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第5章
9.寝言の内容は秘密
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「ふぅ……」
見慣れた我が邸に帰ると、自然と力が抜ける。テーブルクロスがかかった食卓を見ると、急に空腹を感じた。渡すはずだった差し入れのバスケットがぽつんと置かれているが、冷めても美味しいものばかりなので問題はないだろう。
「もう少ししたらライナスたちの方も落ち着くだろ。その頃に転送するか。それよりラモスとディモスだ」
「ええ、念話するわ」
すぐに聖獣たちと連絡を取り、大急ぎで返って来てもらう。聖威師が襲撃されたと聞いた二頭は、文字通りすっ飛んで来た。アマーリエはフレイムと共に、事情を説明する。
「……ということだから、今回の件が解決するまでは、なるべく私たちと同じ部屋にいてちょうだい。明日、フルード様かアシュトン様に、解決まであなたたちを神官府に帯同させていただきたいと打診するわ」
状況が状況であることと、二頭は獣版の聖威師なので、許可はもらえそうな気がする。
「ただ、子どもの神官や猛獣が苦手な人もいるでしょうから……普段は猫の姿になってもらうかもしれないわ。ごめんなさい」
『私たちは全く構わない。猫でも犬でも主の注文通りに変化する』
『就寝時はご主人様の自室の続き部屋にでも控えさせていただけましたら……』
普段の聖獣たちは、アマーリエとは別の部屋で寝ている。理由は簡単、アマーリエとフレイムが毎晩仲良くしているからだ。頰を染めてうっと詰まったアマーリエに対し、フレイムは平然としている。
「あー、とりあえず今夜は一緒にいろ。な?」
さすがに、襲撃があったその日の夜に、呑気に事に及ぶつもりはないらしい。当然だが。
「そ、そうよ、それが良いわ」
コクコク頷いた瞬間、くぅと小さな音が鳴る。
(あ……)
全員の視線が集中した。発生源のアマーリエは、頰を熱くしながら腹を押さえた。
「ご、ごめんなさい。何だかお腹が空いてしまって」
「そうだな、話はいったん置いといて夕食にしようぜ。ラモスとディモスの肉も用意してあるから」
一気に空気が緩む。ラモスとディモスがピョンと尾を振り、小さく噴き出したフレイムが形代に夕食の配膳を命じた。アマーリエはすごすごとイスに腰掛ける。
「恥ずかしいわ……」
「恥ずかしくなんかねえよ。ユフィーは何だって可愛い。腹の音だけじゃなく寝言とかもな」
「私、寝言を言っているの!?」
先日、葬邪神と疫神にも同じことを聞いた気がする。
(変なことを言っていたりしないかしら)
なお、以前佳良から聞いた話では、紅日皇后日香は時折昼寝をしているそうだ。盛夏だろうが真冬だろうが関係なく、自身の宮の庭園でドデーンと大の字になって爆睡し、『はっ、これしきの量で私が満腹になるわけないでしょ~! 全部食べ尽くしてやるぅ、かかってこぉい!』と叫んでいたところを、やって来た黇死皇秀峰に蹴り起こされていたこともあるらしい。
「んー? まぁそんな恥ずかしいことは言ってねえよ。それより、腹減ってるみたいだからアミューズとスープにオードブル、まとめて持って来させた」
「やったわ、もうお腹ぺこぺこよ!」
形代が夕食の配膳を始め、すぐに夕食に関心が移ったアマーリエが目を輝かせる。テーブルの下座では聖獣たちも肉に飛び付いていた。
「今日はポタージュね」
透き通ったコンソメスープも美味しいが、空腹な時は食べでのあるポタージュの方が嬉しい。
「パンプキンピューレにミルクと生クリームを入れたんだ」
大喜びでカトラリーに手を伸ばす愛妻の姿を見ながら、フレイムはただにこにこしている。
……余談だが、アマーリエはよく、『ん……フレイム……だいしゅき……』とうにゃうにゃ寝言を言う。フレイムはそのたびに愛しすぎて悶え死にそうになっているのだが……それは彼だけの秘密だ。
