異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第五章 切望を 叶えた者と 挑む者

第69話 神様にからかわれた男

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 ソフィアがリンフォンでメッセージを送ると、ほどなくしてリーンという音が鳴った。
 
 ソフィアはすぐにリンフォンを確認すると

「創造神様から返信が来ました。ハクトさんさえよろしければ、一度天界で話をしてみたい、とのことです」

 ……え?
 
「えっと、相手は創造神、様でいいんだよな? その神様が、天界で俺と話したいって?」

「そうですね。天界へは、私が魔法で送りますので大丈夫です」

 いや、天界へ行けるかどうかは気にしてなかったんだが。
 ……神様と会うっていうのは、異世界を舞台にした物語ではありがちだけど、まさか俺がそうなるとは。

 そういった物語では、異世界に最初に来た時に目の前にいる、っていうのがよくある展開だけど、俺はぶぶ漬けの天使ソフィアだったな。

 ……うん。現実逃避もこれくらいにするか。
 ちょっと落ち着いたしな。

「それで、天界にはいつ行けばいいんだ? 神様って忙しそうなイメージだし、なるべくあちらの都合に合わせたほうがいいよな?」

 確か、天使は神様を補佐する為の存在だって最初に聞いたな。
 だから神様も、色々とやることがあるのだろう、と思っていたのだが……。

「創造神様は、少なくとも本日であればいつでも大丈夫、とのことです」

 ……あれ?

「……ええと、神様って普段は何をしているか聞いてもいいか?」

「そうですね。普段は人間界や魔界の様子を見ていたり、私が集めた漫画を読んでいましたね。また、世界の外部から干渉された時には対処をすることがありますが、それはごくまれな事ですね。創造神様は自分が動く時は大体緊急事態なので、やることがないのはいいこと、と言っていました」

 ……あれー?

「さっき、天使が対処できない願いの判断をする、って言っていたけど、他にも天使が対処できない仕事とかをやったりとかは……?」

「そうですね。そうしたことも行っていますが、頻度はそこまで多くなさそうですね」

 ……この世界って、魔皇といい神様といい、偉い人は暇な法則でもあるのか?

「でも、それなら天使は大変そうだな」

「それは大丈夫です。天使は多く存在しており、一日に四時間も働けば十分な仕事量しか与えられませんので。……そう考えますと、私は天使の中でも長時間お仕事をしていますね」

 ……長時間の仕事って言っても、漫画を読むことだけどな。
 そういえば教会に派遣されている他の天使も、ソフィアから聞いた感じかなり自由にやってるみたいだったな。

 というか、天使の仕事環境めっちゃうらやましいな!

「あー、そうなんだ。っと、話がずれちゃったな。今日はいつでも大丈夫ってことは、今行きたいって言えばすぐに会えるってことだよな? ……神様って、俺が何か粗相そそうをしても、怒ったりとかはしなさそうか?」

「そうですね。私が間違ったことを言った時には、笑いながら訂正していただけますので」
 
 あ、それなら大丈夫そうだな、うん。
 
 じゃあ、善は急げとも言うしすぐに会いたい旨をソフィアから神様に伝えてもらおう。

 ソフィアにお願いしリンフォンで伝えてもらうと、すぐに返事が返って来た。

「問題ないそうです。それでは、天界に送りますね」

 と、ソフィアが目を閉じ、魔法の準備を始めた。
 ……最初はわからなかったけど、今は段々と魔力が集まっているのがわかるようになったな。
 
 そして魔法が完成しそうになった時、ソフィアが

「良い結果となる事を祈っています。私も、ハクトさんとお別れするのは寂しいと思いますので」

 なんて言ってきた。

「え?」

 それに対して何かを言うより早く、俺は光に包まれた。



 はっ、と気づくと、目の前には容姿端麗ようしたんれい男装だんそう麗人れいじんが。
 極彩色の瞳に短めな髪。
 髪色は、ソフィアと似た銀髪だった。

 想像していた感じとはかなり違ったけど、目の前にいるのがおそらくこの世界の神様、創造神なのだろう。
 突然目の前にいたこともあり、なんて言葉を発すればいいか悩んでいると、

「やぁやぁ。初めまして、ハクトくん。まずはお近づきの印に、ぶぶ漬けでもどうだい?」

 ……天界では、ぶぶ漬けを勧めるのがデフォルトなのだろうか?
 え、というか、すぐに帰れって?

「なんてね。君が、ソフィアと初めて会った時のことを真似してみたのさ。ちょっとしたジョークってやつだね! どうだい? 少しは、親しみを覚えてくれたかな?」

 どこか芝居がかった感じの彼女(?)は、困惑している俺にウインクをしながらそう話しかけて来た。

 ……どうしよう。
 さらに想像の斜め上を行く存在だった。

 と、とりあえず自己紹介をしないと。

「あ、えっと、初めまして。俺、じゃなかった、私は仲吉なかよし 百人はくとと申します。本日は、私の為にご足労そくろういただき、ありがとうございます」

 予想とは全く違う感じだったけど、相手は神様だ。
 できるだけ丁寧になるように話してみた。

「……残念ながら、ジョークの効果はなかったようだね。……ああ、そうだった! まだ自己紹介をしていなかったね。僕はこの世界の神。皆からは、創造神と呼ばれている存在だよ。とはいえ、うやうやしく扱う必要はないよ。ハクトくんには色々聞いてみたいし、フランクな感じで話さないかい?」

 フランクに話して、と言われたけど、相手は神様なんだよなぁ。

 偉い人と言えば、魔皇とかとは普通に話せてはいるんだけどさ。
 まあ、最初は魔皇だと思ってなかったから、自然とそのままの感じで話せた、っていうのもあるけど。

 それもあってか、正体がわかったから態度を変えるのは嫌だなって思えて、いつも通りの感じでいれたんだよな。
 そのおかげもあってか、皆とはより仲良くなることができたからよかったけど。
 
 『それなら、僕を神様と思わないで話してみないかい? そうだねぇ。コスプレが趣味な美少女、というのはどうだい?』

 神様と思わず話して、といわれてもなぁ。
 一度そう認識したのを別の認識に変えるって、中々難しいと思うんだよな。

「って、俺の頭に直接話しかけて来た!?」

 しかも、自分で美少女とか言ってたな。

『きこえますか……、あなたの脳内に直接話しかけています、なんてね。ハクトくんの世界にある物語では、神様がこんな感じで話しかけて来ることもあったね』

 確かに、そういった描写を見たことがあるけどさ!
 というか、やっぱり神様って相手の心が読めるんだ。

「今のハクトくんは、色々と考えすぎてる気がしたからね。申し訳ないけど、少しの間読ませてもらったよ。ああ、普段はあまり読まないようにしているよ」

 ……まあ、相手がフランクでいいと言ったのに、色々と考えすぎていたかもしれないな。

『そうそう。難しく考える必要はないさ』

 ……直接頭に話しかけてくると毎回びっくりするので、普通に話しかけて欲しいんだが。

「おっと、それはすまないね。でも、さっきみたいに会話すると、君は自然な感じで話していた気がするね」

 あ、確かに。
 
 ……そうだな。
 相手は心が読めるんだし、失礼な感じになったらどうしよう、とか考えても意味はないのかもしれないな。

「うん。すぐには慣れそうもないけど、いつも通り話してみるよ。よろしくな」

「そうしてもらえると嬉しいね。それじゃ、親睦を深める前にハクトくんの悩みを聞こうじゃないか。その方が、ハクトくんものんびり会話ができるだろう?」 

 あ、ソフィアから聞いてはいたけど、今日は本当に予定がないって感じなんだな。

「ああ、安心してくれたまえ。この周りは時間の流れが遅くなっているから、戻りが遅くなるのを気にする必要はないよ。僕は暇だけど、ハクトくんは毎日忙しそうにしているようだからね」

 そうなんだよなぁ。
 この世界では毎日が休日みたいなものなのに、予定がない日がほとんどないんだよな。

 というか、ここだけ時間の流れが違うとか、さらっとすごい事しているなぁ……。
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