224 / 292
224
しおりを挟む
呆れた視線を向けつつ、背後に控えていたアルフレッドに声を掛ける。
「アルフ。悪いが、サムの家に一報を入れて、安心させて置いてくれないか?」
「承知致しました。何か序でに添えて置きましょうか?」
「そうだな、女性が好みそうなものを頼むよ」
「では、そのように手配して置きましょう。朝食は何方でとられますか?」
「東屋で頂くが、少し散歩してくる」
起き抜けからの騒動で、食欲も失せていたから、この際ゆっくり散歩する事にした。
アルフレッドは、一礼して下がりグレンが静かに付いてくる。
居るのかすら、疑問に思えるくらい気配を消している所為か、1人で気ままな散歩をしている気分を味わえる。
視界に入らないギリギリの立ち位置で、警護してくれる気遣いに気付き、内心苦笑していた。
それほど疲れて観えたのだろうか、という意味での自嘲だったが、朝から一気に気分が塞いでしまったのは確かだ。
察しが良い側仕えだと感心する反面、勘が良過ぎて気詰まりでもある。ちょっとした気分の変化まで把握されては、肩が凝ってしまうのだ。
「グレン。サムに制裁を加えようとする者が、いないか注意して置いてくれるか?」
「はい。極秘裡に警護を付けますか?」
「その方が安心だが…気付かないか?」
「可能性はありますが、アレは勘がいいので騒ぐ真似はしません」
此方の意図を察し、黙していると言われれば、あり得そうだと頷いた。
「なら、その様に頼む」
「御意」
スッと頭を下げて応じられたが、流石に即座に下がる事もしない。
出来れば1人で散歩したいが、無理そうな感じだ。
「グレン。別に付いてなくても問題ないから、手配に行って構わないのだが…」
「それは申し訳ありませんが、出来かねます。せめてアルフが側に付いてから、向かわせて頂きます」
淡々と詫びの言葉を添えてくるが、目は微妙に咎める色合いを含んでいた。
「この宮内は安全なのだが…。グレンは心配性だな」
「そういう問題ではありません。セイ様、護衛が控える状況は慣れませんか?」
「いや、そういう訳ではないのだが…。偶に、1人になりたい気分になるだけだ」
「気配を消していても、気になりましたか…」
困ったように零され、やっぱり気を遣わせていたのかと嘆息した。
挙句、何か思案している雰囲気までしていて、更に気を配られるのは、流石に申し訳なさ過ぎる。
「グレン。深く考えなくて良いから、充分配慮して貰っている」
「しかし…気に障るような警護をする訳にはいきません」
グレンは、騎士道精神の賜物のような事を述べるが、これ以上努力しようがない域に達している。
「気持ちは有り難いが、今の状態で充分満足しているから、これ以上は考慮しなくていい、いいな?」
「セイ様のご意向に従います。ただ、到らぬ点は直すべきかと存じますが?」
グレンは口では了承したが、納得は出来ないようで、改善を望む声を上げる。
「アルフ。悪いが、サムの家に一報を入れて、安心させて置いてくれないか?」
「承知致しました。何か序でに添えて置きましょうか?」
「そうだな、女性が好みそうなものを頼むよ」
「では、そのように手配して置きましょう。朝食は何方でとられますか?」
「東屋で頂くが、少し散歩してくる」
起き抜けからの騒動で、食欲も失せていたから、この際ゆっくり散歩する事にした。
アルフレッドは、一礼して下がりグレンが静かに付いてくる。
居るのかすら、疑問に思えるくらい気配を消している所為か、1人で気ままな散歩をしている気分を味わえる。
視界に入らないギリギリの立ち位置で、警護してくれる気遣いに気付き、内心苦笑していた。
それほど疲れて観えたのだろうか、という意味での自嘲だったが、朝から一気に気分が塞いでしまったのは確かだ。
察しが良い側仕えだと感心する反面、勘が良過ぎて気詰まりでもある。ちょっとした気分の変化まで把握されては、肩が凝ってしまうのだ。
「グレン。サムに制裁を加えようとする者が、いないか注意して置いてくれるか?」
「はい。極秘裡に警護を付けますか?」
「その方が安心だが…気付かないか?」
「可能性はありますが、アレは勘がいいので騒ぐ真似はしません」
此方の意図を察し、黙していると言われれば、あり得そうだと頷いた。
「なら、その様に頼む」
「御意」
スッと頭を下げて応じられたが、流石に即座に下がる事もしない。
出来れば1人で散歩したいが、無理そうな感じだ。
「グレン。別に付いてなくても問題ないから、手配に行って構わないのだが…」
「それは申し訳ありませんが、出来かねます。せめてアルフが側に付いてから、向かわせて頂きます」
淡々と詫びの言葉を添えてくるが、目は微妙に咎める色合いを含んでいた。
「この宮内は安全なのだが…。グレンは心配性だな」
「そういう問題ではありません。セイ様、護衛が控える状況は慣れませんか?」
「いや、そういう訳ではないのだが…。偶に、1人になりたい気分になるだけだ」
「気配を消していても、気になりましたか…」
困ったように零され、やっぱり気を遣わせていたのかと嘆息した。
挙句、何か思案している雰囲気までしていて、更に気を配られるのは、流石に申し訳なさ過ぎる。
「グレン。深く考えなくて良いから、充分配慮して貰っている」
「しかし…気に障るような警護をする訳にはいきません」
グレンは、騎士道精神の賜物のような事を述べるが、これ以上努力しようがない域に達している。
「気持ちは有り難いが、今の状態で充分満足しているから、これ以上は考慮しなくていい、いいな?」
「セイ様のご意向に従います。ただ、到らぬ点は直すべきかと存じますが?」
グレンは口では了承したが、納得は出来ないようで、改善を望む声を上げる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる