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第三章「陵辱の迷宮」
第8話「魔導師リナの崩壊」
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金属の匂いが濃く漂う部屋。
壁一面に埋め込まれた管が淡く光り、一定の間隔で鈍い脈動を繰り返していた。
その中心に、リナは拘束されていた。
両腕を広げるようにして鉄枷に固定され、背中には無数の金属製の触手が突き立てられている。
光る管を通じて、彼女の魔力が何かへと吸い上げられていく。
額には汗が滲み、瞳は焦点を失っていた。
唇が震え、かすれた声が零れる。
「……誰か……ユウト……」
その名を呼ぶたびに、魔力の流れが激しくなる。
装置が彼女の感情に反応しているかのようだった。
助けを求めたい――その本能が、逆に装置の動力を増幅させていく。
だが、そのとき。
通路の奥から魔法の閃光が漏れた。
焦げた鉄の匂いと共に、青年の姿が現れる。
「リナッ!!」
息を荒げ、焦燥に駆られたように走り込むユウトだった。
リナを拘束する触手と装置を見て、表情が凍る。
「離せぇええッ!!」
ユウトの怒号と共に火炎魔法が放たれる。
赤い光が触手を焼くが、すぐに再生する。
焦げた煙が充満し、鉄の臭気が濃くなった。
リナの唇がかすかに動いた。
「……ダメ、ユウト……来ちゃ……ダメ……」
その声には、恐怖と理性が入り混じっていた。
助けてほしい――けれど、彼がここで死ぬことだけは望まない。
理性が残る限り、ユウトをこの地獄に近づけたくなかった。
「何を言ってるんだ! 俺が、お前を――!」
ユウトは必死に触手を薙ぎ払うが、そのたびに金属の鞭が再生し、彼を押し返す。
リナの視界が揺れる。魔力の流出により意識が遠のき、音だけがぼんやりと響いていた。
炎の轟音、鉄の軋み、そしてユウトの叫び。
自分が助からないことを、彼女はもう理解していた。
命の灯が消えゆく中、走馬灯のように仲間たちの笑顔が脳裏を過る。
ユウトが真剣な顔で呪文を唱え、セリスが微笑み、ミリアが明るく笑い、バルドが大剣を担ぐ。
それは、もう戻れない日常の記憶だった。
リナの頬を涙が伝い落ちる。
そして最後に、目の前で戦い続けるユウトへ視線を向けた。
「ユウト……聞いて……」
その声はかすれ、ほとんど息に近かった。
けれど確かに届くよう、最後の力で言葉を紡ぐ。
「私、あなたのこと……好きだった」
その瞬間、装置の光が弾けた。
金属音が爆ぜ、触手が激しく震える。
リナの身体が宙に引き上げられ、光の奔流の中で静止した。
ユウトが手を伸ばす――
だが届かない。
光が弾けた次の瞬間、リナの身体は脱力したように垂れ下がり、
拘束具が軋む音だけが残った。
「リナぁぁああああッ!!!」
ユウトの叫びが、崩壊する空間に響いた。
炎と煙の中、彼の目には、微笑を浮かべたまま動かないリナの顔が焼き付いて離れなかった。
――そしてその笑顔は、彼の心を完全に壊した。
壁一面に埋め込まれた管が淡く光り、一定の間隔で鈍い脈動を繰り返していた。
その中心に、リナは拘束されていた。
両腕を広げるようにして鉄枷に固定され、背中には無数の金属製の触手が突き立てられている。
光る管を通じて、彼女の魔力が何かへと吸い上げられていく。
額には汗が滲み、瞳は焦点を失っていた。
唇が震え、かすれた声が零れる。
「……誰か……ユウト……」
その名を呼ぶたびに、魔力の流れが激しくなる。
装置が彼女の感情に反応しているかのようだった。
助けを求めたい――その本能が、逆に装置の動力を増幅させていく。
だが、そのとき。
通路の奥から魔法の閃光が漏れた。
焦げた鉄の匂いと共に、青年の姿が現れる。
「リナッ!!」
息を荒げ、焦燥に駆られたように走り込むユウトだった。
リナを拘束する触手と装置を見て、表情が凍る。
「離せぇええッ!!」
ユウトの怒号と共に火炎魔法が放たれる。
赤い光が触手を焼くが、すぐに再生する。
焦げた煙が充満し、鉄の臭気が濃くなった。
リナの唇がかすかに動いた。
「……ダメ、ユウト……来ちゃ……ダメ……」
その声には、恐怖と理性が入り混じっていた。
助けてほしい――けれど、彼がここで死ぬことだけは望まない。
理性が残る限り、ユウトをこの地獄に近づけたくなかった。
「何を言ってるんだ! 俺が、お前を――!」
ユウトは必死に触手を薙ぎ払うが、そのたびに金属の鞭が再生し、彼を押し返す。
リナの視界が揺れる。魔力の流出により意識が遠のき、音だけがぼんやりと響いていた。
炎の轟音、鉄の軋み、そしてユウトの叫び。
自分が助からないことを、彼女はもう理解していた。
命の灯が消えゆく中、走馬灯のように仲間たちの笑顔が脳裏を過る。
ユウトが真剣な顔で呪文を唱え、セリスが微笑み、ミリアが明るく笑い、バルドが大剣を担ぐ。
それは、もう戻れない日常の記憶だった。
リナの頬を涙が伝い落ちる。
そして最後に、目の前で戦い続けるユウトへ視線を向けた。
「ユウト……聞いて……」
その声はかすれ、ほとんど息に近かった。
けれど確かに届くよう、最後の力で言葉を紡ぐ。
「私、あなたのこと……好きだった」
その瞬間、装置の光が弾けた。
金属音が爆ぜ、触手が激しく震える。
リナの身体が宙に引き上げられ、光の奔流の中で静止した。
ユウトが手を伸ばす――
だが届かない。
光が弾けた次の瞬間、リナの身体は脱力したように垂れ下がり、
拘束具が軋む音だけが残った。
「リナぁぁああああッ!!!」
ユウトの叫びが、崩壊する空間に響いた。
炎と煙の中、彼の目には、微笑を浮かべたまま動かないリナの顔が焼き付いて離れなかった。
――そしてその笑顔は、彼の心を完全に壊した。
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