53 / 88
第二章 ヴァンパイアシスターズ
第二章 第三十三話 決着! ベイカー戦
しおりを挟む
「ウキーウキー、ウキウキキ? ウキキ?」
ベイカーがこの状況で挑発しているのがわかる。
でも今は彼に反応する余裕はない。
ウキィーウキィーウキィー
ウキキィー
ウキィ
ウキィー
ウキィーウキィー
俺たちの周りには数多くの影たち。
以前ならばこの状況に混乱し、何もできなかった。
でも今は違う。彼女を助けなければならない。
瞬くと右手に剣(つるぎ)を持っている。
亮夜が叫ぶ。
「いくぞぉぉぉ!」
「あぁ!」
「えぇ!」
「はい!」
「おう!」
最初に仕掛けたのはベルだった。
「撃てぇぇぇ!!」
彼女の号令と共に銃声が轟く。
ダダダダダーーン!
銃弾は見事に影たちを撃ち抜く。
しかし、数が多い。
「人間を舐めないで!!」
神代がそう叫び地面に刺している槍を握ると、花壇から蔓が勢いよく生えてきた。
蔓は影たちに突っ込んでいく。
それに反応できなかったのか、影たちは霧散する。
「ウキッ!? ウ、ウキキー!」
影たちも黙っていない。
屋根にいる影たちが飛び降りてくる。
「もう遅いよ」
岩城がそう言うと、チャクラムが飛び降りてくる影たちを斬っていく。
すごい、ここまで予測していたのか。
ん? 後ろからピリピリ感じる。
俺は振り返りそのまま斬る。
残っていたのは霧散する煙だけであった。
「おらぁぁぁぁぁぁ!」
亮夜の声?
声の方を見ると、亮夜が蔓の上を走って、ベイカーに向かっている。
帯がベイカーを捕まえようとする。
「捕まえ……あれ?」
しかし、ベイカーはそれを避け、亮夜の股下を通り抜ける。
「ウキキー、 ウーキ!」
ベイカーがこっちに向かってくる。
「宏! 捕まえてくれ!」
「えっ!?」
俺はベイカーを覆いかぶさるように、全身を使って捕まえようとした。
しかし、あっさり避けられ抜かれる。
どこに行くんだ?
目でベイカーを追うと、彼は飛び上がり、花壇から出た蔓に器用に登る。
「ベイカーがあっちに逃げたよ!」
「待ちなさい!!」
ダダダダダーーン!!
ウキキィー
ウキィ
ウキィー
ウキィーウキィー
銃声と猿の咆哮がどよめく。
そんな中でベイカーは逃げる。それを追う神代。
「ウキキッ、ウキキウキーキ……」
つるーーん
「ウキッ!?」
蔓の上で急に滑り、そのまま落下した。
影たちが消えていく。
「終わったのか?」
でもなぜだ?
俺たちは花壇の方に行き、ベイカーに近づく。
そこには完全に伸びている猿の姿があった。
「縛っておくわ」
そう言い神代は細い蔓を出し、手足を縛る。
「でもどうしてベイカーはあそこで落ちたのでしょうか?」
「知るかよ。それよりもこれが鍵か」
そう言い亮夜はベイカーの首に掛かっている鍵を取ろうと、近づいた瞬間「うっ、なんだよこれ! くっせ!」と鼻を抑える。
「なんだこれ!? 酸っぱい臭いがするぞ」
「酸っぱい臭い?」
酸っぱい臭い……その言葉に思い当たるものがある。
『岩城くんの口から岩城くんが……』
あれだ。
「それ岩城くんのものじゃないかな」
「え゛っ!? 岩城のものってことは……」
「あぁ、吐いたやつだね!」
「うぇ、岩城、あんたが取れ」
「え~、なんでだよ~」
「あんたの中に入ってたものだろ? だったらあんたが取れ」
「はぁ、仕方ないなぁ」
そう言い岩城はベイカーから鍵を取る。
「ほら、鍵取ったよ」
「それじゃ、行きましょ」
神代がそう言い、屋敷に向かおうとする。
亮夜、岩城が彼女と一緒に向かっていく。
俺も行こうとした瞬間、「あの!」と後ろから声が聞こえた。
振り返るとベルが俺たちの顔を見ている。
そして、下を向きこう言った。
「ベイカーを見張ってていいですか? なにが起こるかわからないので……」
来ないのか。
俺はベル以外のみんなの顔を見る。
みんな小さく頷いている。
「わかった。ベイカーを見張ってて」
「うん、これからは僕たちに任せてよ!」
「あぁ、だからあんたはその猿を見といてくれ」
「よろしく」
彼女は頭を上げ「はい!」と返事する。
後ろから「皆さん、頑張ってください!」と声援を受けながら、俺たちはそのまま屋敷の玄関まで行くのだった。
ベイカーがこの状況で挑発しているのがわかる。
でも今は彼に反応する余裕はない。
ウキィーウキィーウキィー
ウキキィー
ウキィ
ウキィー
ウキィーウキィー
俺たちの周りには数多くの影たち。
以前ならばこの状況に混乱し、何もできなかった。
でも今は違う。彼女を助けなければならない。
瞬くと右手に剣(つるぎ)を持っている。
亮夜が叫ぶ。
「いくぞぉぉぉ!」
「あぁ!」
「えぇ!」
「はい!」
「おう!」
最初に仕掛けたのはベルだった。
「撃てぇぇぇ!!」
彼女の号令と共に銃声が轟く。
ダダダダダーーン!
銃弾は見事に影たちを撃ち抜く。
しかし、数が多い。
「人間を舐めないで!!」
神代がそう叫び地面に刺している槍を握ると、花壇から蔓が勢いよく生えてきた。
蔓は影たちに突っ込んでいく。
それに反応できなかったのか、影たちは霧散する。
「ウキッ!? ウ、ウキキー!」
影たちも黙っていない。
屋根にいる影たちが飛び降りてくる。
「もう遅いよ」
岩城がそう言うと、チャクラムが飛び降りてくる影たちを斬っていく。
すごい、ここまで予測していたのか。
ん? 後ろからピリピリ感じる。
俺は振り返りそのまま斬る。
残っていたのは霧散する煙だけであった。
「おらぁぁぁぁぁぁ!」
亮夜の声?
声の方を見ると、亮夜が蔓の上を走って、ベイカーに向かっている。
帯がベイカーを捕まえようとする。
「捕まえ……あれ?」
しかし、ベイカーはそれを避け、亮夜の股下を通り抜ける。
「ウキキー、 ウーキ!」
ベイカーがこっちに向かってくる。
「宏! 捕まえてくれ!」
「えっ!?」
俺はベイカーを覆いかぶさるように、全身を使って捕まえようとした。
しかし、あっさり避けられ抜かれる。
どこに行くんだ?
目でベイカーを追うと、彼は飛び上がり、花壇から出た蔓に器用に登る。
「ベイカーがあっちに逃げたよ!」
「待ちなさい!!」
ダダダダダーーン!!
ウキキィー
ウキィ
ウキィー
ウキィーウキィー
銃声と猿の咆哮がどよめく。
そんな中でベイカーは逃げる。それを追う神代。
「ウキキッ、ウキキウキーキ……」
つるーーん
「ウキッ!?」
蔓の上で急に滑り、そのまま落下した。
影たちが消えていく。
「終わったのか?」
でもなぜだ?
俺たちは花壇の方に行き、ベイカーに近づく。
そこには完全に伸びている猿の姿があった。
「縛っておくわ」
そう言い神代は細い蔓を出し、手足を縛る。
「でもどうしてベイカーはあそこで落ちたのでしょうか?」
「知るかよ。それよりもこれが鍵か」
そう言い亮夜はベイカーの首に掛かっている鍵を取ろうと、近づいた瞬間「うっ、なんだよこれ! くっせ!」と鼻を抑える。
「なんだこれ!? 酸っぱい臭いがするぞ」
「酸っぱい臭い?」
酸っぱい臭い……その言葉に思い当たるものがある。
『岩城くんの口から岩城くんが……』
あれだ。
「それ岩城くんのものじゃないかな」
「え゛っ!? 岩城のものってことは……」
「あぁ、吐いたやつだね!」
「うぇ、岩城、あんたが取れ」
「え~、なんでだよ~」
「あんたの中に入ってたものだろ? だったらあんたが取れ」
「はぁ、仕方ないなぁ」
そう言い岩城はベイカーから鍵を取る。
「ほら、鍵取ったよ」
「それじゃ、行きましょ」
神代がそう言い、屋敷に向かおうとする。
亮夜、岩城が彼女と一緒に向かっていく。
俺も行こうとした瞬間、「あの!」と後ろから声が聞こえた。
振り返るとベルが俺たちの顔を見ている。
そして、下を向きこう言った。
「ベイカーを見張ってていいですか? なにが起こるかわからないので……」
来ないのか。
俺はベル以外のみんなの顔を見る。
みんな小さく頷いている。
「わかった。ベイカーを見張ってて」
「うん、これからは僕たちに任せてよ!」
「あぁ、だからあんたはその猿を見といてくれ」
「よろしく」
彼女は頭を上げ「はい!」と返事する。
後ろから「皆さん、頑張ってください!」と声援を受けながら、俺たちはそのまま屋敷の玄関まで行くのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる