異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第二章 魔道具と 魔族とけいきの いい話

第22話 それじゃ 王都、行こう

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 さてと、今日はソフィアを伴って王城に行くか。
 
 ちなみに服装だが、前回と同じものを着ている。
 高い服なので洗濯はどうしようかと思ったが、クリーンと呼ばれる、汚れや匂いなどを落とす魔法をソフィアにかけてもらった。
 ソフィアは、この魔法があれば白い服にカレーが飛んでも安心ですね、と言っていた。
 ……便利そうなので、後で教えてもらいたい。

 転移門を使う場合は料金が必要だが、手前で切符(転移門を通ると効力がなくなるチケット)を購入し、それを持ちながら転移門を通ることで別の場所に行くことができる仕組みになっている。

 ちなみに、前回は緊張していたので、気付いたときにはソフィアから切符を渡されていた。
 お金は招待した王城側から出ていたらしい。

 今回は、交通費は後でお支払いするのですわ! と手紙に書いてあったので、自分で購入することにした。
 こういう細かい体験も意外と思い出に残ったりするんだよな。



 さて、二度目の王都だ! 今回は二度目だし、相手が誰かもわかっているからか、王都の様子を落ち着いてみることができるな。

 教会の周りは大きくても二階建ての建物が多かったけど、流石王都、三階建て以上の建物もいっぱいある。
 しかも古い石造りの建物から、木造、コンクリートっぽいような違うような材料で作られた建物やガラス張りの建物等々、多種多様だった。

 教会の周りは、古い建物が多かったからか、石造りの建物が多い印象だったな。

 そんな感じであちこちをキョロキョロしていたら、ソフィアから珍しく、ハクトさん、行きましょうか、と急かされた。
 早くスイーツが食べたいのだろうか?

 あまりソフィアを待たせるのもかわいそうなので、前回ソフィアが向かった受付に向かうと、昨日メイドさんから渡されたアクセサリーのような物をそこにいた受付の人に見せた。
 すると、何故か俺の顔とそれを三度も行き来すると、はっ、となり

 「た、大変失礼いたしました。すぐに準備いたしますので、建物の中にお入りください」

 と何故かすごく慌てていた。
 ……俺が渡されたこれはいったい何なのだろう?

 ソフィアと一緒に建物内に入ると、すぐに別の入口から兵士の男性が出てきた。
 彼は転移門を起動すると、右手をみぞおち辺りに持ってきて、

「準備ができました。お入りください」

 と丁寧な態度で接してきた。
 前回と全然違う! と思いつつ表面上は平静を装い、ソフィアと一緒に転移門を通った。



 転移門を通った先は円形の広いホール……ではなくて、豪華な造りの玄関ホールで、どこかの迎賓館のようだった。
 思わぬ事態に呆然としていると、目の前のこれまた豪華な扉が開かれ

「よく来たのですわ! ってあら? ハクトさん、どうなさったのですわ?」

 とクレアがメイドさんと一緒に現れた。



 メイドさんにソフィア共々部屋へと案内されると

「改めて、ようこそいらっしゃったのですわ。それで、先ほどはどうされたんですの?」

 とクレアに質問されたが、そばに控えていたメイドさんに耳打ちされると

「ああ、そうでしたわ! ハクトさんに渡したエンブレムの説明をしていなかったのですわ!」

 と叫んでいた。

 クレアの説明によると、このエンブレムを持つ人は王家の賓客として扱われるらしい。
 ああ、だから今まで丁寧な扱いを受けたり、豪華な場所に転移門を繋げたのか。
 
 ちなみに、これを誰かに渡すには王様の許可が必要らしいが、

「ハクトさんは今後、王家にとって大事なお客様になるに違いないのですわ!」

「ううむ、それを判断するのは早計ではないかね? ……だが、魔皇とも知り合いであったか。であれば大きな問題はない、か」

 のようなやり取りがあったとか。

 さて、気を取り直してと。

「それじゃ、お城のシェフに俺の持つ知識を伝えようか。それで、そのシェフはここに来るのかな?」

「現在はお昼の仕込みをしているはずですわ。もう少ししたら手が空くそうなのですわ」

「なるほど。なら、待っている間に、こっちの世界ではお菓子とか、どんなものがあるかを教えてもらえるか?」

「確かに、そのほうがいいのですわ!」

 クレアの話によると、庶民の間で親しまれているのは、クッキーなどの焼き菓子やチョコレートなどの日持ちのする物のようだ。
 パンケーキも存在しているが、少し高級な店で提供しており、予約も必要なようだった。
 
