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・水田
10 むいみなしっと
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「懲りないね、ほんと馬鹿」
姿見前で女の子になる。公園は駄目だけど、やっぱ外に行きたい。コンビニまで行くことにした。っていっても真夜中じゃなくてまた人が居る時間、夕方ちょっと。これなら不審者──人の事は言えないけど。に会っても逃げれる、ちゃんとスニーカーにしたし。
相変わらずミニスカートしか持ってないから、ストッキングを履いて軽めの服で外へ。……緊張する。
「水田くんの妹さん、久しぶりだね」
「へ、あっ、」
「体調大丈夫……? 最近見かけないから心配してたんだ」
「大丈夫、です……」
「どっか行くの?」
「そこのコンビニへ」
できる限り高い声で、でも出しづらくてたどたどしくなっちゃう。
心配してくれて嬉しい。
「んじゃ、一緒に行っていいかな? この前みたいな男がいたら心配だし、近いとは言え……どうかな?」
「あ、はい。お願いします……」
「じゃあ待ってて」と部屋に戻ってく古谷さん。戻ってくると鞄を持っててじゃあ行こうか、と手を差し伸べてきた。
え、って固まると彼は少し照れながら「妹みたいでつい、」と言うから遠慮がちに彼の手を握った。
好きな人の手を握ってる。俺だって知ったら気持ちがられそう。
「そういや名前……僕の名前は古谷冬馬っていいます、君のお兄さんと隣人で……友人です」
「わたし、の名前は……水田圭子です」
「へぇ、兄妹で名前が似てるんだね」
「はい、」
「じゃあ、ケイちゃんって呼んでもいい?」
「えっ?!」
再び自己紹介して、名前はほぼ同じだけど圭子にした。したらあだ名で呼ばれる事になって嬉しいけど、俺の時は苗字なのに……と自分に嫉妬してしまった。
手を繋ぎながら彼の隣を歩く。ちゃんと女の子出来てるんだろうか、心配で歩みが遅くなる。けど、彼はそんな自分に合わせてゆっくり歩いてくれた。
まだ少し暑いむわっとする外──緊張と手汗大丈夫かなと心配。
「ケイちゃんは何買う?」
「えっと、アイス買おうかな、」
「いいね。僕も冷たいの買おう」
コンビニに着いて、ヒンヤリコーナーに向かう。アイスとか氷の入ったカップとかがある。カップは店内にあるコーヒーとかを注ぐようだけど、さすがに持って帰るのは面倒くさいかな。無難にソフトクリーム系を買ってホットスナックも唐揚げ系とアメリカンドッグも買って。
「僕も酒のツマミ買っちゃった。」
「私も、あれついつい見ちゃうと買っちゃいます」
横断歩道で信号待ちしてたら、人々の間に──あの男が居た。やつは俺に気付いてないけど、でも……古谷さんの手をギュッと掴み目を閉じた。
「大丈夫だよ、こっち側に来て。僕の側から離れない様にまっすぐ歩いてね」
「うん。」
ドキドキ、鼓動が打つ。さっきの手を繋ぐだけでも緊張したのに、彼に腰を抱かれ身体が密着する。彼が盾になってくれてるおかげで自分に気づいてない男は通り過ぎた。
「と、ゴメンね。」
「へ、」
「咄嗟にだったけど、腰に手を当てちゃって」
「ううん、むしろ……」
「むしろ?」
むしろ、嬉しかった。心のなかでそう言ったつもりが、言葉が出てたらしくて、顔が真っ赤になる。前髪とマスクで見えないはずだけど、古谷さんの顔が見れない──!
「ケイちゃん、可愛いな」
「わ、私が……ですか?」
「うん、可愛い」
でもヒゲも生えっぱなんだよね、と心の中で乾いた笑いが出る。好きな人にそう言ってもらえて嬉しい。
本当に女の子なら──無意味な事を考えて頭を振る。
「どうした、大丈夫?」
「大丈夫、です。アイス溶けちゃうから早く部屋に戻らないと──」
「ね、僕の部屋で食べない?」
「え、それは……」
繋いでた手を引かれ彼の部屋に入った。まずい、ヒゲ生えっぱなんだよ。
このままじゃ食べれない……アイス……っ
姿見前で女の子になる。公園は駄目だけど、やっぱ外に行きたい。コンビニまで行くことにした。っていっても真夜中じゃなくてまた人が居る時間、夕方ちょっと。これなら不審者──人の事は言えないけど。に会っても逃げれる、ちゃんとスニーカーにしたし。
相変わらずミニスカートしか持ってないから、ストッキングを履いて軽めの服で外へ。……緊張する。
「水田くんの妹さん、久しぶりだね」
「へ、あっ、」
「体調大丈夫……? 最近見かけないから心配してたんだ」
「大丈夫、です……」
「どっか行くの?」
「そこのコンビニへ」
できる限り高い声で、でも出しづらくてたどたどしくなっちゃう。
心配してくれて嬉しい。
「んじゃ、一緒に行っていいかな? この前みたいな男がいたら心配だし、近いとは言え……どうかな?」
「あ、はい。お願いします……」
「じゃあ待ってて」と部屋に戻ってく古谷さん。戻ってくると鞄を持っててじゃあ行こうか、と手を差し伸べてきた。
え、って固まると彼は少し照れながら「妹みたいでつい、」と言うから遠慮がちに彼の手を握った。
好きな人の手を握ってる。俺だって知ったら気持ちがられそう。
「そういや名前……僕の名前は古谷冬馬っていいます、君のお兄さんと隣人で……友人です」
「わたし、の名前は……水田圭子です」
「へぇ、兄妹で名前が似てるんだね」
「はい、」
「じゃあ、ケイちゃんって呼んでもいい?」
「えっ?!」
再び自己紹介して、名前はほぼ同じだけど圭子にした。したらあだ名で呼ばれる事になって嬉しいけど、俺の時は苗字なのに……と自分に嫉妬してしまった。
手を繋ぎながら彼の隣を歩く。ちゃんと女の子出来てるんだろうか、心配で歩みが遅くなる。けど、彼はそんな自分に合わせてゆっくり歩いてくれた。
まだ少し暑いむわっとする外──緊張と手汗大丈夫かなと心配。
「ケイちゃんは何買う?」
「えっと、アイス買おうかな、」
「いいね。僕も冷たいの買おう」
コンビニに着いて、ヒンヤリコーナーに向かう。アイスとか氷の入ったカップとかがある。カップは店内にあるコーヒーとかを注ぐようだけど、さすがに持って帰るのは面倒くさいかな。無難にソフトクリーム系を買ってホットスナックも唐揚げ系とアメリカンドッグも買って。
「僕も酒のツマミ買っちゃった。」
「私も、あれついつい見ちゃうと買っちゃいます」
横断歩道で信号待ちしてたら、人々の間に──あの男が居た。やつは俺に気付いてないけど、でも……古谷さんの手をギュッと掴み目を閉じた。
「大丈夫だよ、こっち側に来て。僕の側から離れない様にまっすぐ歩いてね」
「うん。」
ドキドキ、鼓動が打つ。さっきの手を繋ぐだけでも緊張したのに、彼に腰を抱かれ身体が密着する。彼が盾になってくれてるおかげで自分に気づいてない男は通り過ぎた。
「と、ゴメンね。」
「へ、」
「咄嗟にだったけど、腰に手を当てちゃって」
「ううん、むしろ……」
「むしろ?」
むしろ、嬉しかった。心のなかでそう言ったつもりが、言葉が出てたらしくて、顔が真っ赤になる。前髪とマスクで見えないはずだけど、古谷さんの顔が見れない──!
「ケイちゃん、可愛いな」
「わ、私が……ですか?」
「うん、可愛い」
でもヒゲも生えっぱなんだよね、と心の中で乾いた笑いが出る。好きな人にそう言ってもらえて嬉しい。
本当に女の子なら──無意味な事を考えて頭を振る。
「どうした、大丈夫?」
「大丈夫、です。アイス溶けちゃうから早く部屋に戻らないと──」
「ね、僕の部屋で食べない?」
「え、それは……」
繋いでた手を引かれ彼の部屋に入った。まずい、ヒゲ生えっぱなんだよ。
このままじゃ食べれない……アイス……っ
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