世界に転生したは俺は、勇者たちを導く

鈴木泉

文字の大きさ
26 / 26
第3章 黒龍討伐

第27話 戦慄の山頂

しおりを挟む


翌朝ーーーー

昨日の防寒の疲れもあってか、はたまた黒龍がいたことの事実から目を背けてか、俺たちはまだ誰も目を覚ましていなかった。
だが、穏やかな眠りも束の間ーーーー

『ドガァァァァァンッ』
山を揺るがす轟音、地面を這うような爆発音と共に俺らは一斉に飛び起きる。

「な、なんだ!飯か!?」
ソウマは寝ぼけたまま飛び起きた。

「バカね。こんな爆発音なるわけないでしょ!」
ルミナスが即座に怒鳴った。

次の瞬間リアナが山の上を見て震えながら指を指し叫びを上げた。
「み、み、みみ、みなさん!あ、あれを見てください!」


山頂の方に目をやるとーー黒き巨影、大きな翼を広げる龍の姿があった。その下の方には、氷壁がありユウマが戦っていると即座に分かった。

「…銀髪野郎!あいつ黒龍と戦ってるじゃないか!」
ソウマは悔しそうに剣を強く握る。

次の瞬間ーー再び轟音、黒龍が吐いた爆炎によって山頂の岩壁が砕け散った。遠くから見たその姿は伝承などでは語り尽くせないほどの “絶望” という言葉の意味そのままだった。

「ち、ちっくしょう!あいつに先に倒されてたまるか!!俺たちも行くぞ!」

「おい!ソウマ!」
俺は、止めようとしたがソウマは気にせず走っていった。

「あのバカ....調査なのよ!んもう!」
ルミナスは呆れた顔をして後を追い走り出す。

俺は剣に手をかけ、息を吐いた。
(...黒龍。やはりあいつは魔の世界の影響を受けている。放ってはおけない)

「テーレ!」
リアナが俺の袖を掴む。
「ユウマ様やソウマ様、ルミナスさんも...皆さんが危ないです!何故、テーレにこんな事を言ってるのか私にも分かりません。でも、あなたならどうにかしてくれる。そんな気がするのです。お願いします。テーレ」

震えている手、今にも泣きそうな声。ここから逃げたい気持ちを押し殺してみんなの心配をしているリアナにどこか背中を押された気がした。

(今まで隠していた事、仮面を被らず、俺の本当の姿を見せる時が来たのかもしれない。)

「リアナ、安心しろ。必ず俺が無事に終わらせる。」
まだ、心は決まってないが口から勝手に言葉が出た。

「はい!!」
リアナは笑顔で答えた。

ーーーーー

走り出した俺とリアナは、ソウマ達に合流し黒龍のいる山頂を目指す。足元は岩と砂利で道という道はなかったが、止まる事はなかった。

突如、茂みの方から 下級魔獣の人喰い鼠ーー【グールラット】が飛び出してきた。

「邪魔だァァァァァ」
ソウマが一閃、剣を振り抜き、グールラットを切り裂いた。
だが、まだ2匹飛び出していた。それと同時にルミナスが詠唱をはじめていた。

いかづちよ、矛となりて敵を貫けーー《ライトニング・パイク》

ルミナスの“雷魔法”が2匹を貫き跡形もなくなったが、威力が壮大すぎて隣にある山にまで届き岩肌は崩れ落ちていた。

「ふぅ...気持ちい。でも、久しぶりに魔法を使うと調整が難しいわね」
と、珍しく嬉しそうな顔をしていた。

(調整ができてるとこ、見たことないぞ)
俺は、言葉にはせず心の中に留めておいた。


リアナは息を切らしながらも後を追いかけていた。
「皆さん...はぁはぁ、速すぎます...でも止まらず行きましょう...」


ーーーーー

その後も、何体か下級の魔獣が行く手を阻んだ。

「なんか、この辺魔獣多くないか?」
ソウマが走りながら話しかける。

「黒龍からでてる“魔の瘴気”によって魔獣が凶暴化して襲ってきているんだろう。」
俺は、短く答え剣を握り直した。

「ほうほう!つまり、勇者である俺を歓迎してるんだな!!」
ソウマは楽しげにしていた。

「歓迎っていうか...餌にしか見られてないわよ。」
ルミナスが冷ややかな声が飛ぶ。

「皆さん!はぁはぁ...そんなことよりもうすぐ着きます!」
リアナは苦しそうに叫んだ。


ーーーーーー


俺たちは、幾重も魔獣を斬り捨て、やがて山頂に辿り着いた。風は荒れ狂い、焦げ臭い煙が辺りを覆っていた。

「そんな.....ひどい」
リアナが声を震わせた。

そこに広がっていたのは、見るも無惨な光景だった。
地面には剣や、盾が散乱し冒険者達も皆、倒れていた。焼け焦げた鎧や、爪で引き裂かれた傷跡、生き残りはユウマ、ただ1人だけだった。

「うっ...」
リアナは口元を押さえルミナスが背を撫でていた。

「ユウマ以外は全滅か...」
俺は亡骸に目をやり呟いた。

「許せねえ...こいつらの仇まで取る。それが勇者である俺の使命だ!!黒龍は絶対に許さない...」
ソウマは膝をつき、そっと亡骸に手を当て、その拳を強く握りしめていた。


ーーーーーー


その時、
「グォォォォォォォォォォォォォォオ!!!」
天地を揺らし体の芯から恐怖を覚えるような咆哮が轟いた。

次の瞬間、俺らの上に“黒龍”は姿を現した。







しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...