「それじゃ、ショートケーキ、うーんと、スポンジケーキにホイップクリームとか、いちごって言って通じるかな? それを使ったお菓子、というかスイーツはないの?」

「そうですわ! 本日はそれについて聞きたかったのですわ! ふわふわのケーキにこれまた白いふわふらのクリーム。そこに添えられる赤い宝石のようないちご。そのようなスイーツだと伝わっているのですわ!」

 昔俺と同じ世界から来た人が伝えたのだろう。
 けど、パンケーキが高級品なくらいだし、何かしらの理由で作ることが出来なかったのかな?
 
 そういえば、初日にソフィアから俺のいた世界から色々な知識が持ち込まれている(おそらくソフィアの漫画知識も含む)って言ってたけど、再現できていないものとかも色々あるのだろうか?

 うーん。まずはパンケーキが高級な理由を聞いてみたいかな。

「それじゃ、今日はそれをシェフに伝えるとしようか。それと質問なんだが、パンケーキが高級な理由って何なんだ?」

「何個も作るのが大変なようですわ。でも、詳しくはわからないのですわ」

 確かに何個も作るのが大変だと高級になったり、予約が必要になるか。
 でも、そんなに複雑な工程とかあったっけ?

 と話していたところ、お城のシェフがやってきた。
 恰幅の良い男性で、何となくおいしいものを作りそうだ。

「お待たせいたしました。この城でシェフを任されております、パティオと申します」

 と、お城のシェフらしく丁寧なあいさつをしてきた。と思ったら、

「さて、堅苦しいあいさつはここまで。さっそくだけどハクト君、私に異世界で食べられているという、ショートケーキについて色々教えて欲しい! 既に魔道具も用意してもらっているよ。さあ、そっちの取っ手を握ってくれないか?」

 おおう、この人もアオイタイプっぽそうだ。
 なんて思っていると、メイドさんがシェフ、パティオさんの顔に向かって弱めのウォーターボールを撃ち出した。
 このメイドさんはそういうタイプか。それもありだ。

「シェフ、少し落ち着いてください。ハクト様が混乱しておられます」

 とメイドさんに言われたシェフは、ハンカチを取り出し顔を拭くと、

「……ふぅ、いや冷静になれたよ。助かった」

 と落ち着いた様子だった。
 ……普段からこんな感じで落ち着かせられてそうだ。

 さて、ショートケーキについて伝えてもいいけど、その前に疑問を解消しておきたかな。

「パティオさん。ショートケーキについて教える前に、パンケーキが高級な理由を教えて欲しいかな」

「パンケーキか。あれは卵や生地を混ぜるのが大変でね。数個ならいいけど、多くのお客さんに出すとなると腕が大変なことになるんだよ」

「あれ? ホイップクリームやスポンジケーキならともかく、パンケーキはそこまでかき混ぜる印象はなかったけれど……」

「ホイップクリームにスポンジケーキと言ったかね! ……落ち着いたので、こちらにウォータボールを向けるのはやめてほしい」

 また暴走しそうなシェフの様子をみてメイドさんがすぐに魔法の準備をしていた。
 流石はメイドさんだな。

 うーん、まさか電動はともかく手動で泡立てる調理器具がないとか……、いや、あり得るのかな?

「パティオさん、調理器具として卵とかをかき混ぜるのにどんな道具を使ってるか教えて欲しいかな」

「む? 変わったことを聞くね。そうだね、東方で使わている箸を使ったり、それ用に大きめに作られたフォークを使っているかな」

 本当に泡だて器がなかった! それじゃ生地を混ぜるのは大変な気がするな。
 というか実際に作ったことはないけど、ショートケーキを作るのに必須レベルな気がする。

 さて、どうしようかな。
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