人生フリーフォールの僕がユニークスキル【 大落下 】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のために戦ってたら知らぬ間に最強になってました~

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第3章 リンデン王国編

第140話 典型的直情型

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 慌てて宿を引き払い、「すぐに町を出ます」とゼラルギーに連絡しようとしたタイミングで、僕らはまた怪しげな一団に囲まれてしまった。しかし見栄えの華やかさは先程の者たちとは雲泥の差で、一歩前に出た代表らしき男は、「こちらに攻撃の意志はない」と僕らに語りかけた。


「意思がないと言いながら、どうやら先のやからを差し向けた親玉といったところか。どういうつもりだ?」

「フッ、失礼したな。申し訳ないが君らの力を試させてもらった。警戒に値するか否かの判断を含めて、な」


 二足歩行の小型竜に乗った、他とは明らかに雰囲気の違う綺羅きらびやかな鎧をまとった男は、宝飾品が散りばめられたヘルムを脱ぎながら形ばかりの会釈をした。男は自分のことをモルガンと名乗り、王の勅命により馳せ参じたと高飛車に自己紹介した。


「王の……? どうして貴族であろう貴殿のような立場の者が、一介の冒険者である我らなどに?」

「なに、本国のギルドマスターたっての希望でな。悪いが君らをずっとマークさせていたのさ。どうやら行動を隠す気もなく、町の民とも良好な関係を保てていたようだが、そろそろ我らも目を瞑っていられなくなってな」


 どうやら僕らの行動の大枠を把握しているのか、わざとらしく入国以来の足取りを軽く説明し終えるなり、唐突に「話をしようじゃないか」と提案してきた。八方塞がりになりつつあった僕らからすれば思ってもない提案な気もするけど、カルラはすぐにそれを却下した。


「なぜだね、君らはベルファイト鉱石とリゾナ硝石を手に入れたいのであろう。我々貴族からの提案とあらば、悪くはない話だと思うがね」


 しかし「けっ」と悪態をつきながら魔王のような悪い顔で舌打ちしたポンさんは、「けったくそ悪い奴らやで」と言い捨てた。


「おのれら、結局のところ俺らを都合よく泳がせとったっちゅうことやろ。で、嫌がらせのよに、このタイミングで声かけてきた。全部知っとるんやったら、理由なんか一つしかないわなぁ。……俺らの手元にある、。奪いとぉなったんちゃうの、あぁん? ちゃうなら反論してみぃやボケカス!?」


 しかし衛兵たちにポンさんの言葉は通じず、カルラが代弁した。
 するとモルガンは隠す気もないのか、「ビジネスの話をしようじゃないか」と衛兵らしくない口調で語りかけた。


「単刀直入に言おう。ゼラルギーに卸している価格の三倍を出す。それでソレを全て我らに売っていただきたい。どうだね?」

「ソレ~? ソレってなんなん~? ちゃ~んと言葉にしてもらわな、俺わからへ~ん!?(※以下カルラが言葉を柔らかにして代弁しております)」

「君らがアレを利用して高ランク武器を大量に精製していることは既に裏が取れているのだよ。隠し立てすることは、デイリット王以下全貴族に対する反逆と取られてもおかしくないが、いかがだろうか?」

「おいおいおい、いっきなりの脅しやで。これやからお高く止まった糞貴族は嫌いやねん。黙って聞いてたら勝手なことばっか言い腐りやがって。いてもうたろかコラァ!?」

「おやおや、随分な言い草じゃないか。ふむ、こちらの提案を飲む気はないと?」

「ア~ホ言うなやバカチン。んなもん条件次第に決まってるやないか。俺かて商売人や、人情や繋がりだけで商売成り立たんのはよ~く知ってんねん。せやけど、この沸き立つよな怒りをぶつけんわけにはいかんやろ? せやからこうやって因縁つけてんねん。思っくそ喧嘩売ってんねん。わかるやろゴラァ!?」


 怒りをぶちまけながらの二重音声で会話する両者に、僕は頭がこんがらがってきた。ポンさんもポンさんで単純に断る気はないみたいだし、どうにか自分のフィールドに引き込もうとしているのはわかるんだけど……。本当のところ、どうするつもりなんだろう?


「条件……? 最初に言ったとおり、我らが出す条件は三倍の価格と提示したと思うのだが」

「アホ抜かせ。正味の話、んなもんいくらでもええねん。肝心なんは、最終的にや。わかってるんなら結論までさっさと言わんかい、このタマ○ンフェイスのアホ坊っちゃんが!」


 こちらの出方を確かめているのか、ほんの数秒 間を開けたモルガンは、「石を売ることは可能さ」と返答した。しかし、


「当然ながら条件がある。先にも伝えたとおり、石はリンデン国内で消費し、一切持ち出すことは許さぬ。そして消費した石で作ったものについても逐一報告せよ。残念だが、これら条件を譲歩することはない」


 もともと国が石を売る気がないことを知っていた以上、恐らくこれが最大限の譲歩であることは理解できる。しかし持ち出しが不可能である以上、僕らの目的は達成できない。よって結論は……


「話にならへんな。残念やけど売られへんわ。一昨日きやがれスットコドッコイ!」

「交渉決裂、と……? お前たち、本当にその意味を理解しているのかね?」


 唐突に『きな臭さ』を帯びてくるモルガンの口調に、僕らの視線も険しくなる。
 さらには僕らを取り囲んだ面々も、手にした武器を握り直し始めた。

 言葉にすれば、一触即発。
 この場に集められた者たち全員が族を使って力量を確かめたうえで集められた面々だとすれば、恐らくは相手もそれなりの手練れ。しかも町中で戦うとなれば、周囲への影響が大きくなる。
 僕らの抵抗を全員に認識させ、蛮族を迎え撃つという大義名分を得てから堂々と制圧し、必要なものを奪い取る。しかも彼らは、僕らが被る負の影響を最大限に大きくするため、町の者たちの目もあるこの場所を選んだのだろう。だからこそ、僕らは絶対にここで喧嘩を買ってはいけない。

 だけど、だからこそマズいんですよ……
 こっちには、典型的直情型の人物が二人もいるんですから!?


「カッチ~ン、こらあかん。おいこらキ○タマフェイス、おどれら誰に喧嘩売ってる思てんねん。そこで暇ぶっこいてる糞竜、コイツらさっさといてもうたらんかい!」

「黙れ糞犬。しかし我が主様に喧嘩を売るとはいい度胸だ。仕方ない、わらわがしばし遊んでやろうではないか!」
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