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第百十六話 霞んだ桜色(24)
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「すごいでしょ!」
少女は自慢げにドレスの横まで行って、微笑みながら首を傾げていた。
「うん、本当に綺麗ね」
「確かに綺麗だけど、あんたこれって……」
後ろから覗きながら後輩が消えそうな声で呟いた。
「うん!お母さんのだよ!結婚式で着るの!」
「結婚式……」
言葉が詰まってしまった。少女の言い方は、自分が大人になったら着るという意味を持っていなかった。きっと結婚式は行われなかったのだろう。
「そんな……、そんな大事な物、着るわけにはいかないよ」
思わず後退り、後ろにいる後輩とぶつかって変な声を出してしまった。
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫……」
思ったより動揺してしまった私を、後輩はしっかりと肩を掴んで受け止めてくれた。
「あんたが着て欲しいのは分かるけど、その……」
後輩も言葉を選んでしまっている中で、少女の目は逆光の中でも力強く光り続けていた。
少女は自慢げにドレスの横まで行って、微笑みながら首を傾げていた。
「うん、本当に綺麗ね」
「確かに綺麗だけど、あんたこれって……」
後ろから覗きながら後輩が消えそうな声で呟いた。
「うん!お母さんのだよ!結婚式で着るの!」
「結婚式……」
言葉が詰まってしまった。少女の言い方は、自分が大人になったら着るという意味を持っていなかった。きっと結婚式は行われなかったのだろう。
「そんな……、そんな大事な物、着るわけにはいかないよ」
思わず後退り、後ろにいる後輩とぶつかって変な声を出してしまった。
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫……」
思ったより動揺してしまった私を、後輩はしっかりと肩を掴んで受け止めてくれた。
「あんたが着て欲しいのは分かるけど、その……」
後輩も言葉を選んでしまっている中で、少女の目は逆光の中でも力強く光り続けていた。
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