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第一章 最強聖女の復讐
第15話 ボースハイトside「虚無」
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息子、クシオンが婚約者であったルミエールに
婚約破棄と国外追放を命じてから三日が経った。
今まで王国内には現れたことのない魔物たちが、
今やこの王城を目指して侵攻しているらしい。
『聖女など存在しない!』
そう言い始めたのは儂だが、まさかその言動から
国が滅亡しかけるとは思いやしなかった。
ここのところ、国中に疫病が流行りだした頃から
この国では唯一光魔法を使えたルミエールを
母元から、引き離し自分の息子の婚約者にしようと
ルミエールの母で、儂の従姉フィーリアに
脅しにも似た手紙を送ったり、
通信魔法で彼女と言い合ったりした
過去の記憶が蘇るようになった。
元より、フィーリアが王位継承権を破棄しなければ、
彼女は正当な王位継承者だった。
それは単純だ。儂の母は前国王の側室だった。
しかし、フィーリアの母は前王妃。
正室の子であるフィーリアと、
側室の子である儂とでは圧倒的にフィーリアの方が
女王として即位することができた。
けれど、第一王女であり、
儂の父上と王妃の一人娘であったフィーリアは
平民の男と駆け落ちした。
王妃も、父上も彼女が幸せならば良いと
王族としては恥とも言えるべきことを容認した。
──そして、儂が次期国王となった。
儂の母もフィーリアのことを嫌っていた。
全属性魔法を仕える、という万能な力を
持っていたフィーリアとは違い、
母は何の魔法も使えない。『魔力なし』だった。
それに加えて、地位はフィーリアの方が上。
どんなものも自分の上をいくフィーリアを、
母は心底嫌っていたのを覚えている。
そんな折、儂はフィーリアと平民のアシュランとの
間に生まれた娘、ルミエールを自身の子の
婚約者───妻にしようと企てた。
母と同じように全属性魔法を使えるルミエールを
自身の良いように扱えたら……そう思ったのだ。
だからこそ、儂は当時6歳だったルミエールを
クシオンの婚約者として寄越せ、と
フィーリアに手紙を送り、通信で会話をした。
勿論、彼女は断固として拒否した。
「この子は、デルソーレ王国の
王女の娘としてではなく、ただのフィーリアの
娘としてこれからも育てていきます
貴方の思うようになんてさせるわけないでしょうっ!」
フィーリアは儂に怒りの形相でそう言い放った。
儂はイラついた。王位の座を捨てた女が、
儂に指図するのか、と。
この国の国王は儂だというのに、
あの女は儂を小馬鹿にしてきたのだから。
フィーリア本人に最大の呪魔法をかけても、
意味がないことは知っていた。
だから、不意打ちでルミエールの方に
かけることにしたのだ。
そうすれば、最愛の娘を何としても守るために
あの女は自らの身を呈して
守るだろうと分かっていたからだ。
案の定、母上の少量の呪魔法もいとも容易く
弾き飛ばしていたはずのフィーリアは、
呪いに身を蝕まれ、しまいにはベッドから
起き上がれなくなるまでには弱りきっていた。
これは天が我に味方している!
そう思った儂は、気の弱くなったフィーリアに
手紙で
『娘のルミエールを婚約者として差し出せば、
衣食住には困らない生活を送らせてやろう』
と送った。これならば強気だったフィーリアも
自身の死後を考えて、儂に差し出すだろうと考えたからだ。
既にその当時には、ルミエールの父は他界しており、
ルミエールにとっての家族は母一人だった。
フィーリアは大人しく儂の要求を認めると、
返ってきた為、儂はすぐにでもルミエールを
王城に招くつもりではあったが、
慈悲としてフィーリアが死ぬまでは
ルミエールを王城に招くことはしなかった。
それから儂は王城にやって来たルミエールを、
良いようにこき使ってきた。
血統も魔力もルミエールの方が上であろうとも、
今の儂は国王なのだから、何の心配もない。
彼女にだけ、本来の妃教育にはない
儂の部屋と王妃の部屋の清掃を任せたり、
侍女と混じって王城の掃除をさせたり、
既に腐ったパンなどを与えたりと色々としてきた。
幼い頃から植え付けられた、フィーリアとの雲泥の差。
その鬱憤を、その娘に晴らさせる……これほどまでに
良いことは今までになかったといわんばかりに、
ルミエールが来た六年前から、三日前までは
儂は幸せの絶頂に立っていた。
そして、彼女がいなくなったこの国は……
もう、あの頃の面影などない。
ただ、誰かの絶望の叫びと王家への罵倒の声。
何も考えられず、逃げる気力すら恐怖で
失った儂はただ、目の前が真っ暗になって。
