最強使い魔軍団を従えて

K.K

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使い魔園

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「ご馳走様でした。お母様、少し散歩をして来てもいいですか。」

「クロードと一緒なら良いわよ。」

 食後の散歩をしようと、モコを頭の上に置きソフィアはハンナに声を掛ける。ハンナは食後の紅茶を飲みながら、優雅に椅子に腰掛けている。

「外に出られるのなら、此方に着替えてはいかがですか。少しは貴族の連中の注目がなくなるでしょう。」

 クロードから数着のドレスと、かつらの入った紙袋を渡される。クロードは最初からフリルとりぼんのドレスが目立つ事を知っていて、他のドレスを用意していた。

「目立つのが分かっていたなら、屋敷を出る前に教えてよ。」

「それを教えない変わりに、エレナさんと部屋の掃除1週間する券と取引しました。やはり本職に頼んだ方が綺麗ですからね。」

 エレナの仕業か。ソフィアにはエレナが嬉々としてクロードに口止めする姿が容易に想像出来た。だが、結局は気付かなかった自分が悪いのである。
 ソフィアは仕方がなかった事だと納得して、クロードの用意したドレスに着替えた。そして、万が一顔を覚えている人に話し掛けられないように、袋に入っていた茶色のかつらを被り、散歩に出掛けた。


『それで、何処まで散歩に行くの?』

「餌やりコーナーまでだよ。この時間は色々な使い魔に、自分達が持ってきたご飯をあげられるんだ。」

 周りに人がいないのを確認して、ソフィアはモコに小声で答える。ソフィアが散歩に行くと言い出した理由はそれであった。ソフィアは昨日の内に数種類の使い魔のご飯を作っていた。余談だが、先程太った男に食べさせたクッキーはソフィアの手作りであった。
 子供が作った使い魔(モコ)のご飯以下の料理しか作れない男。あの時のハンナの思考を読み取れた者はいないだろう。
 

「ここが餌やりコーナーのようですよ。」

「凄い人だけど、使い魔は皆あの中かな?」

 餌やりコーナーに到着したが肝心の使い魔達がいない。周囲を見渡すと、人の集団が1ヶ所に固まっていた。あそこに使い魔達が居るのだろう。だが、使い魔にご飯をあげたくても人混みの中に入っていく勇気はソフィアにはない。

「そんな心配は不用です。ソフィア様があの場所に行く必要はありません。」

『うん、必要ないね。』

 どういう意味ですか。質問をしようとしたソフィアだが、その質問をする前に答えを知ることになった。

『さっきのお姉ちゃんがいる。』

『本当だ。お菓子持ってる。ボクにもちょうだい。』

「沢山使い魔が向かって来る。クロード、どういう事なの。」

 貴族の頭の上を飛んできたり、足の間をくぐり抜けて来たり、中には貴族の顔を踏んでジャンプをしたりして、沢山の使い魔がソフィア目掛けて集まってくる。

「触れ合いコーナーで、ソフィア様が最初に撫でたイヌイヌ族の使い魔があの中に混ざっていました。イヌイヌ族は鼻が良い。ソフィアの匂いを嗅ぎとって、此方に来たんですよ。」

「あの人混みの中でイヌイヌ族の使い魔が居たのが見えたの。ではなくて、なんで使い魔が私の所に沢山来るの。」

「学習をして下さい。ソフィア様が使い魔にモテるのは、今に始まった事ではないでしょう。」

 モコはソフィアの頭の上で頷く。モコもクロードと同じ考えのようだ。折角の変装も人間には効果があっても、使い魔には効果がないようで、ソフィアはあっという間に使い魔に囲まれた。

『この料理、凄い美味しい。』

『本当だ。さっきの人がくれたご飯の何倍も食べれるよ。』

『分かるよ。あの人、口だけでご飯不味かったよな。』

「順番に皆で食べてね。あっ、ウサピョコ族の子はその料理食べないでね。身体を壊すから、こっちを食べてね。」

 ソフィアが用意した料理は草食使い魔用と、肉食使い魔用、雑食使い魔用の3種類だ。予定では草食使い魔から順番にご飯をあげるはずだったが、既にご飯に群がっている使い魔達の食事は止められない。
 ソフィアは使い魔が身体に合わない料理を食べないように気を配る。自分の作った料理を美味しそうに食べる使い魔達を見て、ソフィアの顔は自然と綻ぶ。だが、その時間は長くは続かなかった。

「私の使い魔に勝手に餌をあげないでよ。」

 使い魔達の体がぴくりと動き、一斉に我先にとソフィアの後ろに隠れる。その様に、目の前に居るローズの顔は険しくなる。
 今、事件が本格的に動き出そうとしていた。




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