ライナスが頷いた。
「あなたがいて下されば助かります。また襲撃があれば事ですので、イステンド大公邸の使用人たちは数日ほど別邸に移ってもらいます」
さすがは年の功か、すっかり落ち着きを取り戻した瞳がランドルフとルルアージュに据えられた。
「また損壊する可能性を考えると、このイステンド大公邸よりも、私が聖威師として持っている私邸にいた方が良い。大公邸には歴史的な価値の高い物も多いから、後で復元することは可能とはいえ、極力壊したくない。フェルとアリアも、今夜は私の邸に来なさい」
「はいー」
「仰せのままに、お祖父様」
「ローナとセインももう来るだろうから、事情を念話して私の邸の方に来てもらおう。夜勤のオーネリア様とリーリア、皇国の聖威師にも念話で説明し、警戒を怠らないよう言っておく」
続けて放たれた台詞に、内輪ではフルードのことも秘め名で呼んでいるのだと知り、アマーリエは何となく嬉しくなった。
(フルード様がご立派なお義父様を得られて良かったわ)
何しろ、実父は最悪の虐待野郎だったと聞く。その分、優しく思いやりのある義父にたんまり可愛がられていて欲しい。
「そうだな、家族で固まるのが良いだろう。フルードが一緒なら、もれなくラミと規格外神器も付いて来るからなおさら安心だ。俺は一度天界に還り、他の主神にも事情を説明しておこう」
「我も、天界戻る。シュナの領域、見て来る。強硬派の神、変なことしてないかも、確認する」
はいはーいと手を挙げた疫神に、フレイムが問いかけた。
「そういえば今更ですけど、あなたは何派なんですか、疫神様?」
「我? ……断然、強硬派。それ一択。聖威師、神。神、天にいるべき。これ真理」
一瞬の間を開け、恐ろしい返答が返る。アマーリエたちは一気に身を硬くした。だが、幼児姿の神はくりんと瞳を回し、でも、と続けた。
「でも、我、最初勘違いした、アマーリエ泣かせちゃった。反省の極み。だから、尊重派の真似事、してあげる。お詫びの証。それに、強硬派だけど、力ずくで手にかける、しない。初め、それで雛たち怖がらせちゃった。どっぷり後悔中」
「……ふ~ん、そうですか。強硬派なんですか、へぇ~。……ま、襲いかかって来ないなら良いですけど」
フレイムが嘆息した。何派にいくか、何を考えてどう行動するかは、各々の神の自由だ。外野が強制できることではない。
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