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日常
原稿用紙三枚目
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書き出しに頭を抱え早30分。こんなことやって何が楽しいんだろ。わからなく……というかゲシュタルト崩壊してきた脳を冷やすべく私は出窓に腰掛け窓を開けた。秋風がどっと部屋の空気を変えた。どこからか甘い匂いが漂う。人工甘味料の匂いじゃない方の。
「金木犀どっかで咲き始めたかな。」
あの深い緑の葉にたわわに咲き乱れる小さな花の集まり、金木犀。匂いが強く、甘く漂う匂いで私は秋を感じていた。そうだ。何なら同じ世界観で書いてみようか。
《あちこちの庭先で山吹の花が咲いていた。》
これでも書き出しにできるだろうか。
《静加は一人、部屋の壁一面あるでかすぎる窓を開けその香りを楽しんでいた。》
今の私の生き写しのようなものだがなんとなくできた。なんとなくエッセイを書いている気分になった。自分の今の状況をただ綴っているだけ、それだけなのに何かが私を楽しくさせた。
ただそこでピタリと筆が止まった。
私の今を書いてもあまり興味が沸かないんじゃないだろうか。自分で言うのは苦痛だが、紛うこと無き事実だった。
そこでふわりと思いついた。まるで金木犀が漂わせる香りのように。今がダメなら過去にしよう。なるべく面白おかしく。嫌だった過去を、見世物にするんだ。
「金木犀どっかで咲き始めたかな。」
あの深い緑の葉にたわわに咲き乱れる小さな花の集まり、金木犀。匂いが強く、甘く漂う匂いで私は秋を感じていた。そうだ。何なら同じ世界観で書いてみようか。
《あちこちの庭先で山吹の花が咲いていた。》
これでも書き出しにできるだろうか。
《静加は一人、部屋の壁一面あるでかすぎる窓を開けその香りを楽しんでいた。》
今の私の生き写しのようなものだがなんとなくできた。なんとなくエッセイを書いている気分になった。自分の今の状況をただ綴っているだけ、それだけなのに何かが私を楽しくさせた。
ただそこでピタリと筆が止まった。
私の今を書いてもあまり興味が沸かないんじゃないだろうか。自分で言うのは苦痛だが、紛うこと無き事実だった。
そこでふわりと思いついた。まるで金木犀が漂わせる香りのように。今がダメなら過去にしよう。なるべく面白おかしく。嫌だった過去を、見世物にするんだ。
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