138 / 153
23章 聖戦
黒竜の息吹
しおりを挟む
ローゼリエッタには、黒竜が放つ光の輝きに見覚えがあった。
太陽の光のような自然的発光とはまるで違う、魔法の発動時に見られる光の明滅によく似た輝き。見たのはいつの事だったか。然程昔ではない、されどごく最近の話でもない。幾らもしないうちに、高速で回転する思考回路が一つの答えをはじき出した。
「まさか……魔導砲!?」
その光はかつての魔法都市が作り上げた大量破壊兵器。魔導砲の放つ光と同じものであった。
更に少女は思い出す。以前王国で起きた戦闘時に、城壁に並ぶ魔導砲を食らう巨人がいた事を。そして、その巨人の数体が魔導砲の力を取り込み、何度か使用していたことも。
つまりアニムが呼び出した巨人は、その時に生き残った内の一体であり、魔導砲の力を有する特異な巨人だったのだ。そしてその巨人は、更に白龍の力を一部取り込むことで、人智を超えた存在へと昇華してしまった。
その光の正体に気付いたのはローゼリエッタだけではない。
アニムもまた、その光の正体に気付いていた。
(ううむ……あれ程の魔力の塊を受けては、ただの人間では一溜りもあるまい)
黒竜の口はまっすぐ少女の方を向いている。このまま放てば少女は周辺の景色諸共跡形もなく消し飛んでしまうだろう。
アニムは人知れず、悔しさに歯を噛みしめた。漸く、漸く人間が見つけた数少ない生き残る道だというのに、それすらも今閉ざされようとしていた。
世界の管理者として、人間に冷徹な宣告を降したアニムだったが、それは彼の本意ではない。
かつてエルフの族長カーシーンが叫んだように、同じ世界に住まう家族が滅ぶさまを見て、何も感じぬ程心が無いわけではないのだ。もし仮に、何も感じぬように作られているのだとしたら、百年もの間病魔を食らう物を封じ込めることも、人間の傍に仕え内情を探るなんて面倒なことも、一切する筈が無い。
しかし、彼は世界の管理者として生み出され、世界を完璧に調整する使命を授かっていたのも事実。故に白龍は、最終的に世界の決定に従い人間を突き放したのだ。
使命に従い実行したアニムだったが、それでも彼は、世界が許容する範囲内で、人間が可能な限り生き残る道を模索した。例え絶滅する運命は変えられないのだとしても、可能な限り余生を謳歌できる様な道を模索した。その結果が、自ら動くことをしない『傍観』という手段だったのだ。
ただ傍観と言っても、中立という立場ではなかった。心はやはり同じ世界の住人である人間に傾きつつあり、本当の姿を曝した後も人間の話を良く聞き、出来る限り好意的に接してきた。それだけ人間はアニムにとって大事な存在であり、大事な家族でもあった。
それだけ大事な家族の命が、今まさに失われようとしている。だというのにアニムは唯傍観するだけだ。それも仕方のない事。創造主たる神に与えられた使命は、それだけ重く尊重されなければならない事柄なのだから。
黒竜の口からあふれる光は、遂に臨界点を超える。
一瞬全ての景色を埋め尽くす白光が瞬き、天地を震わす衝撃と、耳を劈く轟音と共に魔導砲が放たれた。
ローゼリエッタは魔導砲の進路にしっかりと納まっている。そして恐るべき速度で迫る魔力の塊からは、何をもっても避けることは叶わない。
少女に残された選択肢はもはや一つしかなかった。
パンドラは手に持っていた斧を放り捨てると、片方の手を胸に、もう片方の手を前方に突き出した。それからローゼリエッタの命令により、パンドラの体内に埋め込まれた魔法石は力を開放する。
「はぁぁぁあああ!!!」
魔法合金糸を通して、ありったけの魔力がパンドラの内部に送り込まれる。すると埋め込まれた魔法石の内、守りに関する魔法石が反応し封じ込められた魔法を展開し始めた。
迫る光の束に対し、現れるは巨大な二つの魔方陣。
一つは魔法攻撃に対する防御魔法。もう一つは相手の魔法を弱める弱化魔法。これらを最大出力で運用することで、魔導砲を耐えきろうと考えたのだ。
魔導砲が、一つの魔法陣に触れる。すると目に見えて変化が感じられた。僅かに光度が弱まり、光の束が少しだけ縮小する。騒音も若干だが収まったようにも思えた。だがそれでも、地形を抉り取る程の異常な威力を失うことはない。
続いて二つ目の魔法陣に触れた瞬間、ばちばちと何かがはじける音が鳴り響き、魔力がぶつかり合う衝撃により辺りに暴風が吹き荒れた。
ローゼリエッタは目を腕で守りながら衝撃に耐える。それから恐る恐る前方を見ると、パンドラの目の前には霧散する魔導砲の姿があった。
感嘆の声を漏らしたのは傍から見ていたアニムだ。
『おお……何ということだ。人の身でありながらあれを止めて見せるのか』
山を穿ち、海を裂く程の絶大な威力を持つ魔導砲。それを唯の人間の少女が止めて見せた。
白龍であれば易々とやって熟せるかもしれないが、少なくとも魔導砲が生まれてからこれまでの間で、それが防がれたことは一度もない。唯一、エルフが束になって魔法を唱えた事で、辛うじて軌道をずらすことには成功したが、それでも完璧とは程遠い防御法であった。それを、一人の少女と一つの人形が止めて見せたのだ。これはつまり、事防御力に関しては数十のエルフより上質であるという証拠にもなる。
思い通りになったことに、微笑みを湛えるローゼリエッタ。
だが、そこまでの力を代償も無しに振るうことは、この世界では許されないらしい。
ビシッ!!
突如、パンドラの突き出した腕に亀裂が入る。魔導砲の力に耐えきれなかったのだ。
その異変は糸を通して背後にいる少女にも伝わった。軋む体。歪む表情。十分な強度を誇っていた筈の身体が、尋常ではない衝撃に耐えきれず、どんどん崩壊を始める。
突き出した腕が吹き飛んだ。荒風にさらわれ、瞬く間に光の中へと取り込まれる。それと同時に少女は、腕を司る糸の断裂を感じた。
「そんな……」
続いて右の足が吹き飛び、次に左の胸部が吹き飛んだ。その断面からは、魔力が流れ光り輝く繭が見える。そして最後に、胸部に仕込まれた心臓部が衝撃と強風に煽られ、跡形もなく吹き飛んでしまった。
「……兄さん……兄さん!!」
ローゼリエッタは目の前で起きていることが信じられずに、涙を流しながら兄へと呼びかけるのみ。
やがて物言わぬ人形と傀儡師の繋がりは完全に断ち切られる。その証拠に、発動されていた二つの魔法陣も途絶え、魔導砲を抑える枷が失われた。
後は唯、圧倒的な威力に蹂躙されるのみ。
我楽多になったパンドラは無残にも魔力の波に飲み込まれる。
精巧な作りも、耽美な容姿も、もはや何も関係ない。
涙で滲んでしまった視界と、余りに激しい閃光を前に、少女は兄の姿を最後まで見ることが出来なかった。
太陽の光のような自然的発光とはまるで違う、魔法の発動時に見られる光の明滅によく似た輝き。見たのはいつの事だったか。然程昔ではない、されどごく最近の話でもない。幾らもしないうちに、高速で回転する思考回路が一つの答えをはじき出した。
「まさか……魔導砲!?」
その光はかつての魔法都市が作り上げた大量破壊兵器。魔導砲の放つ光と同じものであった。
更に少女は思い出す。以前王国で起きた戦闘時に、城壁に並ぶ魔導砲を食らう巨人がいた事を。そして、その巨人の数体が魔導砲の力を取り込み、何度か使用していたことも。
つまりアニムが呼び出した巨人は、その時に生き残った内の一体であり、魔導砲の力を有する特異な巨人だったのだ。そしてその巨人は、更に白龍の力を一部取り込むことで、人智を超えた存在へと昇華してしまった。
その光の正体に気付いたのはローゼリエッタだけではない。
アニムもまた、その光の正体に気付いていた。
(ううむ……あれ程の魔力の塊を受けては、ただの人間では一溜りもあるまい)
黒竜の口はまっすぐ少女の方を向いている。このまま放てば少女は周辺の景色諸共跡形もなく消し飛んでしまうだろう。
アニムは人知れず、悔しさに歯を噛みしめた。漸く、漸く人間が見つけた数少ない生き残る道だというのに、それすらも今閉ざされようとしていた。
世界の管理者として、人間に冷徹な宣告を降したアニムだったが、それは彼の本意ではない。
かつてエルフの族長カーシーンが叫んだように、同じ世界に住まう家族が滅ぶさまを見て、何も感じぬ程心が無いわけではないのだ。もし仮に、何も感じぬように作られているのだとしたら、百年もの間病魔を食らう物を封じ込めることも、人間の傍に仕え内情を探るなんて面倒なことも、一切する筈が無い。
しかし、彼は世界の管理者として生み出され、世界を完璧に調整する使命を授かっていたのも事実。故に白龍は、最終的に世界の決定に従い人間を突き放したのだ。
使命に従い実行したアニムだったが、それでも彼は、世界が許容する範囲内で、人間が可能な限り生き残る道を模索した。例え絶滅する運命は変えられないのだとしても、可能な限り余生を謳歌できる様な道を模索した。その結果が、自ら動くことをしない『傍観』という手段だったのだ。
ただ傍観と言っても、中立という立場ではなかった。心はやはり同じ世界の住人である人間に傾きつつあり、本当の姿を曝した後も人間の話を良く聞き、出来る限り好意的に接してきた。それだけ人間はアニムにとって大事な存在であり、大事な家族でもあった。
それだけ大事な家族の命が、今まさに失われようとしている。だというのにアニムは唯傍観するだけだ。それも仕方のない事。創造主たる神に与えられた使命は、それだけ重く尊重されなければならない事柄なのだから。