──全てが虚無に還った。
今まで儂がやってきたことの報いなのだろう。
あぁ、何故こんなことになってしまったのか。
そう思ってももう遅い。
もう何もかも終わりに向かっているのだから。
婚約破棄と国外追放を命じてから三日が経った。
今まで王国内には現れたことのない魔物たちが、
今やこの王城を目指して侵攻しているらしい。
『聖女など存在しない!』
そう言い始めたのは儂だが、まさかその言動から
国が滅亡しかけるとは思いやしなかった。
ここのところ、国中に疫病が流行りだした頃から
この国では唯一光魔法を使えたルミエールを
母元から、引き離し自分の息子の婚約者にしようと
ルミエールの母で、儂の従姉フィーリアに
脅しにも似た手紙を送ったり、
通信魔法で彼女と言い合ったりした
過去の記憶が蘇るようになった。
元より、フィーリアが王位継承権を破棄しなければ、
彼女は正当な王位継承者だった。
それは単純だ。儂の母は前国王の側室だった。
しかし、フィーリアの母は前王妃。
正室の子であるフィーリアと、
側室の子である儂とでは圧倒的にフィーリアの方が
女王として即位することができた。
けれど、第一王女であり、
儂の父上と王妃の一人娘であったフィーリアは
平民の男と駆け落ちした。
王妃も、父上も彼女が幸せならば良いと
王族としては恥とも言えるべきことを容認した。
──そして、儂が次期国王となった。
儂の母もフィーリアのことを嫌っていた。
全属性魔法を仕える、という万能な力を
持っていたフィーリアとは違い、
母は何の魔法も使えない。『魔力なし』だった。
それに加えて、地位はフィーリアの方が上。
どんなものも自分の上をいくフィーリアを、
母は心底嫌っていたのを覚えている。
そんな折、儂はフィーリアと平民のアシュランとの
間に生まれた娘、ルミエールを自身の子の
婚約者───妻にしようと企てた。
母と同じように全属性魔法を使えるルミエールを
自身の良いように扱えたら……そう思ったのだ。
だからこそ、儂は当時6歳だったルミエールを
クシオンの婚約者として寄越せ、と
フィーリアに手紙を送り、通信で会話をした。
勿論、彼女は断固として拒否した。
「この子は、デルソーレ王国の
王女の娘としてではなく、ただのフィーリアの
娘としてこれからも育てていきます
貴方の思うようになんてさせるわけないでしょうっ!」
フィーリアは儂に怒りの形相でそう言い放った。
儂はイラついた。王位の座を捨てた女が、
儂に指図するのか、と。
この国の国王は儂だというのに、
あの女は儂を小馬鹿にしてきたのだから。
フィーリア本人に最大の呪魔法をかけても、
意味がないことは知っていた。
だから、不意打ちでルミエールの方に
かけることにしたのだ。
そうすれば、最愛の娘を何としても守るために
あの女は自らの身を呈して
守るだろうと分かっていたからだ。
案の定、母上の少量の呪魔法もいとも容易く
弾き飛ばしていたはずのフィーリアは、
呪いに身を蝕まれ、しまいにはベッドから
起き上がれなくなるまでには弱りきっていた。
これは天が我に味方している!
そう思った儂は、気の弱くなったフィーリアに
手紙で
『娘のルミエールを婚約者として差し出せば、
衣食住には困らない生活を送らせてやろう』
と送った。これならば強気だったフィーリアも
自身の死後を考えて、儂に差し出すだろうと考えたからだ。
既にその当時には、ルミエールの父は他界しており、
ルミエールにとっての家族は母一人だった。
フィーリアは大人しく儂の要求を認めると、
返ってきた為、儂はすぐにでもルミエールを
王城に招くつもりではあったが、
慈悲としてフィーリアが死ぬまでは
ルミエールを王城に招くことはしなかった。
それから儂は王城にやって来たルミエールを、
良いようにこき使ってきた。
血統も魔力もルミエールの方が上であろうとも、
今の儂は国王なのだから、何の心配もない。
彼女にだけ、本来の妃教育にはない
儂の部屋と王妃の部屋の清掃を任せたり、
侍女と混じって王城の掃除をさせたり、
既に腐ったパンなどを与えたりと色々としてきた。
幼い頃から植え付けられた、フィーリアとの雲泥の差。
その鬱憤を、その娘に晴らさせる……これほどまでに
良いことは今までになかったといわんばかりに、
ルミエールが来た六年前から、三日前までは
儂は幸せの絶頂に立っていた。
そして、彼女がいなくなったこの国は……
もう、あの頃の面影などない。
ただ、誰かの絶望の叫びと王家への罵倒の声。
何も考えられず、逃げる気力すら恐怖で
失った儂はただ、目の前が真っ暗になって。
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