世界に転生したは俺は、勇者たちを導く

鈴木泉

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第3章 黒龍討伐

第27話 戦慄の山頂

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翌朝ーーーー

昨日の防寒の疲れもあってか、はたまた黒龍がいたことの事実から目を背けてか、俺たちはまだ誰も目を覚ましていなかった。
だが、穏やかな眠りも束の間ーーーー

『ドガァァァァァンッ』
山を揺るがす轟音、地面を這うような爆発音と共に俺らは一斉に飛び起きる。

「な、なんだ!飯か!?」
ソウマは寝ぼけたまま飛び起きた。

「バカね。こんな爆発音なるわけないでしょ!」
ルミナスが即座に怒鳴った。

次の瞬間リアナが山の上を見て震えながら指を指し叫びを上げた。
「み、み、みみ、みなさん!あ、あれを見てください!」


山頂の方に目をやるとーー黒き巨影、大きな翼を広げる龍の姿があった。その下の方には、氷壁がありユウマが戦っていると即座に分かった。

「…銀髪野郎!あいつ黒龍と戦ってるじゃないか!」
ソウマは悔しそうに剣を強く握る。

次の瞬間ーー再び轟音、黒龍が吐いた爆炎によって山頂の岩壁が砕け散った。遠くから見たその姿は伝承などでは語り尽くせないほどの “絶望” という言葉の意味そのままだった。

「ち、ちっくしょう!あいつに先に倒されてたまるか!!俺たちも行くぞ!」

「おい!ソウマ!」
俺は、止めようとしたがソウマは気にせず走っていった。

「あのバカ....調査なのよ!んもう!」
ルミナスは呆れた顔をして後を追い走り出す。

俺は剣に手をかけ、息を吐いた。
(...黒龍。やはりあいつは魔の世界の影響を受けている。放ってはおけない)

「テーレ!」
リアナが俺の袖を掴む。
「ユウマ様やソウマ様、ルミナスさんも...皆さんが危ないです!何故、テーレにこんな事を言ってるのか私にも分かりません。でも、あなたならどうにかしてくれる。そんな気がするのです。お願いします。テーレ」

震えている手、今にも泣きそうな声。ここから逃げたい気持ちを押し殺してみんなの心配をしているリアナにどこか背中を押された気がした。

(今まで隠していた事、仮面を被らず、俺の本当の姿を見せる時が来たのかもしれない。)

「リアナ、安心しろ。必ず俺が無事に終わらせる。」
まだ、心は決まってないが口から勝手に言葉が出た。

「はい!!」
リアナは笑顔で答えた。

ーーーーー

走り出した俺とリアナは、ソウマ達に合流し黒龍のいる山頂を目指す。足元は岩と砂利で道という道はなかったが、止まる事はなかった。

突如、茂みの方から 下級魔獣の人喰い鼠ーー【グールラット】が飛び出してきた。

「邪魔だァァァァァ」
ソウマが一閃、剣を振り抜き、グールラットを切り裂いた。
だが、まだ2匹飛び出していた。それと同時にルミナスが詠唱をはじめていた。

いかづちよ、矛となりて敵を貫けーー《ライトニング・パイク》

ルミナスの“雷魔法”が2匹を貫き跡形もなくなったが、威力が壮大すぎて隣にある山にまで届き岩肌は崩れ落ちていた。

「ふぅ...気持ちい。でも、久しぶりに魔法を使うと調整が難しいわね」
と、珍しく嬉しそうな顔をしていた。

(調整ができてるとこ、見たことないぞ)
俺は、言葉にはせず心の中に留めておいた。


リアナは息を切らしながらも後を追いかけていた。
「皆さん...はぁはぁ、速すぎます...でも止まらず行きましょう...」


ーーーーー

その後も、何体か下級の魔獣が行く手を阻んだ。

「なんか、この辺魔獣多くないか?」
ソウマが走りながら話しかける。

「黒龍からでてる“魔の瘴気”によって魔獣が凶暴化して襲ってきているんだろう。」
俺は、短く答え剣を握り直した。

「ほうほう!つまり、勇者である俺を歓迎してるんだな!!」
ソウマは楽しげにしていた。

「歓迎っていうか...餌にしか見られてないわよ。」
ルミナスが冷ややかな声が飛ぶ。

「皆さん!はぁはぁ...そんなことよりもうすぐ着きます!」
リアナは苦しそうに叫んだ。


ーーーーーー


俺たちは、幾重も魔獣を斬り捨て、やがて山頂に辿り着いた。風は荒れ狂い、焦げ臭い煙が辺りを覆っていた。

「そんな.....ひどい」
リアナが声を震わせた。

そこに広がっていたのは、見るも無惨な光景だった。
地面には剣や、盾が散乱し冒険者達も皆、倒れていた。焼け焦げた鎧や、爪で引き裂かれた傷跡、生き残りはユウマ、ただ1人だけだった。

「うっ...」
リアナは口元を押さえルミナスが背を撫でていた。

「ユウマ以外は全滅か...」
俺は亡骸に目をやり呟いた。

「許せねえ...こいつらの仇まで取る。それが勇者である俺の使命だ!!黒龍は絶対に許さない...」
ソウマは膝をつき、そっと亡骸に手を当て、その拳を強く握りしめていた。


ーーーーーー


その時、
「グォォォォォォォォォォォォォォオ!!!」
天地を揺らし体の芯から恐怖を覚えるような咆哮が轟いた。

次の瞬間、俺らの上に“黒龍”は姿を現した。







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