人生フリーフォールの僕がユニークスキル【 大落下 】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のために戦ってたら知らぬ間に最強になってました~

THE TAKE

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第4章 インフェ・グレーゴル・ドルード12世編

第200話 特攻隊

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「確かにこの場所で間違いないのですか? 町が消えるなど普通のことではありません」


 カルラの問いに何度も地図と位置関係を確認したミグネフは、部下たちとも示し合わせ、改めて首を振った。完全な更地となっている平原の中心は、草木すら生えない不毛の大地のごとく、静かに風が吹き抜けるばかりだった。


「しかし我らにこの場に留まっていられる猶予はない。食料や物資の調達、それに衛兵たちの休息に影響は出るだろうが、こうなれば別の町に立ち寄るほかあるまい。案内役よ、この周辺で他に目ぼしい町はあるだろうか?」


 案内役として帯同していた真竜国関係者も焦っているのか、それとも状況が掴めず困惑しているのか。冷や汗を流しながらミグネフの言葉を聞き、頭を悩ませている。
 言ってみれば、この状況は案内役として大きな失態である。しかしその案内役ですらわからない事態が起きているのだから、旅の行程が狂い始めているのはまず間違いない。

 彼らの目を盗んで自分の馬車へと戻った僕らは、辺りを窺いつつ、人目を避けながら荷馬車に潜り込んだ。気が気でない様子の御者が外でうろうろ狼狽えているうちに、僕らは三人固まって顔を向き合わせた。


「想定外や、どないなってんねん」

「どうもこうも、我々にはどうしようもなかろう。成り行きに任せるほかあるまい」

「だ、だけど、ヴェルニはちゃんと仕事をしていたみたいだね。グニルって領主をどうにかしろってインフも言ってたし」

「にしても今は困るやろ。こっちの予定が丸崩れになったらどないしてくれんねん。それにしたって町がないて、想定外すぎて笑ろてまうわ」

「恐らくは代替の地を経由し王都へ向かうことになるだろうが、引き続き我らは存在を気取られぬよう努めるしかあるまい。特にウタは先の戦いで少々目立ちすぎた。これより先は極力後方に隠れ、私やミグネフ殿に戦闘を任せること。良いな?」

「うん、わかった。それにしても町ってそんな簡単になくなっちゃうものなの……?」


 僕の質問に、二人の視線が自然と何もない不毛の大地へと向けられた。事前に聞いていた話では、バレッタの町にはそれなりの人口が住んでおり、竜族だけでなくヒューマンやドワーフなど他種族も数多くいたという。それが影も形もなく消えてしまったとなれば、この場所で大規模な『何か』が起きたことは確実だ。町一つが入れられるような魔道具でもあれば可能性はあるが、ポンさんたちの話を聞く限り、その可能性は薄そうだ。


「十中八九、滅んで消されたとみて間違いないやろな。建物の残骸すら残さずに焼き払われたっちゅうことや」

「そ、そんな……」

「高ランクの竜族なら、それくらいの芸当も可能やろな。もともと強かったスカイドラゴンが名を得たんや、ここいら一帯吹き飛ばすくらいわけないわ」


 不自然なほど開かれた空間がどこか虚しく佇んでいるように僕には思えて仕方がなかった。その光景は、僕が初めてこの世界にやってきたあの日に見たものと、どこかダブって見えたからかもしれない。


「何があったか知らんけど、どのみち俺らは先へ進むだけや。捕まえたグニルっちゅう竜族に聞けばわかるんやろけど、それこそリスクが高すぎる。俺らは黙ってミグネフについてくのがベストやろな」


 方向性を確認した僕らは、何事もなかったように全てを隠し、彼らに何一つ口を挟まなかった。そうしているうちにもミグネフら舵取り役は、バレッタの町の南西にあるとされる『モンク』という村を目指すことになり、本来予定していた進路を外れ、見知らぬ土地へ向けて出発した。


「我が王が身を休めるには少しばかり心許ないが、あれこれ言っている余裕はない。お前たちも、これから先は何が起こるかわからん。ひと時も気を抜くことなく王を守れ、良いな」


 先遣隊として集められた僕らは、ミグネフに命じられるまま進むべき道を切り開く役目を仰せつかった。しかし「仰せつかった」とは名ばかりで、言ってみれば、ただの無茶振りでしかない。

 草木で覆い尽くされた道。
 行く手を阻む深い森。
 襲い来るモンスター。
 吹き荒ぶ雨風に、ぬかるんだ足元。

 予定していたルートだけでも酷いものだったのに、さらに未踏のルートとなれば尚更である。僕らは行く先が正しいのかすらわからぬまま、さらに一週間の時間をかけ、モンクという存在するかも曖昧な村へと急いだ。

 それから1週間後の早朝がきた。夜が明け、周囲を包んでいた霧が晴れた。
 その日、夜通し周囲の警戒を続けていた僕は、大きな欠伸をしながら、勝手に爆睡していたポンさんの尻を叩いて起こす。不機嫌そうにメンチを切る彼を肩に乗せ、僕らは目の前に広がる鬱蒼とした森の上空へジャンプした。


「ホンマ、この森いつまで続いてんねん。このまま着地して全て焼き尽くしたくなるな」

「無茶言わないでよ。ただでさえ悪目立ちしてるのに」


 周囲で一番高い木の天辺に降りて目を凝らした僕らは、近くに何かないか探した。すると進行方向二時の方角に、何やらおかしな窪みがあることに気付く。


「なんやあれ、あっこだけ木がないよな?」

「うん、というより、なんだかクレーターみたいに凹んでるね。まぁるい形に窪んでる」

「なんや怪しいな。ミグネフ呼んでくるわ。ウタは先行って様子見てき」


 そういうとポンさんは器用にスルスルと僕の身体を伝い、ゴキ○リのようにシャカシャカ木を降りていった。「わかった」と返事した僕は、おおよその位置を確認して強く踏み切ると、可能な限り高い位置から眼下のクレーターを見下ろした。


「なんだろう、すっごい深い穴……、かな? って、うわぁっ!?」


 クレーターの中央付近に到達した直後、漆黒のような深い穴の奥より、急速に旋回する何かがこちらへ向かって突進してくるじゃないか!

 バタバタ慌てる僕を目がけて飛んできた高速の飛行物体は、その鋭いクチバシを開けながら、僕の身体をズタズタに引き裂かんと攻撃を開始した。


「ま、またスカイドラゴン!? どうしてこんなところにドラゴンが!」


 身体を捩って攻撃を躱すも、空中で竜族と戦うのは分が悪すぎる。そこで頭を捻った僕は、攻撃を受け止めるふりをしながら相手を引き付け、ギリギリのところでそれを躱し、翼に組み付きスカイドラゴンの背後にしがみついた。


「へへ~ん、これならもう攻撃できないだろ? ……って、いやいやちょっと待ってよ!?」


 しかしさらに数を増したドラゴンたちが一斉に僕の乗っている一体へ向け突進してくる。どうやら相打ちすら覚悟のうえなのか、全部が一切手を抜くことなく特攻してくるんですけど……!?


「ちょ、ちょっとやりすぎじゃない……? 待って、待ってったら!?」

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