傍観者を希望

静流

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想定通りではあったが、綺麗に書類は片付けられて、部屋には水差しとコップが有るだけだった。グレンの気遣いか、割と好みのアロマが薫っている寝室を見回し、溜息を零す。

「有能過ぎるのも考えものだな。隠してあった書類までないとは…。大人しく寝るしかなさそうだな」

げんなりとして、寝具を捲ろうとした時に、下の方が騒めいている気配を察知した。
探索するまでもなく、サムが戻ったのだと気付いて、部屋を飛び出した。

「セイ様?お休みになるのでは、なかったのですか?」

「如何なさいましたか?」

アルフレッド達が驚いた顔で尋ねてくるが、伝令が駆け上がってくる方が早い。

「!セイ様。御前失礼致します。隊長が、ただ今戻りました事を、此処にご報告致します」

「ご苦労様。それで、サムは元気そうか?」

まさか、待ち構えるようにして居るとは思わなかった騎士が、慌てて跪き報告してきた。労いの言葉をかけて、健康状態を問えば、蒼白になり土下座し詫びてくる。

「ああ、すまない。言葉が悪かったようだが、無事の確認をしただけで他意はないから、頭を上げてくれないか?」

「滅相もありません。誤解をし申し訳ありませんでした。あ、隊長は無事ですし、健康状態も良好のようで、一切問題ありません」

一体どういう説明をされているのか、完全に緊張して言葉に纏まりがない。
意味は通じるが…。理由は、制服の肩を見て分かった。
伝令役とはいえ、一兵卒に無茶な命令をする。

「伝令ご苦労様。サムに、明日の朝にでも顔を出すように伝えて置いてくれる?」

「は!畏まりました。そのようにお伝え致します。御前失礼致します」

多少ぎこちない動きだが、颯爽と下がっていくと言うよりは、逃げ帰って行くが近いかも知れない。それくらい、妙に素早い退席だったのだ。

「…なってませんな」
「再教育が必要そうですね」

背後からは冷ややな評価が下されていて、この場にいない先程の騎士に、思わず合掌したくなる。

「2人揃って辛口の評価だが、一兵卒に伝令させた方が問題だろう?可哀想なくらい緊張していた」

振り返って窘めれば、アルフレッドが訝しげに見てきた。

「先程の者が一兵卒だ、と何故お分かりになったのですか?」

「軍服の袖を見れば一目瞭然だと思うが?」

「袖…ですか。それならば確かですが、そうなると妙ですな」

「はい。その事の方が問題ですね。ちょっと下に行って見てきます」

アルフレッドが顔を顰め、グレンも強張った表情になっている。
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