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お届け物
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ガタン!
私は玄関から響く音に思わず身構えた。
どうやら、何かドアの郵便受けに届いたらしい。しかし、今は午前一時だ、郵便が来て良い時間ではない……
安いし角部屋だからと、古いアパートに一人暮らしをしていた。今もそのドアの向こうに誰かいると思うと、無防備な部屋着でいるのが心細くなった。
女子なんだから、ちゃんとオートロックのところに住みなよ。そう言ってきた友達を思い出した。
(友達のいたずらかな?一応見てみよう……)
恐る恐る、年季の入ったクリーム色に変色している郵便受けに近づき、音を立てないように中身を確認した、小さな茶色い紙袋だ。
(なんだろう……)
嫌な予感がしたが、中身が気になってしまい開けた。未開封の一箱の風邪薬だった、紙袋の音が玄関に響いた。
「あのーすみません」
ドア越しから男の声が聞こえて、私は動けなくなった、聞き覚えの無い声だ。
「あの、場所間違えて入れてしまいました。友達が風邪で苦しんでいるって聞いて届けに来たんですけど、ごめんなさい、返してもらっていいですか?」
私は、返事をするか迷ったが、さっきの物音で、ここにいるのはバレているし、本当に友達が苦しんでいるなら助けたいと思ってしまった。でも、確認したい事がある。
「その友達は、どちらに住んでいますか?」
「え?あー、隣の部屋です」
「……隣に人は住んでませんけど」
「……」
異様な静寂の空気に呼吸が詰まる、私は冷や汗が止まらなかった。
「あー、そうなんですか。それなら大丈夫です、失礼しました」
次の瞬間、短い舌打ちの後で、外からドアを蹴ったのか、すごい音が響いた。
私はしばらく動けずに固まり、震える手でドアのチェーンロックをかけて、引っ越す事を決意した。
手の上に残された風邪薬が重く感じた。
私は玄関から響く音に思わず身構えた。
どうやら、何かドアの郵便受けに届いたらしい。しかし、今は午前一時だ、郵便が来て良い時間ではない……
安いし角部屋だからと、古いアパートに一人暮らしをしていた。今もそのドアの向こうに誰かいると思うと、無防備な部屋着でいるのが心細くなった。
女子なんだから、ちゃんとオートロックのところに住みなよ。そう言ってきた友達を思い出した。
(友達のいたずらかな?一応見てみよう……)
恐る恐る、年季の入ったクリーム色に変色している郵便受けに近づき、音を立てないように中身を確認した、小さな茶色い紙袋だ。
(なんだろう……)
嫌な予感がしたが、中身が気になってしまい開けた。未開封の一箱の風邪薬だった、紙袋の音が玄関に響いた。
「あのーすみません」
ドア越しから男の声が聞こえて、私は動けなくなった、聞き覚えの無い声だ。
「あの、場所間違えて入れてしまいました。友達が風邪で苦しんでいるって聞いて届けに来たんですけど、ごめんなさい、返してもらっていいですか?」
私は、返事をするか迷ったが、さっきの物音で、ここにいるのはバレているし、本当に友達が苦しんでいるなら助けたいと思ってしまった。でも、確認したい事がある。
「その友達は、どちらに住んでいますか?」
「え?あー、隣の部屋です」
「……隣に人は住んでませんけど」
「……」
異様な静寂の空気に呼吸が詰まる、私は冷や汗が止まらなかった。
「あー、そうなんですか。それなら大丈夫です、失礼しました」
次の瞬間、短い舌打ちの後で、外からドアを蹴ったのか、すごい音が響いた。
私はしばらく動けずに固まり、震える手でドアのチェーンロックをかけて、引っ越す事を決意した。
手の上に残された風邪薬が重く感じた。
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