見慣れた我が邸に帰ると、自然と力が抜ける。テーブルクロスがかかった食卓を見ると、急に空腹を感じた。渡すはずだった差し入れのバスケットがぽつんと置かれているが、冷めても美味しいものばかりなので問題はないだろう。
「もう少ししたらライナスたちの方も落ち着くだろ。その頃に転送するか。それよりラモスとディモスだ」
「ええ、念話するわ」
すぐに聖獣たちと連絡を取り、大急ぎで返って来てもらう。聖威師が襲撃されたと聞いた二頭は、文字通りすっ飛んで来た。アマーリエはフレイムと共に、事情を説明する。
「……ということだから、今回の件が解決するまでは、なるべく私たちと同じ部屋にいてちょうだい。明日、フルード様かアシュトン様に、解決まであなたたちを神官府に帯同させていただきたいと打診するわ」
状況が状況であることと、二頭は獣版の聖威師なので、許可はもらえそうな気がする。
「ただ、子どもの神官や猛獣が苦手な人もいるでしょうから……普段は猫の姿になってもらうかもしれないわ。ごめんなさい」
『私たちは全く構わない。猫でも犬でも主の注文通りに変化する』
『就寝時はご主人様の自室の続き部屋にでも控えさせていただけましたら……』
普段の聖獣たちは、アマーリエとは別の部屋で寝ている。理由は簡単、アマーリエとフレイムが毎晩仲良くしているからだ。頰を染めてうっと詰まったアマーリエに対し、フレイムは平然としている。
「あー、とりあえず今夜は一緒にいろ。な?」
さすがに、襲撃があったその日の夜に、呑気に事に及ぶつもりはないらしい。当然だが。
「そ、そうよ、それが良いわ」
コクコク頷いた瞬間、くぅと小さな音が鳴る。
(あ……)
全員の視線が集中した。発生源のアマーリエは、頰を熱くしながら腹を押さえた。
「ご、ごめんなさい。何だかお腹が空いてしまって」
「そうだな、話はいったん置いといて夕食にしようぜ。ラモスとディモスの肉も用意してあるから」
一気に空気が緩む。ラモスとディモスがピョンと尾を振り、小さく噴き出したフレイムが形代に夕食の配膳を命じた。アマーリエはすごすごとイスに腰掛ける。
「恥ずかしいわ……」
「恥ずかしくなんかねえよ。ユフィーは何だって可愛い。腹の音だけじゃなく寝言とかもな」
「私、寝言を言っているの!?」
先日、葬邪神と疫神にも同じことを聞いた気がする。
(変なことを言っていたりしないかしら)
なお、以前佳良から聞いた話では、紅日皇后日香は時折昼寝をしているそうだ。盛夏だろうが真冬だろうが関係なく、自身の宮の庭園でドデーンと大の字になって爆睡し、『はっ、これしきの量で私が満腹になるわけないでしょ~! 全部食べ尽くしてやるぅ、かかってこぉい!』と叫んでいたところを、やって来た黇死皇秀峰に蹴り起こされていたこともあるらしい。
「んー? まぁそんな恥ずかしいことは言ってねえよ。それより、腹減ってるみたいだからアミューズとスープにオードブル、まとめて持って来させた」
「やったわ、もうお腹ぺこぺこよ!」
形代が夕食の配膳を始め、すぐに夕食に関心が移ったアマーリエが目を輝かせる。テーブルの下座では聖獣たちも肉に飛び付いていた。
「今日はポタージュね」
透き通ったコンソメスープも美味しいが、空腹な時は食べでのあるポタージュの方が嬉しい。
「パンプキンピューレにミルクと生クリームを入れたんだ」
大喜びでカトラリーに手を伸ばす愛妻の姿を見ながら、フレイムはただにこにこしている。
……余談だが、アマーリエはよく、『ん……フレイム……だいしゅき……』とうにゃうにゃ寝言を言う。フレイムはそのたびに愛しすぎて悶え死にそうになっているのだが……それは彼だけの秘密だ。
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