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性能
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やばかった......異物が刺さっていると回復しないなんて思わなかった......
そうなると最初、自殺しようとした時には何かがあって岩から頭が抜けたから復活できたのか。
「こう考えると自分は結構綱渡りで来ていたんだな......アハハハッ......」
今まで生きてきた中で、全く運を使わなかったおかげなのかな。ダンジョンに来てから上手く行き過ぎていたから、何をしても大丈夫......上手くいくのだと考えてしまっていた。
「気を付けなきゃ。やる時は躊躇わずに、普段は慎重にいかなきゃ」
モンスターは全て倒してあるから周囲には何もいない。今までに無いくらい疲れたから、このまましばらく休憩しよう。
レベルアップのポイントは敏捷に振ってから目を閉じた。
◆◆◆
どれくらい寝ていただろうか、自分が熟睡していた事に気付いて飛び起きた。
不用心にも程があるが、モンスターの襲撃が無かった事は運がよかったのだろう。
「アハハハハッ......やばかった。気を付けると言ったそばから爆睡しちゃうとは......情けないなぁ」
熟睡してしまったおかげか体調も頭もスッキリしている。ただこれはたまたま上手く作用しただけで、これは猛省すべき案件だ。
倒したモンスターの死体はまだ残っていたけど、傷口から血がほとんど流れ出してしまっていて、採取できた血液は微々たるものだった。
矢張りと言うかなんと言うか、流れ出して地面に染み込んだり乾いた血の跡からは血は取れず。
「ハハハハッ。今回の一戦は高い授業料を払わされたと思って諦めよう。心構えとか気の持ち方を改めさせてくれたからね......」
結構な血を失った。だが、自分が甘かった所為だから諦めろと言い聞かせて自分の気持ちを諌める。
「解体と剥ぎ取りをやってみよう。このナイフの切れ味や性能も確かめられるだろうし」
ナイフを手に取りモンスターの死体に向き合う。自分のスキルのおかげで面倒で時間の掛かる血抜きの時間を大幅に短縮できるのは幸いだ。
死体に刃を突き立てると、大した抵抗もなくスルスルと刃が通っていく。
お腹が空いていなかったので、リザードマンを乱雑に切り分け、肉の塊をドンドンと作っていく。
人型のモンスターの解体でも内臓が多少グロいと感じる程度で、特に吐き気を催す事もなく作業は進む。
「よし、これくらいでいいか。リザードマンの肉で試した後は、未解体のメイズウルフでも試そう......さぁ、食っていいぞ」
肉食ナイフの名前しか知らないので、その名前から連想される事を試してみる。
先ずは手始めに語りかけてみる。だが何も起こらず。
「意志を持って食いつくなんて事は無いか......それをやったら完全に呪いの装備だよね。じゃあ次だ......」
次に行ったのはナイフを肉に突き刺す。それだけ。
しかしこれも何も起こらず。
「刺したら勝手に肉を食い始めてくれたら楽になったのに......手に持って相手を刺しても食いつかないのは解体してる時に確認済み。それじゃあ今度は許可してみよう。食っていいぞ」
刺すだけで肉を食い始めたら、投げナイフとして活用できた。だがそれは流石に無理かと断念。
次いで突き刺して許可をすれば食い始めるかの確認。これで食い始めてくれたら投げナイフ案が再浮上だったのだけれど、これも効果が無かった。
「こうなると......自分のスキルのように使うしかないみたいだね。これで発動してくれたらいいけど、発動しなかったら完全にただのナイフとして使うしかない。ふぅ、行くぞ......食え」
思い付いたアイディアのラスト、手で持って突き刺して許可を出すを実行。
許可を出した途端にナイフの刀身が熱を帯び、柄の方にまで熱が伝播してくる。
驚いて手を離しかけるが、途中で肉を食わせるのをキャンセルしたらどうなるのかわからなくて怖かったから、気合いを入れて手に伝わってくる熱に耐える。
「ナイフに吸い込まれるように肉が吸収されていく......不思議な光景だ」
あっという間に肉が無くなり、床に骨が転がった。食うってよりも吸われたと表現した方が正しい気がする。
