同級生の僕達は

光猫

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ザワザワした教室、それもそうだ。9月の後半に文化祭があるからだ。僕はクラスの委員長として指揮をとり、みんなで委員会を決めていた。先生が桃瀬に小声で話しかけた。
「村瀬なんだが桃瀬悪いが一緒にやってくれないか?」
「僕がですか?」
「まぁ女子と一緒だと絶対委員会の仕事をサボるからな監視役としてもこの通りだ」
「・・・わかりました」
村瀬の方に視線を向けると彼は机に顔を伏せ、眠っていた。少し溜息をつきながらも僕はやるしかないと諦めた。彼、村瀬空は授業中いつも寝ている。髪は派手な金髪でピアスが沢山ついている。校則上問題は無いのだが目つきが悪い、無表情のせいなのか周りの人はみな怖がりあることないこと彼の噂話が飛び交っていた。

放課後
僕は彼の席へと近づき声をかけた。
「村瀬君、今日委員会の仕事があるから残れないかな、無理にとは言わないけど・・・」
「ん、、わかった」
あっさり了承して拍子抜けした。
仕事内容は極めて簡単だ。印刷された紙をパンフレットにするためにホッチキスで止めるだけの作業だ。
僕達は黙々と作業を続けた。1時間ほどで作業は終わった。
「終わったーありがとうね、村瀬君」
「ん」
「僕はこれ片付けてから帰るから村瀬君は帰っていいよ」
「いいよ手伝う」
彼はパンフレットを持ち僕は借りた文房具やらを持って職員室へと向かった。
「先生終わりました。」
「お、早かったな~ありがとな。桃瀬、村瀬。気をつけて帰れよ」
「はい、さようなら」
僕達は職員室を出て教室へと戻った。
「じゃあね桃瀬君今日はありがとうまたね」
教室から出ようとした時、透き通った声が僕の頭に反響した。
「じゃあね、委員長」
微笑んだ彼の顔、教室の窓からさす夕日の光で金色の髪が綺麗に輝いた。
「(あ、やばい、落ちた。落ちてしまった。)」
僕は単純な事で恋に落ちてしまう。それでも恋に落ちてしまったのは必然なのだと思ってしまった。
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