世界に転生したは俺は、勇者たちを導く

鈴木泉

文字の大きさ
24 / 26
第3章 黒龍討伐

第25話 山岳への道

しおりを挟む

グラナートを後にした俺たちは、地図を頼りに西の山岳地帯へと歩みを進めていた。地図はルミナスが持っている。
街道を抜けると、やがて岩場と木々が入り混じる険しい道へと変わっていく。

「へへっ! ようやく冒険らしくなってきたな!」
ソウマは胸を張り、剣の柄を叩きながら先頭を歩く。

「はぁ……ほんとに調査のつもりあるのかしら」
ルミナスは呆れたように吐き捨てるが、ソウマは気にも留めない。

「黒龍がいるなら俺がぶっ倒す! そんだけだろ!」
「……調査って言葉、もう一度勉強したほうがいい」
俺はため息をつきながら後ろから突っ込んだ。

リアナは少し緊張した面持ちで、胸元に下げた小さなペンダントを握りしめている。
「でも……本当に黒龍がいるなら、私たちだけで大丈夫でしょうか」

「心配するな! 勇者ソウマ様がいるんだからよ!」
ソウマが振り返って笑顔を見せると、リアナは苦笑いで小さく頷いた。



しばらく歩いたところで、ソウマが立ち止まった。
「おおっ! 見ろよ! こっちに近道っぽい道があるぞ!」

「またそれ?地図では真っ直ぐよ。」
ルミナスが眉をひそめる。

「勇者の勘がそう言ってるんだ!」
ソウマは得意げに胸を叩き、そのまま茂みをかき分けて突き進んでいく。

俺は頭を抱えた。
(またかよ……この前も散々迷ったのに)

結局、茂みの奥は崖っぷちだった。
「うおおおっ!?」
ソウマが足を滑らせて転がり落ちかけ、俺が慌てて腕を掴んで引き戻す。

「お、危なっ……!」
ソウマは息を荒げながらも、「へ、平気平気! 俺がわざと確認したんだ!」と強がった。

「……ほんとに、死ぬ気で確認する馬鹿がどこにいるのよ」
ルミナスの冷たいツッコミをいれた。



昼前、俺たちは少し開けた岩場で腰を下ろし、昼食をとることにした。
パンと干し肉をかじりながら、ソウマが口を開く。

「なぁ……黒龍って本当にいるのかな」

「おや? 珍しいわね。あんたが弱気になるなんて」
ルミナスが半目で見やる。

「弱気じゃねえよ! ただ……あの銀髪野郎も動いてるって聞いたからな。負けてられねぇだろ!」
ソウマは拳を握りしめ、悔しそうに唸る。

「……やっぱり、そこが気になってるのね」
ルミナスは小さくため息をついた。

リアナはそんな二人を見ながら、柔らかく笑う。
「でも、どちらが先に黒龍を見つけるかより……大事なのは、みんなで無事に戻ることですよ」

俺は頷き、パンを噛みちぎった。
(そうだな……だが黒龍の背後に“魔の影”があるなら、無事に済む保証はない。だからこそその時は俺が……)



昼食を終え、再び歩き出す。
ソウマは元気を取り戻したのか、剣を肩に担いで歌を歌い始めた。

「♪黒龍なんて~ぶった斬る~俺は勇者~最強だ~!」

「……調子に乗るとまた転ぶわよ」
ルミナスが釘を刺すと、案の定ソウマは石につまずいて前のめりに倒れた。

「うげっ!?」
「……ほらね」
冷たく言い放つルミナス。リアナは慌てて駆け寄り、俺は小さく肩をすくめた。



夕刻。山道の入り口に差しかかったところで、ルミナスが足を止めた。
「ここから先が山岳地帯。黒龍が現れたとされる場所よ」

ソウマは剣を握りしめ、真剣な顔になった。
「ようやく来たか……! 待ってろよ、黒龍!」

俺は静かに頷き、険しい山の影を見上げた。
(ここからが本番だ……何が待っていようと、避けられない)

こうして、俺たちは黒龍の影が潜む山岳地帯へと足を踏み入れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

処理中です...