1 / 1
別れを告げる一つのビックリマーク
しおりを挟む
「やっぱり別れようかな……」
マンションの部屋に、自分の声が寂しく響いた。寝汗で居心地の悪いベッドの上、このまま異世界にでも転送してほしい気分だった。
恋人と同棲していたのは、もう何年前だろう。色々なことがあった……
何度も別れ話をして、ずるずると、なんとなく月に一回くらい、どこかに遊びに行く関係だ。恋人というよりは、ただの友達と言った方が正しい。たまに部屋に来ても、素っ気なくすぐに帰るだけだ。
何気なくメールのやり取りを確認した。なんとも素っ気ないもんだ。相手は出会った当初から、あまり文章に感情が出ないタイプだったから、関係は悪くなっても特に変わりは無い。
私が一生懸命、下手なりに何かを作り上げて、それを誰かに褒められたと、嬉しさ抑え切れずに報告しても、ただ、『よかったね』これだけだ。今も昔もそう、顔文字もビックリマークなどの感嘆符も、ついた試しがない。
『よかったね』と『よかったね!』は、文章の世界では、まるで意味が違う。
例えば実際に目の前で、嫌いな相手から宝くじに当たったと報告を受けた時に、どう、よかったね。と言うだろうか。
「よかったね!」
表面上は、そう笑顔で驚きながら言うだろう。実際は、冷めた顔で「はいはい、よかったね」こう思うはずだ。相手次第では、地獄に落ちろまで思う人も少なくないだろう。これが好きな相手なら、裏の無い「よかったね!」となるはずだ。
文章で、『よかったね』と来ると、どんな感情で言われているのか判断が付かない。どうしても冷められている、不機嫌なのかな?そんな気がしてしまうのは、私がおかしいのだろうか。ただ一つのビックリマークに人は、吐き気を覚えるほど振り回される。
そんな事を考えていると、恋人が訪ねてきた
「おかえり、あのさ。今日は、コピー機の話を書こうと思う、こういう話にしようと思うんだけど、どう思う?」
「うん、良いんじゃない。ごめん、用事あるから」
恋人は、早々に置いてあった荷物を取って、出て行った。
「雑……。もういいよ、帰って!」
私は何のために、そして、なんでこんな人のために頑張ってた時期があったのだろう。初めて好きになった時、何を好きになったんだろう。今はもう分からない。
私は『もう別れようよ』と何の記号も付けずにメールを送った。
何年も好きだった人と別れたら泣くべきなのだろう、悲しむべきなのだろう。
それでも私は、ただ、何だか疲れてしまった、涙も出そうにない。ただ窓から差し込む西日が痛かった。なんでいつも、こんな恋愛になるのだろう。私にも原因がある気がして頭が重い。
いや、これで良かったんだ。前を向いて生きるって決めたんだ。ここから数日、辛いかもしれない、それでも私は止まる訳にはいかない。決意を抱き続けよう。
いつか、この話が、ただの笑い話になる事を祈って書き残そう。頼んだぞ、未来の私。
マンションの部屋に、自分の声が寂しく響いた。寝汗で居心地の悪いベッドの上、このまま異世界にでも転送してほしい気分だった。
恋人と同棲していたのは、もう何年前だろう。色々なことがあった……
何度も別れ話をして、ずるずると、なんとなく月に一回くらい、どこかに遊びに行く関係だ。恋人というよりは、ただの友達と言った方が正しい。たまに部屋に来ても、素っ気なくすぐに帰るだけだ。
何気なくメールのやり取りを確認した。なんとも素っ気ないもんだ。相手は出会った当初から、あまり文章に感情が出ないタイプだったから、関係は悪くなっても特に変わりは無い。
私が一生懸命、下手なりに何かを作り上げて、それを誰かに褒められたと、嬉しさ抑え切れずに報告しても、ただ、『よかったね』これだけだ。今も昔もそう、顔文字もビックリマークなどの感嘆符も、ついた試しがない。
『よかったね』と『よかったね!』は、文章の世界では、まるで意味が違う。
例えば実際に目の前で、嫌いな相手から宝くじに当たったと報告を受けた時に、どう、よかったね。と言うだろうか。
「よかったね!」
表面上は、そう笑顔で驚きながら言うだろう。実際は、冷めた顔で「はいはい、よかったね」こう思うはずだ。相手次第では、地獄に落ちろまで思う人も少なくないだろう。これが好きな相手なら、裏の無い「よかったね!」となるはずだ。
文章で、『よかったね』と来ると、どんな感情で言われているのか判断が付かない。どうしても冷められている、不機嫌なのかな?そんな気がしてしまうのは、私がおかしいのだろうか。ただ一つのビックリマークに人は、吐き気を覚えるほど振り回される。
そんな事を考えていると、恋人が訪ねてきた
「おかえり、あのさ。今日は、コピー機の話を書こうと思う、こういう話にしようと思うんだけど、どう思う?」
「うん、良いんじゃない。ごめん、用事あるから」
恋人は、早々に置いてあった荷物を取って、出て行った。
「雑……。もういいよ、帰って!」
私は何のために、そして、なんでこんな人のために頑張ってた時期があったのだろう。初めて好きになった時、何を好きになったんだろう。今はもう分からない。
私は『もう別れようよ』と何の記号も付けずにメールを送った。
何年も好きだった人と別れたら泣くべきなのだろう、悲しむべきなのだろう。
それでも私は、ただ、何だか疲れてしまった、涙も出そうにない。ただ窓から差し込む西日が痛かった。なんでいつも、こんな恋愛になるのだろう。私にも原因がある気がして頭が重い。
いや、これで良かったんだ。前を向いて生きるって決めたんだ。ここから数日、辛いかもしれない、それでも私は止まる訳にはいかない。決意を抱き続けよう。
いつか、この話が、ただの笑い話になる事を祈って書き残そう。頼んだぞ、未来の私。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
ワガママを繰り返してきた次女は
柚木ゆず
恋愛
姉のヌイグルミの方が可愛いから欲しい、姉の誕生日プレゼントの方がいいから交換して、姉の婚約者を好きになったから代わりに婚約させて欲しい。ロートスアール子爵家の次女アネッサは、幼い頃からワガママを口にしてきました。
そんなアネッサを両親は毎回注意してきましたが聞く耳を持つことはなく、ついにアネッサは自分勝手に我慢の限界を迎えてしまいます。
『わたくしは酷く傷つきました! しばらく何もしたくないから療養をさせてもらいますわ! 認められないならこのお屋敷を出ていきますわよ!!』
その結果そんなことを言い出してしまい、この発言によってアネッサの日常は大きく変化してゆくこととなるのでした。
※現在体調不良による影響で(すべてにしっかりとお返事をさせていただく余裕がないため)、最新のお話以外の感想欄を閉じさせていただいております。
※11月23日、本編完結。後日、本編では描き切れなかったエピソードを番外編として投稿させていただく予定でございます。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる