傍観者を希望

静流

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各自ゆったりとお茶を楽しんでいる雰囲気だったのが、報告書を閉じた瞬間さっと居住まいを正し、お互いに牽制し合っている。

「リスティリアの件か?それとも他に何かあったか?」

水を向ければ、みな我が意を得たと身を乗り出す。

どちらが言うか無言の攻防の末に、ライが勝ったようだ。


「何故あの者なのですか?グレン殿が推挙した者たちより勝っている風には見えませんが」

アルフレッドまで、興味深そうに見ている。
誰も気付いていないのかと見回せば、グレンも納得がいってないのが見て取れる。

ライトは逆に意味深な笑みを見せている。
一歩退いて観ている分、見えてくる物があるのか。


「逆に何で気付かないんだ。先ほど、ライが乱入して来た時に判らなかったのか?」

「目立った動きはしてないかと」

「いや、咄嗟に間合いを確認していた」

「剣にしっかり手が掛かっていましたね」

「セイ様と同じくらいに気配を察知して警戒してたな」

「開く前には殺気が放たれてました」

「全員の動きをサッと確認してましたよ」


各自気付いた点を挙げて確認し合っているが、やはりライトが一番よく観ている。

この時点で、何となく当たりをつけた者と、未だに怪訝な様子の者に分かれている。


「護衛に必要なのは勘の良さに、素早い状況判断。最後に剣の腕だが、時間稼ぎ程度でも逃すのには充分だと認識している」


「僭越ながら、一般的には剣の腕が突出している者が適任で、その他の要素は経験で修得されるものです」

「先ずは腕っ節の強さがなければ、護衛は無理です。勘や判断能力に、重きをおいても意味がないでしょう」

「いや、貴人の護衛に限定するなら、セイ様の仰るのも一理あります」

「そうですね。大抵は数人で護衛しますから、一人いれば役立つのではないですか」


「そういう事ではなく、動体視力が優れた者で、腕も立つ護衛という括りで探されたのでは?」

「ライトが、やはり一番よく解っていたか」

苦笑すれば、ライトはしたり顔だ。

「だから、敢えて近衛騎士ではなく、平の騎士を選ばれたのでしょう?」

「近衛騎士は護衛能力は優れているが、臨機応変さには欠けていた。殺気を飛ばしても、無反応では少々気掛かりだ」

視界の隅でグレンが、思い至ったようで顔を顰めている。


「では、先程の騎士は反応したので?」

「ああ、他にも数名いたが、みな手合わせを希望したお蔭で、色々と観察もできて良かったよ」

和かに告げるが、周りは何故か引いている。
そんなに変なことを言ったか?

「あれは、手合わせというより試験だったのですね」

何処かげんなりと、ランがぼやく。


「セイ様は一切無駄がないのですね」

妙に嫌味が感じられる。アルフレッドからの称賛(?)に、首を傾げる。

「何のことだ?今回は代理要員の選別だった筈だが、何か問題があったか」

「問題は勿論ありません。ただ、見た目に誤魔化されると痛い目にあうと再認識しただけです」

頭が痛いというような態度をとる。

解せん、とばかりに拗ねてみせても、生暖かく見られるだけで、やっている方が恥ずかしくなった。


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