ナイフがどう変わったのかは見た目では全くわからない。ただ、これっぽっちの肉では何も変わらないだろうし、残りの肉も早く食わせてしまおうと作業を再開した。
「気持ち程度鋭さが増した? 最初よりも若干刃の入りがよくなった気がする?」
多分だけど肉を食わせる事により、刃の鋭さや頑丈さが増すのだろう。そして自己修復機能もある気がする。
このナイフ、レアモンスターのドロップだけあってかなり性能がいい。食わせれば食わせただけ性能や刃の長さが変われば、永遠に使っていられる。
研ぎの技術も道具も無い現状、これはとても助かる。こうなると、戦闘中いつでも抜けるようにホルスターみたいな物が欲しい......この余ったリザードマンの革を、時間を使ってどうにか出来れば作れそうな気もするけど、知識が無いから時間の無駄で終わりそう。
いや、間違いなく時間の無駄で終わるだろう。
ドロップやそれらしい物を装備しているモンスターを倒して奪ったほうが早いな......と自己完結し、メイズウルフの死体に向き合う。
「未解体の死体に刺してみてどうなるか......中の肉だけが無くなるのがベスト。さぁどうなる......」
頭の潰れたメイズウルフの死体にナイフを刺し、食えと命ずる。
こちらが望んだ通りの行動をしてくれたのか、仕様なのか......詳しい事はわからないけど、ナイフは肉だけを綺麗に吸い取ってくれた。
ただ臓物は肉とカウントしないらしく、中の肉が消えたメイズウルフの死体の中には骨と内臓が残っていた。
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
Lv:40
HP:100%
MP:100%
物攻:36
物防:1
魔攻:5
魔防:1
敏捷:34→36
幸運:7
残SP:2→0
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残52.4L
不死血鳥
状態異常耐性Lv2
拳闘Lv2
簡易鑑定
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
ボロボロな腰蓑
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
獣皮の鞄
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そうなると最初、自殺しようとした時には何かがあって岩から頭が抜けたから復活できたのか。
「こう考えると自分は結構綱渡りで来ていたんだな......アハハハッ......」
今まで生きてきた中で、全く運を使わなかったおかげなのかな。ダンジョンに来てから上手く行き過ぎていたから、何をしても大丈夫......上手くいくのだと考えてしまっていた。
「気を付けなきゃ。やる時は躊躇わずに、普段は慎重にいかなきゃ」
モンスターは全て倒してあるから周囲には何もいない。今までに無いくらい疲れたから、このまましばらく休憩しよう。
レベルアップのポイントは敏捷に振ってから目を閉じた。
◆◆◆
どれくらい寝ていただろうか、自分が熟睡していた事に気付いて飛び起きた。
不用心にも程があるが、モンスターの襲撃が無かった事は運がよかったのだろう。
「アハハハハッ......やばかった。気を付けると言ったそばから爆睡しちゃうとは......情けないなぁ」
熟睡してしまったおかげか体調も頭もスッキリしている。ただこれはたまたま上手く作用しただけで、これは猛省すべき案件だ。
倒したモンスターの死体はまだ残っていたけど、傷口から血がほとんど流れ出してしまっていて、採取できた血液は微々たるものだった。
矢張りと言うかなんと言うか、流れ出して地面に染み込んだり乾いた血の跡からは血は取れず。
「ハハハハッ。今回の一戦は高い授業料を払わされたと思って諦めよう。心構えとか気の持ち方を改めさせてくれたからね......」
結構な血を失った。だが、自分が甘かった所為だから諦めろと言い聞かせて自分の気持ちを諌める。
「解体と剥ぎ取りをやってみよう。このナイフの切れ味や性能も確かめられるだろうし」
ナイフを手に取りモンスターの死体に向き合う。自分のスキルのおかげで面倒で時間の掛かる血抜きの時間を大幅に短縮できるのは幸いだ。
死体に刃を突き立てると、大した抵抗もなくスルスルと刃が通っていく。
