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話は終わったとばかりに、二人はセイ様にまとわりついて話込む姿は、日頃の様子と真逆過ぎて別人のようだ。
「長官、先程の魔力量についてですが、どれ位の差があるのですか?」
「私が1だとすれば、セイ様は10はあると思っていい。質は5以上で伸びしろもある」
「長官の10倍って簡単に言わないで下さい」
「何を驚いているんだ、精霊の子だと仰られていただろう。精霊に愛されている者の魔力の高さが低いはずがない位のことは子供でも知っている」
実はセイ様以上に怒っていたライは、呆れたように応えていた。
ぞんざいな口調のままで直す気にもならないが、相手はその事すら気付いてない。
「ですが、長官の魔力量も歴代最高値を遥かに超えています。それ以上にあるともう理解の範囲外で、想像もつかないです」
「念のため言っておくが、セイ様に対して無礼や失言をすれば、処罰される。今回は大目にみられているが、次はないと思いなさい。精霊の子は陛下の保護対象で、側仕えはセイ様の気分を害する者に、慈悲をかけることもない」
未だに混乱しているアルノルドに釘を刺しておく、実際に側仕えから冷え冷えとした視線を向けられてるが、セイ様が慈悲を示した相手を罰することはないだろう。
とはいえ、それはこの場においてで、また何かしでかしたら一切の弁明も聴かれず処分されかねない。
混乱していても、保守的な現実主義者であるだけに現状が理解できたようだ。
思いっきりギクシャクした動きでこちらを見てくる。
「理解出来たようでなにより、言葉には重々気を付けなさい」
「庇ってくれる気はないのですか?あまりにも冷た過ぎます」
「精霊の怒りを買っている者をどう助けるのだ?精霊の機嫌が治るまで、魔法は使えないと思いなさい。ああ、それから事務作業中心の予定に変更しておくから、仕事への支障は気にしなくて大丈夫だ」
「もしかしなくても、長官も怒っています?私は何だか色々と詰んでいるような気がしてきました」
「だから、セイ様が二人に口添えして下さり、後処理の問題は糸口が見つかっただろう。それだけでも、ありがたいと思いなさい」
詰み過ぎてどう仕様もないからと、手助けしているセイ様は甘過ぎる。
それにすら気付いてないで愚痴を零す相手に苛立ちが増している。
事務作業や慣習に則った決まりごとには優秀だが、異常に鈍く勘が悪い。
理解していても時と場合によっては降格させたくなる。
嘆息して、冷静になる為にも他の話題を。
茶菓子談議になっているセイ様宛に預かっている物があったことを思い出した。
「歓談中に失礼しますが、セイ様への贈り物を預かっていましたので、渡しておきます」
箱詰めされた茶葉だが、入れ物は先日セイ様が考案した物に手を加えた逸品だ。
送り主は姉さんで、好評で売行きが上がった礼を兼ねてと手紙にあった。
内容を確認して、驚きながら嬉しそうにしている。
観ていた二人が入れ物を食い入るように見て歓声をあげている。
人気商品で中々手に入らない事でも有名なようだ。
そんな商品の最新作で更にレア商品化している物が目の前にあれば、納得の反応だ。
あんまりにも喜んでるから、終いにはセイ様が持っていくかと、訊くが流石にそれは断っていた。
それならばと、お茶をいれて飲もうかと一つを開封して、サッと準備してしまった。
(使っていた茶器を魔法でサッと綺麗にして、使った茶葉は消え新しく準備した物を入れてポットにお湯が満たされている)
魔法であっという間に用意されて、アルフレッドが手を出す前に全て配ってしまう。
その上、新たに二人分の茶器を造り出して、それにも同じようにいれて側仕え達の前に浮いてる。
どうぞと言われて皆頂いたが、宙に浮いた茶器を手に取るのは流石に躊躇していた。
主人から勧められて飲まないわけにもいかず、何とも言えない表情で飲んでいたが、内心味わいたいのに味わえないなんて勿体無いと思っていた。
手に取った器を改めて見ると、優美ながら手にしっくりと馴染むいい品だ。
魔力が感じられる者にとっては、垂涎の的で二人の茶器を羨まし気にみていた。
「長官、先程の魔力量についてですが、どれ位の差があるのですか?」
「私が1だとすれば、セイ様は10はあると思っていい。質は5以上で伸びしろもある」
「長官の10倍って簡単に言わないで下さい」
「何を驚いているんだ、精霊の子だと仰られていただろう。精霊に愛されている者の魔力の高さが低いはずがない位のことは子供でも知っている」
実はセイ様以上に怒っていたライは、呆れたように応えていた。
ぞんざいな口調のままで直す気にもならないが、相手はその事すら気付いてない。
「ですが、長官の魔力量も歴代最高値を遥かに超えています。それ以上にあるともう理解の範囲外で、想像もつかないです」
「念のため言っておくが、セイ様に対して無礼や失言をすれば、処罰される。今回は大目にみられているが、次はないと思いなさい。精霊の子は陛下の保護対象で、側仕えはセイ様の気分を害する者に、慈悲をかけることもない」
未だに混乱しているアルノルドに釘を刺しておく、実際に側仕えから冷え冷えとした視線を向けられてるが、セイ様が慈悲を示した相手を罰することはないだろう。
とはいえ、それはこの場においてで、また何かしでかしたら一切の弁明も聴かれず処分されかねない。
混乱していても、保守的な現実主義者であるだけに現状が理解できたようだ。
思いっきりギクシャクした動きでこちらを見てくる。
「理解出来たようでなにより、言葉には重々気を付けなさい」
「庇ってくれる気はないのですか?あまりにも冷た過ぎます」
「精霊の怒りを買っている者をどう助けるのだ?精霊の機嫌が治るまで、魔法は使えないと思いなさい。ああ、それから事務作業中心の予定に変更しておくから、仕事への支障は気にしなくて大丈夫だ」
「もしかしなくても、長官も怒っています?私は何だか色々と詰んでいるような気がしてきました」
「だから、セイ様が二人に口添えして下さり、後処理の問題は糸口が見つかっただろう。それだけでも、ありがたいと思いなさい」
詰み過ぎてどう仕様もないからと、手助けしているセイ様は甘過ぎる。
それにすら気付いてないで愚痴を零す相手に苛立ちが増している。
事務作業や慣習に則った決まりごとには優秀だが、異常に鈍く勘が悪い。
理解していても時と場合によっては降格させたくなる。
嘆息して、冷静になる為にも他の話題を。
茶菓子談議になっているセイ様宛に預かっている物があったことを思い出した。
「歓談中に失礼しますが、セイ様への贈り物を預かっていましたので、渡しておきます」
箱詰めされた茶葉だが、入れ物は先日セイ様が考案した物に手を加えた逸品だ。
送り主は姉さんで、好評で売行きが上がった礼を兼ねてと手紙にあった。
内容を確認して、驚きながら嬉しそうにしている。
観ていた二人が入れ物を食い入るように見て歓声をあげている。
人気商品で中々手に入らない事でも有名なようだ。
そんな商品の最新作で更にレア商品化している物が目の前にあれば、納得の反応だ。
あんまりにも喜んでるから、終いにはセイ様が持っていくかと、訊くが流石にそれは断っていた。
それならばと、お茶をいれて飲もうかと一つを開封して、サッと準備してしまった。
(使っていた茶器を魔法でサッと綺麗にして、使った茶葉は消え新しく準備した物を入れてポットにお湯が満たされている)
魔法であっという間に用意されて、アルフレッドが手を出す前に全て配ってしまう。
その上、新たに二人分の茶器を造り出して、それにも同じようにいれて側仕え達の前に浮いてる。
どうぞと言われて皆頂いたが、宙に浮いた茶器を手に取るのは流石に躊躇していた。
主人から勧められて飲まないわけにもいかず、何とも言えない表情で飲んでいたが、内心味わいたいのに味わえないなんて勿体無いと思っていた。
手に取った器を改めて見ると、優美ながら手にしっくりと馴染むいい品だ。
魔力が感じられる者にとっては、垂涎の的で二人の茶器を羨まし気にみていた。
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