ぎゅっ。

桜花(sakura)

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マミの異変

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   パチ……パチ……パチパチパチ……! 

   (そんなに強く叩いたら、手が痛くなっちゃうよ)   

 そんな風に思ってしまうくらいの、割れんばかりの。 大きな、大きな拍手が巻き起こって。    
 
  マミは嬉しくて嬉しくて。

   
  「ありがとう、ご……ざいました」 

  その大きな瞳は涙で潤み、涙で声も震え、詰まってしまって……   

(まだまだ、伝えたいことあるのに……) 

  隣にいる愛朱実が心配そうに。  

 「マミ? 大丈夫? 深呼吸しようか。ね?」    



   マミの背中をさすりながら、そう言うと。 

 

       -キーン-  


 「っ……」   

 極度の緊張感から、解き放たれたからかな? 伝えなきゃならないことあるのに。って 思ったからかな?  

  しゃくり上げていたマミ。

 少しギュッ。 って、頭が締め付けられた感覚がした瞬間……   

 補聴器が過剰に『何か』を『音』? を拾ってしまったのか?

   -キーン-    

  軽く不快な音が補聴器からして……  

 「いっ……」  

  補聴器のついた左耳を、左手で押さえて苦しげに呻いたマミ。 

  「マミ? 一回補聴器を外そうか」   


   愛朱実は。 

  「大丈夫。大丈夫だからね?」 

  
     ちっちゃな声で呟きながら、マミの補聴器外してあげて。        

  「マメちゃん?」   

   拓眞がマミのそんな様子に、動揺しかけた時。   

   「拓眞。踏ん張れ」  

  朔弥が、ちっちゃな声で諭してくて。  

   拓眞が 、ハって。すると。 子供達も、ザワザワってしかけていて。 

  (そうだよ! 俺はマメちゃんに、子供たちのことは任せろ! って約束したんだ!) 

  愛朱実がマミを、一旦『あそびのへや』から退出させてくれて。  

  拓眞は、それを確認すると。


   「みんな、大丈夫。大丈夫だからね」

    子供達に。落ち着くように。って。努めて明るく、声をかけると。

  

    「キーンって、したのかな ? あれ、とってもイヤなの」  


      一人の男の子が。右耳に補聴器をした男の子が呟いて……     
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