お腹が空いていなかったので、リザードマンを乱雑に切り分け、肉の塊をドンドンと作っていく。
人型のモンスターの解体でも内臓が多少グロいと感じる程度で、特に吐き気を催す事もなく作業は進む。
「よし、これくらいでいいか。リザードマンの肉で試した後は、未解体のメイズウルフでも試そう......さぁ、食っていいぞ」
肉食ナイフの名前しか知らないので、その名前から連想される事を試してみる。
先ずは手始めに語りかけてみる。だが何も起こらず。
「意志を持って食いつくなんて事は無いか......それをやったら完全に呪いの装備だよね。じゃあ次だ......」
次に行ったのはナイフを肉に突き刺す。それだけ。
しかしこれも何も起こらず。
「刺したら勝手に肉を食い始めてくれたら楽になったのに......手に持って相手を刺しても食いつかないのは解体してる時に確認済み。それじゃあ今度は許可してみよう。食っていいぞ」
刺すだけで肉を食い始めたら、投げナイフとして活用できた。だがそれは流石に無理かと断念。
次いで突き刺して許可をすれば食い始めるかの確認。これで食い始めてくれたら投げナイフ案が再浮上だったのだけれど、これも効果が無かった。
「こうなると......自分のスキルのように使うしかないみたいだね。これで発動してくれたらいいけど、発動しなかったら完全にただのナイフとして使うしかない。ふぅ、行くぞ......食え」
思い付いたアイディアのラスト、手で持って突き刺して許可を出すを実行。
許可を出した途端にナイフの刀身が熱を帯び、柄の方にまで熱が伝播してくる。
驚いて手を離しかけるが、途中で肉を食わせるのをキャンセルしたらどうなるのかわからなくて怖かったから、気合いを入れて手に伝わってくる熱に耐える。
「ナイフに吸い込まれるように肉が吸収されていく......不思議な光景だ」
あっという間に肉が無くなり、床に骨が転がった。食うってよりも吸われたと表現した方が正しい気がする。
ナイフがどう変わったのかは見た目では全くわからない。ただ、これっぽっちの肉では何も変わらないだろうし、残りの肉も早く食わせてしまおうと作業を再開した。
「気持ち程度鋭さが増した? 最初よりも若干刃の入りがよくなった気がする?」
多分だけど肉を食わせる事により、刃の鋭さや頑丈さが増すのだろう。そして自己修復機能もある気がする。
このナイフ、レアモンスターのドロップだけあってかなり性能がいい。食わせれば食わせただけ性能や刃の長さが変われば、永遠に使っていられる。
研ぎの技術も道具も無い現状、これはとても助かる。こうなると、戦闘中いつでも抜けるようにホルスターみたいな物が欲しい......この余ったリザードマンの革を、時間を使ってどうにか出来れば作れそうな気もするけど、知識が無いから時間の無駄で終わりそう。
いや、間違いなく時間の無駄で終わるだろう。
ドロップやそれらしい物を装備しているモンスターを倒して奪ったほうが早いな......と自己完結し、メイズウルフの死体に向き合う。
「未解体の死体に刺してみてどうなるか......中の肉だけが無くなるのがベスト。さぁどうなる......」
頭の潰れたメイズウルフの死体にナイフを刺し、食えと命ずる。
こちらが望んだ通りの行動をしてくれたのか、仕様なのか......詳しい事はわからないけど、ナイフは肉だけを綺麗に吸い取ってくれた。
ただ臓物は肉とカウントしないらしく、中の肉が消えたメイズウルフの死体の中には骨と内臓が残っていた。
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吉持ㅤ匠
Lv:40
HP:100%
MP:100%
物攻:36
物防:1
魔攻:5
魔防:1
敏捷:34→36
幸運:7
残SP:2→0
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残52.4L
不死血鳥
状態異常耐性Lv2
拳闘Lv2
簡易鑑定
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
ボロボロな腰蓑
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
獣皮の鞄
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