とっていただく責任などありません

まめきち

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再び

街の広場での視察を終えた団長は、帰り道の路地で、ふと目を止めた。

――あの夜の女性か?

背格好、立ち姿、ほんの少しの仕草――
夕暮れに照らされるその人の様子は、舞踏会のあの女性にそっくりだった。
ただ、正確には、確信は持てない。
距離もあり、名前も知らない。
ただ、心の奥にざわつくものを感じる。

「……誰だろう、あの女性は」

団長は低く呟き、足を一歩前に出す。
女性は驚いたように振り返り、団長の視線に気づく。

「……あの、団長?」

その声に団長は、思わず立ち止まった。
舞踏会で聞いた声とは少し違う――でも、どこか似ている。

「君……以前、どこかで会ったような気がする」

口に出してしまったが、あくまで推測にすぎない。
目の前の女性が舞踏会の彼女であるという確証はまだない。
それでも、心の奥が少し高鳴った。

女性は微かに笑みを返す。
「えっと……そうでしょうか?」

団長は軽く視線を外し、わずかに笑う。
「いや……違うかもしれない。
でも、なんだか見覚えがある気がしてな」

その言葉に、女性は少し首をかしげた。
「見覚え……ですか?」

団長は深く息を吸い、そっと一歩近づく。
「まあ……偶然かもしれない」

でも胸の奥は、偶然だとは思えない。
なぜなら、あの夜の舞踏会の女性――
その姿が、今も頭から離れないからだ。

「あと時の答え合わせ、名を聞いてもいいだろうか」

ヘイゼルは頭をフル回転させ亡き母の名を口にした
「リ、リザです」

団長はふわりと笑うと呟くように
「リザ…か。
私のことはメルフィスと呼んで欲しい」


夕暮れの静かな路地に、二人だけの間ができる。
まだ名前も、正体も分からない。
でも、互いの存在を感じるには十分すぎる距離感だった。

団長は無意識に視線を追う。
その女性――舞踏会で見た彼女――の仕草に、心をざわつかせながら。

それは、確信にはまだ遠い。
けれど、静かに恋の予感が芽生え始める瞬間だった。

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