傍観者を希望

静流

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緑雲宮に戻って一息ついた頃に、お茶を出された。

暗に説明を求めているが、決して問い詰めてこない。

匙加減が流石だが、今回は多少圧が掛かった視線付きだ。
応えるまで、見逃す気はないようだ。

「取り敢えず、二人とも座ってくれないか?」

「執事が同席する訳には参りません」
「申し訳ありませんが、職務中ですのでお断りさせて頂きます」

想像通りの返答に嘆息する。

「では、説明している間だけ職務外として座って聴いて下さい」

「セイ様、そんな屁理屈を申されても困ります」

「話す相手が立っている方がやり難いから、座って欲しいだけなのに。アルフレッドは執事だから。グレンは職務中はと言えば全て通るのは狡いと思う」

「子供のような、駄々を捏ねられるのは珍しいですね」
「お仕えして初めてではないでしょうか?」

本人を前に、二人して感慨深くいう事だろうか。
意外に先程の事を根に持っているんだろうかと、視線を遣れば生暖かい目で見ている。

「子供の成長を喜んでいる好々爺のようだが、言っているのは真逆だと気付いてますか?」

「セイ様、私は耄碌しておりません」
「いえ、漸く本音が多少でも聴けて嬉しいだけです」

年齢差が妙に出てる反応だが、アルフレッドは単に照れて文句を言ったようだ。

「それなら、願いをきいてくれてもいいだろう。護衛がというなら結界を張って置くから、問題ない」

顔を見合わせていたが、仕様がないと座ってくれた。
ただ、今回だけです。と釘は刺されてしまったが。

「セイ様、その前にお訊きしてもいいでしょうか?」

緊張した面持ちに質問内容が解った。

「グレンが訊きたいのは、結界に関してかな。この宮は禁足地扱いだけど人の出入りがあるから、私を起点に防音・防御に魔法の無力化等の結界を展開している」

「‼︎」
「では、最初にお会いした時に既に張られていたのですか?」

やっぱり、そう考えるよね。解っていたが、つい目が泳ぐ。
アルフレッドから「セイ様?」と怪訝な声を掛けられる。
出来れば突っ込まないで欲しかった。

「グレンにはもっともらしい事を言ったけど、無意識にやっていた事だけに不明としか言いようがない。ライに指摘されて初めて自覚した位だからね」

「セイ様…結界って無意識で張れるものですか」

「よく魔力が枯渇しませんでしたね」

「維持はそれ程魔力を消費しないから、その点では問題ない。逆にその所為で気付かなかった」

「その流れで、一つ気になっていたのですか。薬師長とは随分と親しいご様子でしたが、どのようなご関係か、お訊きしても宜しいでしょうか?」

「アルフレッドが一番気にしていた事だね。ライは私の育て親の一人で、水の精霊王」

「精霊王がなぜ長官に?」

「私の我儘が原因かな。契約を請われた時に、人の事が解らないのにどう助けるつもりだと文句を言ったそうだよ。結果的に契約したい者たちは人として生活し、地盤を築いている」

「もしかして、あの場に来られたお二人もそうですか?」

「ああ、だから建国祭の後に遊びに来るように言ったんだ。成人したら契約する約束だったからね。当初、あの二人は数に入ってなかったから、ライは面白くなかったみたいだけどね」

あの時のライの仏頂面を思い出して苦笑した。
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