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誘い
嵐の中の攻防 3
ジンの呟きは雨風の音に遮られた。大通りは魔法道具を使った街灯により若干照らされているが、今では何とも心許なく、何かのきっかけが無ければ乱入者に気付くことは難しい。このままではラインハルトも、ジンに気が付くことはないだろう。
だが、同時におきた雷の閃光によって、ラインハルトは呆然と立ち尽くすジンに気が付いた。
錯綜する視線。その中でジンは、弟子の瞳に力が無いことに気付く。
「なんだ。今にも死にそうな面じゃないか」
「……そういう師こそ、既に息が上がっているじゃありませんか」
どちらも事実であるが、どちらも肯定することはしない。
ジンは周囲に倒れている兵士を見渡した。
倒れている兵士は約十程。外傷は一切見られず、気絶しているだけのようだ。
だが気絶しているだとか絶命しているだとか、そういったことはこの際重要ではない。兵士に手を出したこと、それ自体が重要な意味を持つ。
「どうやら……本当に賊の手先だったようだな」
心の底から湧き上がる落胆のため息。それを振り払う為、ジンは愛用の槍を振り回した。ひゅんひゅんと風を切る音が鳴り、雨粒を弾きながら円を描く。更に数度、器用に回転させ感触を確かめると、槍に付着した雨を払うように大きく振り抜いた。
「さて、弁明を聞こう。何か言ってみろ」
既にジンの中では、ラインハルトは敵とみなされている。どんな理由があろうとも、味方である筈の皇国兵に手を上げることは許されぬ行いだ。しかも今回は『訓練中に起きた不慮の事故』という言い訳も効かない。ラインハルトには、より重い罰が与えられるだろう。
ジンはゆっくりと槍を構えた。一方ラインハルトはまだ動かない。手に持った獲物さえも、動く気配がない。
代わりにラインハルトは、ジンを見て語り掛けた。
「申し訳ありませんが、暫く皇国を離れます。俺の事は心配なさらずに」
これにはジンも冷静ではいられない。
「このまま逃げられると思っているのか!? 賊は皆逃げてしまった! また皇国は……皇国に暮らす民は、賊の脅威に晒されてしまうのだぞ! その元凶を作った愚か者に、自由を得る資格は微塵も無い!」
ジンの怒りに合わせ、一つ雷が鳴った。その閃光により再び両者の姿が照らし出される。
その瞬間。制止したラインハルトの持つ物を見て、ジンは目を疑った。
彼が持っていた物は、槍などでは無かった。
それは即席で作った槍もどき。お世辞にも上等とは言い難い刀剣。恐らくは盗賊の援軍が持ってきた物の一つなのだろうそれを、唯の長い棒の先に紐で縛り付けただけの粗悪品だったのだ。槍と呼ぶには余りにも拙い出来栄え。だが真に驚くべきは狩れば、その槍もどきを用いて、十数人の兵士を無力化したという事実だ。一体どれだけ力に差があればそれが可能となるのか……ジンには見当もつかない。
驚愕するジンに向かって、ラインハルトの声が届く。
「……申し訳ありません……ですが、俺は行かねばならない。それを邪魔するというのであれば……」
ラインハルトは手にした棒をゆっくりと構えた。右の手で柄の後ろ側を持ち、左の手を柄の前側に添え、体勢を低くとる。
それは師に教わった構え。ジン・ホムエルシンが自らの半生を駆け編み出した槍術の、極意とも言える型の一つだ。
「師であろうとも容赦はしない!」
師弟は同じ構えで対峙をし、始まりの合図を待つ。
風が吹き荒れ、雨が降り仕切る中、一際大きな雷が閃光を放つ。
それは戦いの始まりを告げる合図。両者は共に前へ飛び出し、右手から滑らせるように槍を突き出した。
この突きは、腕力による単純な攻撃にあらず。大地を踏みしめる足から始まり、腰、腹、肩、腕と、身体全てを流れるように使うことで放つ、文字通り全身全霊を込めた一撃だ。
その一突きは、宛ら天を駆ける紫電の如く。両者の槍は空から落ちる雨を断ち切り、唸る風を切り裂き、音すらも置き去りにして交差する。
ギィン!!
