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主君を守りし者達

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   桜桃城内 庭の一角にて
  
 「外喜殿の動きに気を付けて行かねばなるまいよ……」

鈴様の、後見として力を増しつつある凛実の方の叔父の外喜。

「基史殿は、秘密裏に外喜殿の動きを探って」

「勇殿は、表で桜家の方々をお守りする」

「今まで以上に心して……まぁ、発言力を増しているとはいえ、外喜殿の強引さに人が付いていってないのが救いですよね」

庭師である基史は、自分より六つも若い青年の利発さに、感心していた。

内と、外から桜家を守る仲間として、心強い……己の方が年上なのだからもっと頑張らねばな。そう、考えていた基史に。

「楓菜様の才覚と、爽兄上の人柄に家臣はまとまり。楓希様に伯父の陽は、家督をゆずられても楽隠居せずに、若夫婦を支えていて。朝比奈家の事は、祖父が私の代わりにして下さっている」

「一枚岩の結束の桜家と、朝比奈家を崩そうと、外喜殿は、勇殿を見方に付けようしてますね」

「時に、相手の懐に入って考えを探ったり。外喜殿の動きを 食い止めるのに精一杯で……基史殿の。忽那家の、外から支えて下ださる。その力に助けられているのですよ」


勇は勇で、いつも物静かな基史を。確実な仕事をこなす基史を頼りにし、尊敬していたのである。



「源本家に嫁がれた、楓希様のお妹の、凛夏りんか様と、瑠喜るき殿が。娘である側室の凛実の方の立場を考えて外喜の働きかけには、応じずいて下さるから助かる」


勇と基史は、外喜の野心に決して屈するまい。と心新たにし。桜王家を守る為に、最善を尽くし頑張って行こうと誓い合ったのである。

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