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第2章 勇者選別
第19話 次なる試練
しおりを挟む神託が終わり宿に着いた。
「ぷはーっ! いやぁ、やっぱ俺が勇者に選ばれると思ってたんだよな!」
宿に戻るなり、ソウマはテーブルにドンと腰を下ろし、水差しを豪快に煽った。
「二人、っていうのは予想外だったけどな!」
「予想外も何も、あなた、選ばれない可能性だってあったのよ」
ルミナスが冷ややかに言い放つ。
「ぐっ……! だ、だが結局選ばれただろ! これぞ勇者パワー!」
ソウマは胸を張ってパンをかじる。
「勇者様はパンを食べる姿まで勇ましいですね!」
リアナは笑った。
(褒めてるのか、それ)
俺はため息をつきながら、スープをすくった。
「にしても二人って……大丈夫なのか?」
俺が口にすると、ルミナスは肩をすくめる。
「さぁね。でもあの光、確かに神の力よ。誰が何と言おうと、正式に“勇者二人”ってこと」
「へへっ! 俺と、あの生意気な銀髪野郎! ……そういや兄貴?弟だっけ?」
ソウマはむしゃむしゃ食べながら首をひねった。
「マジかよ!!兄弟とか聞いてねえぞ!」
「……あんた本当に何も考えてないのね」
ルミナスは呆れ顔を隠そうともしなかった。
―――
翌朝。宿の扉を叩く音で目を覚ます。
「勇者殿とその仲間たち、至急、王城へ」
「おっしゃ! ついに王様との謁見だな!」
ソウマは勢いよく立ち上がる。
「わ、私……服装大丈夫かな……」
リアナが袖を整え、ルミナスは「リアナ無駄に緊張しないでよ」と言い残して部屋を出た
王城へ向かう道中、市民たちが口々に囁く。
「二人の勇者が生まれたらしいぞ!」
「あれソウマ様じゃないか……!」
視線を浴びるたび、ソウマは得意げに胸を張り、手を掲げて答えた。
王の謁見――
翌日、王城の大広間。赤い絨毯が一直線に延び、その先の玉座にはエルディオン王が座していた。
傍らには宰相、後方には鎧を纏ったゼインの姿も見える。
「勇者ソウマ、ユウマ。よくぞ参った」
王の声は重厚にして威厳に満ちていた。
ユウマは片膝をつき、頭を垂れる。
一方ソウマは――
「おう! 俺が勇者だ! よろしくな!」
広間の空気が一瞬止まる。
「……あんたねぇ!王様に向かってその口の聞き方!!」
ルミナスが小声で怒った。
「……あっ、俺がその勇者ソウマだ、です!」
ソウマは慌てて言い直した
「へへっ、ちゃんと敬語になっただろ? なったよな?」
「遅いのよ! できてないし!」
王は苦笑をこらえながらも続けた。
「二人同時に神の声を授かるなど、前例がない。だが神の選定である以上、我らは受け入れよう」
リアナは「すごいです……!」と小さく呟き、ルミナスは腕を組んだまま冷めた目ソウマに向けていた。
次なる試練――
王の表情が引き締まる。
「次に其方ら勇者に願いがある。西へ二日の方にある冒険者の街――グラナート。その地に、黒き龍が現れたとの報がある」
「黒き龍……」ユウマが低く呟く。
「おおっ! ドラゴン退治! 俺に任せろ……いや、任せてください!です。」
ソウマが拳を振り上げる。
ルミナスがソウマを睨みつけた。
「……軽率だ」ユウマが切り捨てる。
「なんだと!?」
「はいはい! 喧嘩はあとにしてください!」リアナが慌てて止める。
ルミナスは小さくため息をついて「ほんとバカね」と呟いた。
王は重く頷き、布告を下す。
「黒龍が実在するなら、民にとって脅威となろう。討伐せよ、あるいはその真偽を確かめよ。……勇者としての責務だ」
ソウマは「任せろ!」と胸を叩き、慌てて「……任せてください!です。」と付け足した。
ユウマは「……承知した」と冷徹に答える。
魔の世界の気配――
謁見を終えて城を後にした俺は、空を仰ぎ見た。
(黒い龍……ただの龍じゃない。“魔の世界”の影響が、また滲み出しているのかもしれない)
「テーレ! 準備だ! グラナートで大暴れだぞ! あっ……大暴れ、します!」
ソウマが笑顔で振り返る。
「はぁ……もう敬語使わなくてもいいのよ」
ルミナスがため息をつく。
「でも、黒龍って本当に……いるのでしょうか」リアナは不安げに声を震わせていた。
俺は黙って仲間たちの後ろを歩く。
(魔の世界。ザガドの背後にいたのも、やはりそれか……だが最近、“世界”としての“感覚”が鈍くなってきてる気がする。色々モヤがかかっている感じだ...)
その頃――ユウマは
「やっと………黒龍……あいつだけは俺が倒す」
次なる舞台は冒険者の街グラナート。
勇者二人とテーレ、その仲間たちの物語は、新たな局面へと進んでいく。
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