響く激音、止む閃光。そうして漸く雷鳴が轟く。
一合の攻防の末、決着はつかず、互いの槍は共に相手の身体を外し、両者は一つも傷がついていない。
初激が終わった後、先に動いたのはジンだ。彼は更なる一撃を見舞う為、突き出した槍を引き戻す。するとその時、手に僅かな違和感を感じた。
恐る恐る槍を見る。
「ぬぅっ!?」
なんと、手繰り寄せた槍の先にある筈の刃が無くなっていたのだ。
「槍が無くては手も出ませんね」
ラインハルトの声が響く。その言葉を聞き、ジンは恐怖に包まれた。
「ま……まさか、狙ってやったというのか!?」
驚愕するジンの前に経つラインハルトは、悲し気な眼差しで立ち尽くす。
武器の性能だけを見れば、勝敗は明らかだった。軍の指南役であるジンが持つ槍は、名品と呼ぶにふさわしい。一方牢屋から逃げ出したばかりのラインハルトが持つ槍は、誰の作品かもわからぬ剣を用いた急造品だ。腕が同等であるのならば、前者が勝るのは火を見るより明らかだろう。
だが両者が持つ技術、才能には大きな差があった。
ジンが操る槍術に置いて、先の身体全てを使う体重の乗った突きは、必殺ともいってよい程の威力を持つ。その威力たるや、分厚い盾を貫き、鋼鉄の鎧を穿ち、その下にある体をも貫通する程だ。それは一般の槍術では到達できぬ領域。故にその一撃は、絶大なる威力と速度を持つ攻撃となる。
ところがその攻撃には、絶大な威力を有する代わりに、一つの大きな隙が生まれる物であった。
その隙とは、体重を乗せ槍を突き出した後、完全に伸びきった腕で槍を引き寄せる行動に移る際に起きる、一瞬の制止だ。
ラインハルトはこの隙を狙い、動きの止まったジンの穂先を狙って突きを放ったのである。
たとえ扱う獲物の質は落ちようとも、制止した物質と圧倒的な速度をもつ物質とでは、後者の方が大きな力を持つ。現に今、ジンが持つ槍の先は欠け、もはやただの棒に成り下がってしまった。しかしラインハルトの持つ槍も無事ではない。槍の先を砕く際の衝撃に耐えきれず、括り付けた刀剣が無くなってしまっていた。
ラインハルトは語る。
「俺の槍ももう唯の棒だ。……まだやりますか? 俺は一向にかまいませんが、彼らが風邪をひいてしまいますよ」
「ふ、ふざけるな! そんな甘言には騙されんぞ!」
ジンは猛々しく咆えて見せた。だが、彼我の力量差を知ってしまった彼の魂は、頑なに動くことを拒む。
(私の槍は鉄の棒と化した。だが、あいつの槍は木の棒だ。まだ私が有利!)
頭ではそう理解しているというのに、体が言うことを聞かない。
先の咆哮が虚勢であると分かったラインハルトは、踵を返し師に背を向けた。
「……申し訳ありません」
そして再び謝罪の言葉をつぶやくと、轟轟と降る雨の向こう側へと消えて行ってしまった。
ジンはラインハルトが消え去るまで、一歩も動くことが出来なかった。
それが悔しくて、情けなくて、膝から崩れ落ちると槍を手放し、力一杯地面を殴りつける。
「くそっ!!」
頭の中は一瞬で煮えたぎる。だが茹った頭は空から降る雨で強制的に冷やされる。
冷静さを取り戻したジンは行動が早い。胸元から通話用魔法石を取り出すと、城へと連絡を取り、倒れた兵士の救出を要請した。そして
「……いかんな。まずは彼らを雨の当たらぬ場所まで運ばねば。明日から忙しくなるのだからな……」
自分に言い聞かせる為、そう呟くと援軍の兵士が到着するまで、倒れた兵士の介抱を始めた。
だが、同時におきた雷の閃光によって、ラインハルトは呆然と立ち尽くすジンに気が付いた。
錯綜する視線。その中でジンは、弟子の瞳に力が無いことに気付く。
「なんだ。今にも死にそうな面じゃないか」
「……そういう師こそ、既に息が上がっているじゃありませんか」
どちらも事実であるが、どちらも肯定することはしない。
ジンは周囲に倒れている兵士を見渡した。
倒れている兵士は約十程。外傷は一切見られず、気絶しているだけのようだ。
だが気絶しているだとか絶命しているだとか、そういったことはこの際重要ではない。兵士に手を出したこと、それ自体が重要な意味を持つ。
「どうやら……本当に賊の手先だったようだな」
心の底から湧き上がる落胆のため息。それを振り払う為、ジンは愛用の槍を振り回した。ひゅんひゅんと風を切る音が鳴り、雨粒を弾きながら円を描く。更に数度、器用に回転させ感触を確かめると、槍に付着した雨を払うように大きく振り抜いた。
「さて、弁明を聞こう。何か言ってみろ」
既にジンの中では、ラインハルトは敵とみなされている。どんな理由があろうとも、味方である筈の皇国兵に手を上げることは許されぬ行いだ。しかも今回は『訓練中に起きた不慮の事故』という言い訳も効かない。ラインハルトには、より重い罰が与えられるだろう。
ジンはゆっくりと槍を構えた。一方ラインハルトはまだ動かない。手に持った獲物さえも、動く気配がない。
代わりにラインハルトは、ジンを見て語り掛けた。
「申し訳ありませんが、暫く皇国を離れます。俺の事は心配なさらずに」
これにはジンも冷静ではいられない。
「このまま逃げられると思っているのか!? 賊は皆逃げてしまった! また皇国は……皇国に暮らす民は、賊の脅威に晒されてしまうのだぞ! その元凶を作った愚か者に、自由を得る資格は微塵も無い!」
ジンの怒りに合わせ、一つ雷が鳴った。その閃光により再び両者の姿が照らし出される。
その瞬間。制止したラインハルトの持つ物を見て、ジンは目を疑った。
彼が持っていた物は、槍などでは無かった。
それは即席で作った槍もどき。お世辞にも上等とは言い難い刀剣。恐らくは盗賊の援軍が持ってきた物の一つなのだろうそれを、唯の長い棒の先に紐で縛り付けただけの粗悪品だったのだ。槍と呼ぶには余りにも拙い出来栄え。だが真に驚くべきは狩れば、その槍もどきを用いて、十数人の兵士を無力化したという事実だ。一体どれだけ力に差があればそれが可能となるのか……ジンには見当もつかない。
驚愕するジンに向かって、ラインハルトの声が届く。
「……申し訳ありません……ですが、俺は行かねばならない。それを邪魔するというのであれば……」
ラインハルトは手にした棒をゆっくりと構えた。右の手で柄の後ろ側を持ち、左の手を柄の前側に添え、体勢を低くとる。
それは師に教わった構え。ジン・ホムエルシンが自らの半生を駆け編み出した槍術の、極意とも言える型の一つだ。
「師であろうとも容赦はしない!」
師弟は同じ構えで対峙をし、始まりの合図を待つ。
風が吹き荒れ、雨が降り仕切る中、一際大きな雷が閃光を放つ。
それは戦いの始まりを告げる合図。両者は共に前へ飛び出し、右手から滑らせるように槍を突き出した。
この突きは、腕力による単純な攻撃にあらず。大地を踏みしめる足から始まり、腰、腹、肩、腕と、身体全てを流れるように使うことで放つ、文字通り全身全霊を込めた一撃だ。
その一突きは、宛ら天を駆ける紫電の如く。両者の槍は空から落ちる雨を断ち切り、唸る風を切り裂き、音すらも置き去りにして交差する。
ギィン!!
響く激音、止む閃光。そうして漸く雷鳴が轟く。
一合の攻防の末、決着はつかず、互いの槍は共に相手の身体を外し、両者は一つも傷がついていない。
初激が終わった後、先に動いたのはジンだ。彼は更なる一撃を見舞う為、突き出した槍を引き戻す。するとその時、手に僅かな違和感を感じた。
恐る恐る槍を見る。
「ぬぅっ!?」
なんと、手繰り寄せた槍の先にある筈の刃が無くなっていたのだ。
「槍が無くては手も出ませんね」
ラインハルトの声が響く。その言葉を聞き、ジンは恐怖に包まれた。
「ま……まさか、狙ってやったというのか!?」
驚愕するジンの前に経つラインハルトは、悲し気な眼差しで立ち尽くす。
武器の性能だけを見れば、勝敗は明らかだった。軍の指南役であるジンが持つ槍は、名品と呼ぶにふさわしい。一方牢屋から逃げ出したばかりのラインハルトが持つ槍は、誰の作品かもわからぬ剣を用いた急造品だ。腕が同等であるのならば、前者が勝るのは火を見るより明らかだろう。
だが両者が持つ技術、才能には大きな差があった。
ジンが操る槍術に置いて、先の身体全てを使う体重の乗った突きは、必殺ともいってよい程の威力を持つ。その威力たるや、分厚い盾を貫き、鋼鉄の鎧を穿ち、その下にある体をも貫通する程だ。それは一般の槍術では到達できぬ領域。故にその一撃は、絶大なる威力と速度を持つ攻撃となる。
ところがその攻撃には、絶大な威力を有する代わりに、一つの大きな隙が生まれる物であった。
その隙とは、体重を乗せ槍を突き出した後、完全に伸びきった腕で槍を引き寄せる行動に移る際に起きる、一瞬の制止だ。
ラインハルトはこの隙を狙い、動きの止まったジンの穂先を狙って突きを放ったのである。
たとえ扱う獲物の質は落ちようとも、制止した物質と圧倒的な速度をもつ物質とでは、後者の方が大きな力を持つ。現に今、ジンが持つ槍の先は欠け、もはやただの棒に成り下がってしまった。しかしラインハルトの持つ槍も無事ではない。槍の先を砕く際の衝撃に耐えきれず、括り付けた刀剣が無くなってしまっていた。
ラインハルトは語る。
「俺の槍ももう唯の棒だ。……まだやりますか? 俺は一向にかまいませんが、彼らが風邪をひいてしまいますよ」
「ふ、ふざけるな! そんな甘言には騙されんぞ!」
ジンは猛々しく咆えて見せた。だが、彼我の力量差を知ってしまった彼の魂は、頑なに動くことを拒む。
(私の槍は鉄の棒と化した。だが、あいつの槍は木の棒だ。まだ私が有利!)
頭ではそう理解しているというのに、体が言うことを聞かない。
先の咆哮が虚勢であると分かったラインハルトは、踵を返し師に背を向けた。
「……申し訳ありません」
そして再び謝罪の言葉をつぶやくと、轟轟と降る雨の向こう側へと消えて行ってしまった。
ジンはラインハルトが消え去るまで、一歩も動くことが出来なかった。
それが悔しくて、情けなくて、膝から崩れ落ちると槍を手放し、力一杯地面を殴りつける。
「くそっ!!」
頭の中は一瞬で煮えたぎる。だが茹った頭は空から降る雨で強制的に冷やされる。
冷静さを取り戻したジンは行動が早い。胸元から通話用魔法石を取り出すと、城へと連絡を取り、倒れた兵士の救出を要請した。そして
「……いかんな。まずは彼らを雨の当たらぬ場所まで運ばねば。明日から忙しくなるのだからな……」
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