世界に転生したは俺は、勇者たちを導く

鈴木泉

文字の大きさ
19 / 26
第2章 勇者選別

第19話 次なる試練

しおりを挟む


神託が終わり宿に着いた。
 
「ぷはーっ! いやぁ、やっぱ俺が勇者に選ばれると思ってたんだよな!」
宿に戻るなり、ソウマはテーブルにドンと腰を下ろし、水差しを豪快に煽った。

「二人、っていうのは予想外だったけどな!」

「予想外も何も、あなた、選ばれない可能性だってあったのよ」
ルミナスが冷ややかに言い放つ。

「ぐっ……! だ、だが結局選ばれただろ! これぞ勇者パワー!」
ソウマは胸を張ってパンをかじる。

「勇者様はパンを食べる姿まで勇ましいですね!」
リアナは笑った。

(褒めてるのか、それ)
俺はため息をつきながら、スープをすくった。

「にしても二人って……大丈夫なのか?」
俺が口にすると、ルミナスは肩をすくめる。

「さぁね。でもあの光、確かに神の力よ。誰が何と言おうと、正式に“勇者二人”ってこと」

「へへっ! 俺と、あの生意気な銀髪野郎! ……そういや兄貴?弟だっけ?」
ソウマはむしゃむしゃ食べながら首をひねった。
「マジかよ!!兄弟とか聞いてねえぞ!」

「……あんた本当に何も考えてないのね」
ルミナスは呆れ顔を隠そうともしなかった。

―――

翌朝。宿の扉を叩く音で目を覚ます。
「勇者殿とその仲間たち、至急、王城へ」

「おっしゃ! ついに王様との謁見だな!」
ソウマは勢いよく立ち上がる。

「わ、私……服装大丈夫かな……」
リアナが袖を整え、ルミナスは「リアナ無駄に緊張しないでよ」と言い残して部屋を出た

王城へ向かう道中、市民たちが口々に囁く。
「二人の勇者が生まれたらしいぞ!」
「あれソウマ様じゃないか……!」
視線を浴びるたび、ソウマは得意げに胸を張り、手を掲げて答えた。


王の謁見――


翌日、王城の大広間。赤い絨毯が一直線に延び、その先の玉座にはエルディオン王が座していた。
傍らには宰相、後方には鎧を纏ったゼインの姿も見える。

「勇者ソウマ、ユウマ。よくぞ参った」
王の声は重厚にして威厳に満ちていた。

ユウマは片膝をつき、頭を垂れる。
一方ソウマは――

「おう! 俺が勇者だ! よろしくな!」

広間の空気が一瞬止まる。

「……あんたねぇ!王様に向かってその口の聞き方!!」
ルミナスが小声で怒った。

「……あっ、俺がその勇者ソウマだ、です!」
ソウマは慌てて言い直した

「へへっ、ちゃんと敬語になっただろ? なったよな?」
「遅いのよ! できてないし!」

王は苦笑をこらえながらも続けた。
「二人同時に神の声を授かるなど、前例がない。だが神の選定である以上、我らは受け入れよう」

リアナは「すごいです……!」と小さく呟き、ルミナスは腕を組んだまま冷めた目ソウマに向けていた。


次なる試練――

王の表情が引き締まる。
「次に其方ら勇者に願いがある。西へ二日の方にある冒険者の街――グラナート。その地に、黒き龍が現れたとの報がある」

「黒き龍……」ユウマが低く呟く。

「おおっ! ドラゴン退治! 俺に任せろ……いや、任せてください!です。」
ソウマが拳を振り上げる。

ルミナスがソウマを睨みつけた。

「……軽率だ」ユウマが切り捨てる。
「なんだと!?」
「はいはい! 喧嘩はあとにしてください!」リアナが慌てて止める。
ルミナスは小さくため息をついて「ほんとバカね」と呟いた。

王は重く頷き、布告を下す。
「黒龍が実在するなら、民にとって脅威となろう。討伐せよ、あるいはその真偽を確かめよ。……勇者としての責務だ」

ソウマは「任せろ!」と胸を叩き、慌てて「……任せてください!です。」と付け足した。
ユウマは「……承知した」と冷徹に答える。

魔の世界の気配――

謁見を終えて城を後にした俺は、空を仰ぎ見た。
(黒い龍……ただの龍じゃない。“魔の世界”の影響が、また滲み出しているのかもしれない)

「テーレ! 準備だ! グラナートで大暴れだぞ! あっ……大暴れ、します!」
ソウマが笑顔で振り返る。

「はぁ……もう敬語使わなくてもいいのよ」
ルミナスがため息をつく。

「でも、黒龍って本当に……いるのでしょうか」リアナは不安げに声を震わせていた。

俺は黙って仲間たちの後ろを歩く。
(魔の世界。ザガドの背後にいたのも、やはりそれか……だが最近、“世界”としての“感覚”が鈍くなってきてる気がする。色々モヤがかかっている感じだ...)


その頃――ユウマは

「やっと………黒龍……あいつだけは俺が倒す」

次なる舞台は冒険者の街グラナート。
勇者二人とテーレ、その仲間たちの物語は、新たな局面へと進んでいく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...