傍観者を希望

静流

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一応アスカルトも僅かだが治癒魔法が使えたので、軍部で相手を叩きのめすことはあっても、手当てする事はしたことがなかったのだ。

逆に、リラティスは治癒魔法は勿論のこと、他の魔法にも精通してたが、体力がなく剣術の講義も避けていたので悪循環だった。魔法も使うのには最低限体力がいるのに、苦手を理由にやらないから歪みが生じていた。

正反対の二人だが、何故か仲は良く剣術が全く出来なくても、リラティスを馬鹿にすることもなかったので、これを利用することにしたのだ。


当初は、双方から散々文句を言われたが、相手にせず様子を見守り続けた。

数ヶ月後、漸くアスカルトが以前より穏和になってきた。
リラティスも、基礎体力が徐々に上がってきたと報告を受けた。

結局、1年その状態で過ごさせて、少しずつ内容を変えていき、週の半分を治癒園と軍部で分け合わせた。

アスカルトが週の始め治癒園で、後半を軍部で以前のように剣術をさせ、リラティスは、その逆で前半は軍部で護身術を、後半を治癒園に割り振ったのだ。


3年後、軍部から礼状が届いた。

アスカルトの更生に感謝の意を示され、それはそれで微妙な気分だった。

私自身は、更生させたつもりはないのだ、足りない分を補っただけで、そう評価されてはアスカルトが哀れだ。

アスカルトは、元々優しい面もあったのだが、自分が怪我した事もないので気遣うことが出来なかったのだ。
リラティスが訓練で、怪我をして初めて理解したし、泣言を聴いたのも役立ったようだ。


リラティスも、訓練を始めて怪我を負った際には、自分で治癒魔法をかけようとして不発に終わり、初めて自分の歪みに気が付いた。

魔力の循環が不調なのは知っていたが、原因までは解ってなかったというよりは、目を瞑っていたのだ。
その結果が不発という形で顕著に出てしまったので、嫌でも認めるほかなかった。

基礎体力の足りない分まで、魔力で補って魔法を使い続けたのだから、より魔力を使う治癒ではもう魔力が足りなかったのだ。

理解した後は、只管文句も言わずに基礎訓練に打ち込んでいると聞き、安堵の溜息が出たほどだ。


二人揃って、頭ごなしに諭して納得する素直な性格ではなく、どちらかといえば頑固で妙に意志が強いのだ。

お蔭で実施で理解してもらったが、口で諭すより効果は絶大だった。

今では休みの日にまで、治癒園や薬草園の手伝いを申し出たり、軍部で基礎訓練以外の剣術や体術も試しているそうで、頭が下がる。

その一方で、薬草に興味を持ったはいいが、医務官が処方する薬にまで意見をしたり、苦手な講義の講師から逃走し続けてたりというオチがついた。
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