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1章
SBIの男
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ジャック・バーンの部屋はスティーブンの部屋からはそれほど遠くなかった。
コンコンコン・コンコンコン・コンコンコンコンコンコンコン
震える手でノックするといきなり扉が開き、一瞬のうちにアンディの胸ぐらを掴んで部屋の中に引き入れた。
「今から聞く質問に正直に答えろ。いいな」
バーンはアンディを扉に押し付け、右手に銃を持って突きつけていた。筋骨隆々、きりっとした顔立ちに黒い短髪。迫力のある男だ。30cmも離れない場所にそんな男の顔。正面で付き合わせるのは、恐いと言わざるを得なかった。アンディは声も出せずにコクコクと頷くと、バーンは質問を始めた。
「お前の名前は?」
「アンドリュー・パーカー」
「いくつだ?」
「18!」
「彼女は?」
「いない」
「なにしでかした?」
「俺は無実だ。けど連続窃盗の罪で追われてる。」
彼なりの本人確認のやり方なのだろう。バーンは矢継ぎ早に簡単な質問を20以上もした。ようやく満足したのか、ふむ、と言って押しつけるのをやめて銃を下ろした。
「いいだろう。お前のことは大体分かった。いいか、俺が世界で嫌いなものは2つだ。一つはSBI、もう一つは元恋人。つまり、敵の敵は味方だ。味方が欲しいか?」
バーンは厳しい顔のまま右手を差し出し、アンディは恐る恐る応じた。右手を握ると、キュッと握りしめられた。
「手荒な真似してすまない。だが俺は人をそう簡単に信じない。見つかったら容赦なく突き出す。いいな?あと先に言っておく。俺はSBIのコンサルタントだ。」
耳を疑った。捜査局で働いている?
「心配するな。俺はSBIが嫌いなんだ。奴らが血眼になって探してるお前をやすやす引き渡すほど俺はお人好しじゃない。」
彼が自分を信じないのはいいが、自分は彼を信頼していいのものか。SBIで働いているのにSBIが嫌いという矛盾に、不信感があった。
「ビールは?」
ジャックはカランカランと鳴らして冷蔵庫を開けた。いや大丈夫とアンディが断ると、ジャックはそうかと言って、ビールの王冠をカコっと心地の良い音を鳴らして外す。そのまま部屋の中心に置かれた黒いソファまで進んで、机に脚を乗せ、グビグビと飲み始めた。
「大丈夫だ、成人してる」
アンディが未だ玄関先で呆然と立ち尽くしているのに気づいたのか、ジャックは注釈めいたように付け加えた。こっちに来いよ、色々手伝ってやる、とジャックが手招きするので、アンディはようやっと玄関先から部屋の中に進んだ。
プルルルルル プルルルルル
自分の携帯だ。ポケットの中で振動している。
「おおい、携帯は捨てとけよ。奴らに追跡されるぞ。」
ジャックは呆れかえったように言った。ズボンのポケットから取り出すと、画面には非通知と表示されている。まさかもう追跡された?場所を特定されている?アンディは鉛を飲み込んだように胃が重たくなった。
一方で、ジャックが、犯人かもしれないぞ、早く出ろと急かしてくる。挙げ句の果てに、アンディの手から携帯を奪い取って、応答ボタンを押してしまった。
ジャックはスピーカーモードにして、受け答えしろ、とジェスチャーしてくる。
「はい。」
“お前が逃げ切ることは不可能だ。報いを受けるが良い。”
ボイスチェンジャーで声を変えているその人物はそれだけを言い放って、電話は切れてしまった。
コンコンコン・コンコンコン・コンコンコンコンコンコンコン
震える手でノックするといきなり扉が開き、一瞬のうちにアンディの胸ぐらを掴んで部屋の中に引き入れた。
「今から聞く質問に正直に答えろ。いいな」
バーンはアンディを扉に押し付け、右手に銃を持って突きつけていた。筋骨隆々、きりっとした顔立ちに黒い短髪。迫力のある男だ。30cmも離れない場所にそんな男の顔。正面で付き合わせるのは、恐いと言わざるを得なかった。アンディは声も出せずにコクコクと頷くと、バーンは質問を始めた。
「お前の名前は?」
「アンドリュー・パーカー」
「いくつだ?」
「18!」
「彼女は?」
「いない」
「なにしでかした?」
「俺は無実だ。けど連続窃盗の罪で追われてる。」
彼なりの本人確認のやり方なのだろう。バーンは矢継ぎ早に簡単な質問を20以上もした。ようやく満足したのか、ふむ、と言って押しつけるのをやめて銃を下ろした。
「いいだろう。お前のことは大体分かった。いいか、俺が世界で嫌いなものは2つだ。一つはSBI、もう一つは元恋人。つまり、敵の敵は味方だ。味方が欲しいか?」
バーンは厳しい顔のまま右手を差し出し、アンディは恐る恐る応じた。右手を握ると、キュッと握りしめられた。
「手荒な真似してすまない。だが俺は人をそう簡単に信じない。見つかったら容赦なく突き出す。いいな?あと先に言っておく。俺はSBIのコンサルタントだ。」
耳を疑った。捜査局で働いている?
「心配するな。俺はSBIが嫌いなんだ。奴らが血眼になって探してるお前をやすやす引き渡すほど俺はお人好しじゃない。」
彼が自分を信じないのはいいが、自分は彼を信頼していいのものか。SBIで働いているのにSBIが嫌いという矛盾に、不信感があった。
「ビールは?」
ジャックはカランカランと鳴らして冷蔵庫を開けた。いや大丈夫とアンディが断ると、ジャックはそうかと言って、ビールの王冠をカコっと心地の良い音を鳴らして外す。そのまま部屋の中心に置かれた黒いソファまで進んで、机に脚を乗せ、グビグビと飲み始めた。
「大丈夫だ、成人してる」
アンディが未だ玄関先で呆然と立ち尽くしているのに気づいたのか、ジャックは注釈めいたように付け加えた。こっちに来いよ、色々手伝ってやる、とジャックが手招きするので、アンディはようやっと玄関先から部屋の中に進んだ。
プルルルルル プルルルルル
自分の携帯だ。ポケットの中で振動している。
「おおい、携帯は捨てとけよ。奴らに追跡されるぞ。」
ジャックは呆れかえったように言った。ズボンのポケットから取り出すと、画面には非通知と表示されている。まさかもう追跡された?場所を特定されている?アンディは鉛を飲み込んだように胃が重たくなった。
一方で、ジャックが、犯人かもしれないぞ、早く出ろと急かしてくる。挙げ句の果てに、アンディの手から携帯を奪い取って、応答ボタンを押してしまった。
ジャックはスピーカーモードにして、受け答えしろ、とジェスチャーしてくる。
「はい。」
“お前が逃げ切ることは不可能だ。報いを受けるが良い。”
ボイスチェンジャーで声を変えているその人物はそれだけを言い放って、電話は切れてしまった。
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