黒竜の口からあふれる光は、遂に臨界点を超える。
一瞬全ての景色を埋め尽くす白光が瞬き、天地を震わす衝撃と、耳を劈く轟音と共に魔導砲が放たれた。
ローゼリエッタは魔導砲の進路にしっかりと納まっている。そして恐るべき速度で迫る魔力の塊からは、何をもっても避けることは叶わない。
少女に残された選択肢はもはや一つしかなかった。
パンドラは手に持っていた斧を放り捨てると、片方の手を胸に、もう片方の手を前方に突き出した。それからローゼリエッタの命令により、パンドラの体内に埋め込まれた魔法石は力を開放する。
「はぁぁぁあああ!!!」
魔法合金糸を通して、ありったけの魔力がパンドラの内部に送り込まれる。すると埋め込まれた魔法石の内、守りに関する魔法石が反応し封じ込められた魔法を展開し始めた。
迫る光の束に対し、現れるは巨大な二つの魔方陣。
一つは魔法攻撃に対する防御魔法。もう一つは相手の魔法を弱める弱化魔法。これらを最大出力で運用することで、魔導砲を耐えきろうと考えたのだ。
魔導砲が、一つの魔法陣に触れる。すると目に見えて変化が感じられた。僅かに光度が弱まり、光の束が少しだけ縮小する。騒音も若干だが収まったようにも思えた。だがそれでも、地形を抉り取る程の異常な威力を失うことはない。
続いて二つ目の魔法陣に触れた瞬間、ばちばちと何かがはじける音が鳴り響き、魔力がぶつかり合う衝撃により辺りに暴風が吹き荒れた。
ローゼリエッタは目を腕で守りながら衝撃に耐える。それから恐る恐る前方を見ると、パンドラの目の前には霧散する魔導砲の姿があった。
感嘆の声を漏らしたのは傍から見ていたアニムだ。
『おお……何ということだ。人の身でありながらあれを止めて見せるのか』
山を穿ち、海を裂く程の絶大な威力を持つ魔導砲。それを唯の人間の少女が止めて見せた。
白龍であれば易々とやって熟せるかもしれないが、少なくとも魔導砲が生まれてからこれまでの間で、それが防がれたことは一度もない。唯一、エルフが束になって魔法を唱えた事で、辛うじて軌道をずらすことには成功したが、それでも完璧とは程遠い防御法であった。それを、一人の少女と一つの人形が止めて見せたのだ。これはつまり、事防御力に関しては数十のエルフより上質であるという証拠にもなる。
思い通りになったことに、微笑みを湛えるローゼリエッタ。
だが、そこまでの力を代償も無しに振るうことは、この世界では許されないらしい。
ビシッ!!
突如、パンドラの突き出した腕に亀裂が入る。魔導砲の力に耐えきれなかったのだ。
その異変は糸を通して背後にいる少女にも伝わった。軋む体。歪む表情。十分な強度を誇っていた筈の身体が、尋常ではない衝撃に耐えきれず、どんどん崩壊を始める。
突き出した腕が吹き飛んだ。荒風にさらわれ、瞬く間に光の中へと取り込まれる。それと同時に少女は、腕を司る糸の断裂を感じた。
「そんな……」
続いて右の足が吹き飛び、次に左の胸部が吹き飛んだ。その断面からは、魔力が流れ光り輝く繭が見える。そして最後に、胸部に仕込まれた心臓部が衝撃と強風に煽られ、跡形もなく吹き飛んでしまった。
「……兄さん……兄さん!!」
ローゼリエッタは目の前で起きていることが信じられずに、涙を流しながら兄へと呼びかけるのみ。
やがて物言わぬ人形と傀儡師の繋がりは完全に断ち切られる。その証拠に、発動されていた二つの魔法陣も途絶え、魔導砲を抑える枷が失われた。
後は唯、圧倒的な威力に蹂躙されるのみ。
我楽多になったパンドラは無残にも魔力の波に飲み込まれる。
精巧な作りも、耽美な容姿も、もはや何も関係ない。
涙で滲んでしまった視界と、余りに激しい閃光を前に、少女は兄の姿を最後まで見ることが出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる