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吹き飛ばされたシウバリスは川の中程に着水。飛び散る水飛沫が対岸の岩々を濡らしていく。
「ごほっ! ごほっ!」
硬い地面よりも叩きつけられるよりも、多少衝撃は少なかった為、外傷は少ない。だが衝撃に喘ぎ空気を求めた口に水が入り込み、強く噎せてしまった。必死に呼吸を整えようとするシウバリス。そんなことお構い無く鋼槍蜘蛛は川へと足を踏み入れる。シウバリスは慌てて道具袋に手を伸ばすと、手に掴んだ小瓶を苦し紛れに放り投げた。
飛んでいった瓶は蜘蛛の体に当たり砕けた。途端、強い光が発せられる。幸運にも彼が掴んだのは閃光瓶。炸裂瓶でないことに胸を撫で下ろしつつ、尚も呼吸を整えようと必死に酸素を求める。そんな最中、彼は盾に起きた異変に気が付いた。
(なんだ……これは)
盾には大きな穴が開いていた。表面を覆う鉄版、裏面を補強する分厚い木の板までもが、諸共貫かれている。それは先程の鉱槍蜘蛛の一撃によるもの。降りかかった脚は偶然にも盾の上からだったが、それでも盾を貫通する強力な一撃だったのだ。シウバリスはその脚が自身の体を貫く様を想像し一気に青ざめる。
「ごほっ! は、はは……傭兵稼業はやめたというのに、なんでこんな目に合うんだろうかね」
彼は急ぎ川から出る。家がある岸と対岸に当たるほうへ。今回の蜘蛛相手では、川の水も白狼の時のような効果は望めない。奴の足はまだ七本も残っており、そのうち左右二本ずつもあれば安定して立っていられるだろう。そうなると襲い掛かってくる足は最低でも三本以上。水に足を取られた状態でそれを捌くことは、今のシウバリスでは不可能だ。
動物の目より光に強いのか、鉱槍蜘蛛は然程時間をかけずに動き出した。向こう岸まで逃げた獲物を追って皮を横断する。長い脚での一歩はとても大きく、蜘蛛はあっという間に川を超えた。近づく蜘蛛に対し逃げるシウバリス。彼は川から上がった後、そのまま木が乱れ立つ森の中へと入っていく。
周囲を木で囲まれたそこは、蜘蛛の領域かと思われた。だがそれはあくまで通常の蜘蛛の場合である。鉱槍蜘蛛程の巨体であれば、同程度の高さを持つ木々が行動の妨げになるのは当然の事だった。そもそも鉱槍蜘蛛が生息するのは、この森より遥か南に位置する渓谷地帯である。自身の体より遥かに大きい岩や崖の間に巣を張る彼らが、森を自由に駆けることは出来ない。こればかりはシウバリスの記憶力の良さが最大の助けとなった。
森の木々で身を隠しつつ、足を踏み入れた鉱槍蜘蛛目掛けシウバリスは突進を始める。蜘蛛の右足と自身の間に木を挟むように立ち回り、蜘蛛の左足を切りつける。蜘蛛の左足と自身の間に木を挟むように立ち回り、蜘蛛の右足を切りつける。伸びてくる脚槍は立木の盾で受け止め、それが叶わぬ物は盾を駆使し受け流す。だがこの盾は、邂逅の戦いの折穴が開いているものだ。だから通常よりも細心の注意を払って受けねばならない。もし空いた穴に通ってしまえば……そんな考えを振り払うように、彼は我武者羅に剣を振るった。
見る見るうちに傷を増やす蜘蛛に対し、迫る攻撃を見事に躱し剣を振り続けるシウバリス。傍から見れば、彼は蜘蛛に対して有利に立ち回っているように見えた。だがそれを熟す彼自身は、生きた心地がしなかった。時折飛んでくる木片や石片。視界を防ぐ土埃。それに紛れて襲い来る一撃必殺の槍は、彼の全身全霊を持って漸く対応できるものだ。そんな彼の頼みの綱でもあった鉄の盾も、もう大して役には立たない。表面を覆っていた金属板は剥げ落ち、既に鉄の盾と呼べる代物ではない。それはもはや木の盾。狼の爪牙を受け止められるかも危うい。
(くそっ! 何か手を考えねば……!)
シウバリスは道具袋に手を伸ばすと、炸裂瓶を取り出す。それは破裂と同時に発火し炎を上げるものだ。森の中で扱うには細心の注意を要する物である。これを無造作に放っては、最悪山火事が発生し大災害となってしまうだろう。だが命の危機を前にしたシウバリスに、そんなことを考える余裕は一切なかった。彼は瓶を握り締めると、再び川の方へと走る。あくまで、木々に身を隠したままだ。森の切れ目から川までの間、身を隠す物は殆どない。見つかってしまえば最後、川へと辿り着く前に命は失われてしまう。シウバリスは必死に息を殺しながら、木の陰から木の陰へと移動を続ける。
なんとか蜘蛛を撒きながらも川に辿り着いたシウバリスは、徐にシャツを脱ぎ捨てた。それに小瓶をくるむと、川縁に置き、盾だった木の板も置く。更に炸裂瓶をもう一つ取り出し転身、再び森の切れ目へと戻っていくと、一つの木の陰に身を隠した。そこで手にした瓶にひびを入れ、思い切り川の中へと放り投げる。
ドオオオン!!
一拍置いて出来上がる水柱。その音に誘われ、森の中にいた蜘蛛が再び川に戻ってきた。木の陰で息を潜めるシウバリスに気が付いた様子はない。どうやら鉱槍蜘蛛も余り余裕はない様だ。奇怪な動きで川に近づく鉱槍蜘蛛。すると先ほどシウバリスが捨て置いたものに気が付いた。ギシギシと不快な鳴き声を漏らしながら、それに近づいていく。そしてそれが敵の持っていた物であると察した途端、足を持ち上げ、嬉々としてそこへ突き立てた。一度だけではない。二度、三度……下にある岩がぼろぼろになるほどに打ち付ける。千切れ飛ぶ布と木片。シウバリスがその様子を暫し見守っていると……途端、破裂音と火柱が上がった。
『ギイイアアッ!?』
それまでとは違う、明らかな悲鳴と取れる鳴き声が響く。その声を聴いたシウバリスは、これが勝機と木の陰を飛び出した。上がった火柱は蜘蛛の体、脚へと燃え移っていく。まるで鉄の様だった脚も炎には弱かったらしく、鉱槍蜘蛛は川の淵でのた打ち回っていた。蜘蛛の元に辿り着いたシウバリスは、蜘蛛の体に押しつぶされぬよう慎重に、だが迅速に剣を振るった。端からぼろぼろになっていた鋭い脚は、熱による影響か、若干柔らかくなっていて先ほどのような苦労はない。数度剣を打ち付けるだけで足は切り落とされていく。飛び散る緑色の蜘蛛の体液。八つあった足はもう残り三本まで減っていた。
シウバリスの剣はよく効いていた。鋭く硬い脚も残り少なく、体の方も傷だらけ。弱っているのは明らかだ。炎によって蜘蛛はもはや虫の息。もう殆ど勝敗は決している。その判断が、彼の心を緩ませた。
鉱槍蜘蛛は最後の力を振り絞り、残った脚を束ねてシウバリスへと突き出した。残りの脚は全部で三本。それらが束ねられた刺突は、例え鉄を超える強度を持つ盾をもってしても防ぐことは出来ないだろう。そんな一撃を、油断の最中にいたシウバリスは躱すことが出来なかった。
「なっ!? っ!?」
突如として襲い掛かる激痛と衝撃。剣を振っていた筈の腕は一瞬で感覚を失い、全幅の半分以上が削り取られている。更に貫通した脚槍は、シウバリスの腹部を貫き背まで貫通していた。
「げふっ……ぐぐ……」
口から多量の血が溢れる。疲労と甚大な傷により視界が薄れていく。吹き飛ばされた先は又もや川の中。体温が下がっていくのは水のせいか、将又血を失い過ぎたせいか。ぼんやりとした視界に移るのは澄み渡る青空だけ。もはや首を動かすのも億劫と、そのまま目を閉じようとした。その時だ。
「あきらめないで!!」
聞こえたのは低い女性の声。それと同時に大きな影が視界を横切った。沈む体を必死に傾け影が向かった先を見れば、一人の人間が大きな斧を振るっているのが見えた。
「ごほっ! ごほっ!」
硬い地面よりも叩きつけられるよりも、多少衝撃は少なかった為、外傷は少ない。だが衝撃に喘ぎ空気を求めた口に水が入り込み、強く噎せてしまった。必死に呼吸を整えようとするシウバリス。そんなことお構い無く鋼槍蜘蛛は川へと足を踏み入れる。シウバリスは慌てて道具袋に手を伸ばすと、手に掴んだ小瓶を苦し紛れに放り投げた。
飛んでいった瓶は蜘蛛の体に当たり砕けた。途端、強い光が発せられる。幸運にも彼が掴んだのは閃光瓶。炸裂瓶でないことに胸を撫で下ろしつつ、尚も呼吸を整えようと必死に酸素を求める。そんな最中、彼は盾に起きた異変に気が付いた。
(なんだ……これは)
盾には大きな穴が開いていた。表面を覆う鉄版、裏面を補強する分厚い木の板までもが、諸共貫かれている。それは先程の鉱槍蜘蛛の一撃によるもの。降りかかった脚は偶然にも盾の上からだったが、それでも盾を貫通する強力な一撃だったのだ。シウバリスはその脚が自身の体を貫く様を想像し一気に青ざめる。
「ごほっ! は、はは……傭兵稼業はやめたというのに、なんでこんな目に合うんだろうかね」
彼は急ぎ川から出る。家がある岸と対岸に当たるほうへ。今回の蜘蛛相手では、川の水も白狼の時のような効果は望めない。奴の足はまだ七本も残っており、そのうち左右二本ずつもあれば安定して立っていられるだろう。そうなると襲い掛かってくる足は最低でも三本以上。水に足を取られた状態でそれを捌くことは、今のシウバリスでは不可能だ。
動物の目より光に強いのか、鉱槍蜘蛛は然程時間をかけずに動き出した。向こう岸まで逃げた獲物を追って皮を横断する。長い脚での一歩はとても大きく、蜘蛛はあっという間に川を超えた。近づく蜘蛛に対し逃げるシウバリス。彼は川から上がった後、そのまま木が乱れ立つ森の中へと入っていく。
周囲を木で囲まれたそこは、蜘蛛の領域かと思われた。だがそれはあくまで通常の蜘蛛の場合である。鉱槍蜘蛛程の巨体であれば、同程度の高さを持つ木々が行動の妨げになるのは当然の事だった。そもそも鉱槍蜘蛛が生息するのは、この森より遥か南に位置する渓谷地帯である。自身の体より遥かに大きい岩や崖の間に巣を張る彼らが、森を自由に駆けることは出来ない。こればかりはシウバリスの記憶力の良さが最大の助けとなった。
森の木々で身を隠しつつ、足を踏み入れた鉱槍蜘蛛目掛けシウバリスは突進を始める。蜘蛛の右足と自身の間に木を挟むように立ち回り、蜘蛛の左足を切りつける。蜘蛛の左足と自身の間に木を挟むように立ち回り、蜘蛛の右足を切りつける。伸びてくる脚槍は立木の盾で受け止め、それが叶わぬ物は盾を駆使し受け流す。だがこの盾は、邂逅の戦いの折穴が開いているものだ。だから通常よりも細心の注意を払って受けねばならない。もし空いた穴に通ってしまえば……そんな考えを振り払うように、彼は我武者羅に剣を振るった。
見る見るうちに傷を増やす蜘蛛に対し、迫る攻撃を見事に躱し剣を振り続けるシウバリス。傍から見れば、彼は蜘蛛に対して有利に立ち回っているように見えた。だがそれを熟す彼自身は、生きた心地がしなかった。時折飛んでくる木片や石片。視界を防ぐ土埃。それに紛れて襲い来る一撃必殺の槍は、彼の全身全霊を持って漸く対応できるものだ。そんな彼の頼みの綱でもあった鉄の盾も、もう大して役には立たない。表面を覆っていた金属板は剥げ落ち、既に鉄の盾と呼べる代物ではない。それはもはや木の盾。狼の爪牙を受け止められるかも危うい。
(くそっ! 何か手を考えねば……!)
シウバリスは道具袋に手を伸ばすと、炸裂瓶を取り出す。それは破裂と同時に発火し炎を上げるものだ。森の中で扱うには細心の注意を要する物である。これを無造作に放っては、最悪山火事が発生し大災害となってしまうだろう。だが命の危機を前にしたシウバリスに、そんなことを考える余裕は一切なかった。彼は瓶を握り締めると、再び川の方へと走る。あくまで、木々に身を隠したままだ。森の切れ目から川までの間、身を隠す物は殆どない。見つかってしまえば最後、川へと辿り着く前に命は失われてしまう。シウバリスは必死に息を殺しながら、木の陰から木の陰へと移動を続ける。
なんとか蜘蛛を撒きながらも川に辿り着いたシウバリスは、徐にシャツを脱ぎ捨てた。それに小瓶をくるむと、川縁に置き、盾だった木の板も置く。更に炸裂瓶をもう一つ取り出し転身、再び森の切れ目へと戻っていくと、一つの木の陰に身を隠した。そこで手にした瓶にひびを入れ、思い切り川の中へと放り投げる。
ドオオオン!!
一拍置いて出来上がる水柱。その音に誘われ、森の中にいた蜘蛛が再び川に戻ってきた。木の陰で息を潜めるシウバリスに気が付いた様子はない。どうやら鉱槍蜘蛛も余り余裕はない様だ。奇怪な動きで川に近づく鉱槍蜘蛛。すると先ほどシウバリスが捨て置いたものに気が付いた。ギシギシと不快な鳴き声を漏らしながら、それに近づいていく。そしてそれが敵の持っていた物であると察した途端、足を持ち上げ、嬉々としてそこへ突き立てた。一度だけではない。二度、三度……下にある岩がぼろぼろになるほどに打ち付ける。千切れ飛ぶ布と木片。シウバリスがその様子を暫し見守っていると……途端、破裂音と火柱が上がった。
『ギイイアアッ!?』
それまでとは違う、明らかな悲鳴と取れる鳴き声が響く。その声を聴いたシウバリスは、これが勝機と木の陰を飛び出した。上がった火柱は蜘蛛の体、脚へと燃え移っていく。まるで鉄の様だった脚も炎には弱かったらしく、鉱槍蜘蛛は川の淵でのた打ち回っていた。蜘蛛の元に辿り着いたシウバリスは、蜘蛛の体に押しつぶされぬよう慎重に、だが迅速に剣を振るった。端からぼろぼろになっていた鋭い脚は、熱による影響か、若干柔らかくなっていて先ほどのような苦労はない。数度剣を打ち付けるだけで足は切り落とされていく。飛び散る緑色の蜘蛛の体液。八つあった足はもう残り三本まで減っていた。
シウバリスの剣はよく効いていた。鋭く硬い脚も残り少なく、体の方も傷だらけ。弱っているのは明らかだ。炎によって蜘蛛はもはや虫の息。もう殆ど勝敗は決している。その判断が、彼の心を緩ませた。
鉱槍蜘蛛は最後の力を振り絞り、残った脚を束ねてシウバリスへと突き出した。残りの脚は全部で三本。それらが束ねられた刺突は、例え鉄を超える強度を持つ盾をもってしても防ぐことは出来ないだろう。そんな一撃を、油断の最中にいたシウバリスは躱すことが出来なかった。
「なっ!? っ!?」
突如として襲い掛かる激痛と衝撃。剣を振っていた筈の腕は一瞬で感覚を失い、全幅の半分以上が削り取られている。更に貫通した脚槍は、シウバリスの腹部を貫き背まで貫通していた。
「げふっ……ぐぐ……」
口から多量の血が溢れる。疲労と甚大な傷により視界が薄れていく。吹き飛ばされた先は又もや川の中。体温が下がっていくのは水のせいか、将又血を失い過ぎたせいか。ぼんやりとした視界に移るのは澄み渡る青空だけ。もはや首を動かすのも億劫と、そのまま目を閉じようとした。その時だ。
「あきらめないで!!」
聞こえたのは低い女性の声。それと同時に大きな影が視界を横切った。沈む体を必死に傾け影が向かった先を見れば、一人の人間が大きな斧を振るっているのが見えた。
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