終∶もだもだする話

加速・D・歩

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・古谷

3 騙し

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 朝、起きて『恋人がいたら申し訳ない』って謝られたけど、居ないよというと彼はホっとした表情になった。これは完全に脈アリだよなと思いつつもどう、俺達が恋人になるかと考える。過去の雑談から過去の恋人は全員異性だったし……

 
 その日は、兄貴が出した本がどう売られてるか近場の本屋に向かった。
 そこには“今注目の!”みたいな専用コーナーに兄貴の動画音声が流れつつ本が積んであった。たまに人が寄ってきて興味深そうに本を手に取ってくれてた。

 と、目の端に写ったのはケイで、話しかけるとビックリされた。前に本屋で働いてると聞いてたけどこの店舗だったとは。『緑のエプロンが似合うね』と伝えると照れたように笑った。少し雑談してたら彼が呼ばれお邪魔したな、とその日は帰った。

 兄貴に『本が売ってたよ』と伝えると彼は嬉しそうにしてた。そういや、気になることがあってもう一回あの本屋に向かうとケイは居なかったけど、同僚の人に話しかけられた。

『この前、水田と親しかった人ですね』
『ええ、隣人で仲良くさせてもらってます』
『お兄ちゃんが出来たって喜んでましたよ』
『兄ですか、彼は妹は……』
『水田、一人っ子ですよ』

 へぇ。同僚は最近自分達の兄弟の話をしてたらケイが羨ましそうにしてたと。これで妹=ケイは確定。まぁ、バレバレではあったが。
 次の日、ドアの音がして開けると妹の姿で出かけようとする彼を見て話しかけるとその格好でコンビニに行こうとしていた。懲りないなと思いつつも時間は夕方ぐらい。深夜に出かけるよりはマシだろう。

 1人で行かせたくなくて、一緒にコンビニに向かう事に名前考えてるのか聞くと圭子けいこと名乗った。こっちが話しかけるもんだから相槌だけでは無理があると思ったのか一応高い声を出しながら会話をするケイ。
 その姿が微笑ましい。俺は手を繋ごうと彼の手を取った。

 コンビニでアイスとか酒とか買って帰るとき横断歩道の向こうにあの時の男が人々の後ろに居るのを見かけた。ケイも見つけ震えるから男とは逆側にケイを寄せて腰に手をやって抱きながら歩く。男はケイに気づかずに通り過ぎた。

 2人でホッとしながらエレベーターに乗る。
 彼の仕草が可愛くてそれを伝えるとモジモジと照れてる。こんなのそのままバイバイする訳ないし、部屋で食べようと誘った。

 いつものテーブルに買ってきたものを広げ、ケイはアイスとホットスナック。俺はアイスと酒とつまみ。先にアイスを食べる。食べてるのはソフトクリームだけどアイスキャンデー舐めさせたい。えろっちい動画撮りてぇなぁ……

 マスクを取った彼はコッチを向かずに食べてる。顔見られたくないのか。
 酒に酔ったフリをしながら聞いてみた。

『ケイはさ、なんで女の子の格好してんの?』

 そういったら泣き出すケイ。そう意味で泣かせたいんじゃない。何故知ってるの? って事で本屋の同僚の話をすると混乱して、言葉を何度も飲み込む彼に俺は『ケイの事が好き』と伝える。けど、なんとなくいたずら心で酔ったフリでテーブルに突っ伏すと彼は部屋に帰らず俺をベッドまで運んでくれようとした。
 なんとかベッドまで行って俺を寝かせて彼は行こうとした時にケイの腕を引っ張り抱きかかえた。

 俺は寝たふりだけど、ケイは色々と疲れてた様でそのまますうすうと無防備に寝た。

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