強引に婚約破棄された最強聖女は愚かな王国に復讐をする!

悠月 風華

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第一章 最強聖女の復讐

第13話(番外編) 「女神たち」

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国民が王家を見捨て始め、もはや王家を庇護する者など
いなくなったデルソーレ王国。
その王国を、冷ややかな瞳で天上界から見下ろす
者が二人いた。一人は光の女神ソルティア、
もう一人は創造の女神クレアティナ。

「何とも哀れな……いつの間にか、
人々は堕落してしまったようですね」

「あの王子は、ルミエールを連れ戻し、
自身に従わせるようにすれば自分こそが
窮地に陥った王国を救った英雄となれると
思うているようだけれど、何とも愚かしいこと」

「えぇ……あれがかつて我が守護を与えた者の
子孫だとは、到底信じたくはありませんが」

女神たちがいる天上界には、何もない。
そこは一面が水面に浮かぶ空の上にいるような
空間であり、彼女達の周りには人も、物もない。
そんな場所に、下界にあるガーデンテーブルの上に
豪華な装飾の施されたティーセットを置き、 
テーブルと合わせた椅子の上にゆったりと座りながら、
空中に映し出した下界の様子を見ているのだ。

「そなたの巫女がどのように動くのかも、
見ものではあるが……あまり大袈裟に暴れ回られると
こちらが困ってしまうな」

「そこは問題ないでしょう。
あの子も無関係の人間を巻き添えにしてまで、
あの王国に復讐をしたいとは願っていないようです。
現に、滞在しているインディゴ王国へは
何もしていない上に、王子を助け出しているのですから」

「まぁ、そこはルミエールの母に似ておるな。
かの者も、無関係の者が傷付くのを忌み嫌っていた」

「そうでしたね……」

既に亡くなってしまったルミエールの母。
彼女もまた、優しい子だった。
ソルティアが愛した子に似たルミエール。
母娘揃って、優しいところは変わらないのねと
薄く微笑みながら、愛しい巫女の様子を見守る。

必要ならばいつだって呼んでくれて構わない。
巫女を傷付けた以上、ソルティアは既に
あの国を見捨てているのだから。
滅んだところで気にしない。
いつかはデルソーレ王国があった跡地に、
新しい王国か農村かができるだろう。
今度こそ、間違わないでくれれば良いのだけれど。

いつかはまた、ルミエールのように
皆から虐められ、傷付けられる聖女が現れるかもしれない。
今までの聖女にも似たようなことはあれど、
国全体へ復讐をしようとする者はいなかった。
王家の人間は、聖女のその優しさに付け入った。

『聖女』が誰しも、憎しみや恨みを抱かないわけではない。
彼女たちも人とは異なる異能を得ただけであり、
人の子であることには変わらないのだから。
憎しみや恨みだけで解決するものはない。
だからといって、それを解き放つなというのか?
聖女も人の子。ならば、ストレスも溜まるだろう。

『優しい』だけが全てではない。
優しければ誰でも聖女になれる訳でもない。
それだけでは足りない。それだけでは女神が
認めるとは言えない。

人に好き嫌い、合う合わないがあるように
神にだってそのようなものはある。
ソルティアにとって、好きと感じられた人間は
ルミエールとその母だったというだけだ。

女神たちはルミエールの復讐を止める気などない。
彼女の好きにさせて、腐れ切った人の子らを
一掃してくれればそれでいい。
創造の女神クレアティナはそう思っているだろう。

ソルティアはただ、ルミエールの鬱憤が
これで晴れれば良いと思っている。
デルソーレ王国を滅ぼしても、鬱憤が
晴れないのであれば、晴らすための舞台を用意しよう。
疲れて何もしたくないのなら、
ゆっくり休める場所を用意しよう。

ただ、幼い頃に周りから傷付けられ、
疎まれ、虐められ、妬まれ、
人を信じれなくなったルミエールを甘やかしたいだけなのだ。
そのために国ひとつが滅んだところで構いやしない。

天上界じょうそうから愚かな人々を見下ろして、
ほくそ笑む二人の女神は、今日もまた
お気に入りの紅茶と茶菓子を用意して、
時の流れのない、神だからこそ居られる空間で
優雅にお茶会を楽しんでいた────。


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