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第3章 黒龍討伐
第25話 山岳への道
しおりを挟むグラナートを後にした俺たちは、地図を頼りに西の山岳地帯へと歩みを進めていた。地図はルミナスが持っている。
街道を抜けると、やがて岩場と木々が入り混じる険しい道へと変わっていく。
「へへっ! ようやく冒険らしくなってきたな!」
ソウマは胸を張り、剣の柄を叩きながら先頭を歩く。
「はぁ……ほんとに調査のつもりあるのかしら」
ルミナスは呆れたように吐き捨てるが、ソウマは気にも留めない。
「黒龍がいるなら俺がぶっ倒す! そんだけだろ!」
「……調査って言葉、もう一度勉強したほうがいい」
俺はため息をつきながら後ろから突っ込んだ。
リアナは少し緊張した面持ちで、胸元に下げた小さなペンダントを握りしめている。
「でも……本当に黒龍がいるなら、私たちだけで大丈夫でしょうか」
「心配するな! 勇者ソウマ様がいるんだからよ!」
ソウマが振り返って笑顔を見せると、リアナは苦笑いで小さく頷いた。
⸻
しばらく歩いたところで、ソウマが立ち止まった。
「おおっ! 見ろよ! こっちに近道っぽい道があるぞ!」
「またそれ?地図では真っ直ぐよ。」
ルミナスが眉をひそめる。
「勇者の勘がそう言ってるんだ!」
ソウマは得意げに胸を叩き、そのまま茂みをかき分けて突き進んでいく。
俺は頭を抱えた。
(またかよ……この前も散々迷ったのに)
結局、茂みの奥は崖っぷちだった。
「うおおおっ!?」
ソウマが足を滑らせて転がり落ちかけ、俺が慌てて腕を掴んで引き戻す。
「お、危なっ……!」
ソウマは息を荒げながらも、「へ、平気平気! 俺がわざと確認したんだ!」と強がった。
「……ほんとに、死ぬ気で確認する馬鹿がどこにいるのよ」
ルミナスの冷たいツッコミをいれた。
⸻
昼前、俺たちは少し開けた岩場で腰を下ろし、昼食をとることにした。
パンと干し肉をかじりながら、ソウマが口を開く。
「なぁ……黒龍って本当にいるのかな」
「おや? 珍しいわね。あんたが弱気になるなんて」
ルミナスが半目で見やる。
「弱気じゃねえよ! ただ……あの銀髪野郎も動いてるって聞いたからな。負けてられねぇだろ!」
ソウマは拳を握りしめ、悔しそうに唸る。
「……やっぱり、そこが気になってるのね」
ルミナスは小さくため息をついた。
リアナはそんな二人を見ながら、柔らかく笑う。
「でも、どちらが先に黒龍を見つけるかより……大事なのは、みんなで無事に戻ることですよ」
俺は頷き、パンを噛みちぎった。
(そうだな……だが黒龍の背後に“魔の影”があるなら、無事に済む保証はない。だからこそその時は俺が……)
⸻
昼食を終え、再び歩き出す。
ソウマは元気を取り戻したのか、剣を肩に担いで歌を歌い始めた。
「♪黒龍なんて~ぶった斬る~俺は勇者~最強だ~!」
「……調子に乗るとまた転ぶわよ」
ルミナスが釘を刺すと、案の定ソウマは石につまずいて前のめりに倒れた。
「うげっ!?」
「……ほらね」
冷たく言い放つルミナス。リアナは慌てて駆け寄り、俺は小さく肩をすくめた。
⸻
夕刻。山道の入り口に差しかかったところで、ルミナスが足を止めた。
「ここから先が山岳地帯。黒龍が現れたとされる場所よ」
ソウマは剣を握りしめ、真剣な顔になった。
「ようやく来たか……! 待ってろよ、黒龍!」
俺は静かに頷き、険しい山の影を見上げた。
(ここからが本番だ……何が待っていようと、避けられない)
こうして、俺たちは黒龍の影が潜む山岳地帯へと足を踏み入れた。
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