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太陽と向日葵2
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今日は二月三日。
風水とか東洋の占いの世界では今日から一年が始まるんだって、そういうのを気にして会社を大きくした、うちのじいちゃんが言っていた。
やっぱり一年の始まりはハニーと迎えたいじゃん?
つーことで、愛しの陽太の部屋へ向かう。
コンコンコンコンコン……
ノック連打32打目で出てきてくれた陽太。
出てきてくれるまでのノックの回数が徐々に減っていっている。
確実に進歩している俺達の関係みたいに。
「陽太、会いたかったよぉー! アイラブユー!」
満面の笑みで愛の言葉を叫びながら抱きしめようとすると、
「痛っ、いでで……」
顔に小さな塊が当たった。
何? 銃弾?
そんなわけないか。俺、生きてるもん。
足元に落ちたそれを拾い上げてみる。
「あっ……」
それは、俺が食堂から持ってきたものと同じやつ。
鬼は外、福は内、のアレ。
「なーんだ。陽太も俺と豆まきするつもりだったんだ」
「……」
「でも、何で俺に投げるわけ?」
「……鬼は外」
「俺は福だろ?」
ちょっとお口の過ぎたハニーを、ぎゅっと抱きしめる。
最初はジタバタしていたものの次第に静かになった陽太は、髪に指を通す俺にされるがままにされている。
「太巻きも持ってきたから食べよ?」
「……あぁ」
か細い声が答える。
離してやると、俯いたままリビングへと出ていく陽太。
恥ずかしがっちゃって、本当に純情で可愛いんだから。
急いで俺も、その後を追う。
「これさ、今年の恵方を向いて、願い事を思い浮かべながら無言で丸かじりすると、その願いが叶うんだって」
陽太の前に座って、ガサゴソとビニール袋の中から太巻きを取り出す。
「ふーん」
陽太は、興味なさそうに太巻きに目をやる。
何だよ、願い事叶えて欲しくないのか? それとも、幸せすぎて願う事がないだけなのか?
くぅー、可愛いぜマイハニー。俺は、そんな陽太との永遠の幸せを願うからな。
太巻きを持って、いざ口に投入という直前に大変な事に気付いた。
恵方は、どこだ?
太巻きを口の前に持ったまま、部屋中を見渡す。
「陽太、恵方ってどこだ? って……」
陽太を見ると、包丁で太巻きを一センチ幅に切っていた。
「何やってんの?」
「食いやすいように」
「願い事叶えてもらわなくてもいいのかよ?」
「別に叶えて欲しい事なんてねぇし……」
やっぱり俺といられて満足なんだね。ジュテームだよ、ハニー。
太巻き片手に、また抱きしめ合おうとすると、
「痛っ」
再び顔に豆が飛んできた。
「何だよー」
「……」
知らん顔で太巻きを頬張る陽太。
もう、素直じゃないんだから。
願い事、変更しよ。
陽太がもっと素直になってくれますよーに!
結局、恵方が分からなかったので、ゆっくり回転しながら部屋の四方全てを見渡す形で太巻きをたいらげた。
どこかに恵方があったはずだ。
この際、多少効力が薄くても目を瞑ろう。
「おい……」
「ん?」
任務をやり遂げて満足している俺を呼ぶ声に振り向くと、伏し目がちの顔が近づいてきた。
なんかスローモーションみたいだなって思っていると、左頬に柔らかいものが当たった。
何が、起こった?
必死で状況を判断しようと少ない脳味噌をフル稼働させていると、顔を離した陽太がさっき頬に当たったものと同じくらい柔らかな笑みを浮かべて、お茶を差し出してくれた。
「陽太?」
「ご飯粒ついてたから……」
お茶をすする陽太が、俺から目を逸らす。
なんだ? 早速効果ありか?
凄いぜ恵方! 凄いぜ太巻き!
可愛い可愛いマイハニーをぎゅっと抱きしめても、今度は最初から静かに抱かれている。
「俺さ、陽太と俺の永遠の幸せを願って太巻き食ったんだよ」
「あぁ……」
「嬉しい?」
「……」
「嬉しくないの?」
「……嬉しくないことは、ない」
うぉ、こいつは春から縁起がいいねぇ!
「いでで……ごめんなさーい」
調子こいて押し倒したら、思いっきり豆を投げつけられてしまいました。
風水とか東洋の占いの世界では今日から一年が始まるんだって、そういうのを気にして会社を大きくした、うちのじいちゃんが言っていた。
やっぱり一年の始まりはハニーと迎えたいじゃん?
つーことで、愛しの陽太の部屋へ向かう。
コンコンコンコンコン……
ノック連打32打目で出てきてくれた陽太。
出てきてくれるまでのノックの回数が徐々に減っていっている。
確実に進歩している俺達の関係みたいに。
「陽太、会いたかったよぉー! アイラブユー!」
満面の笑みで愛の言葉を叫びながら抱きしめようとすると、
「痛っ、いでで……」
顔に小さな塊が当たった。
何? 銃弾?
そんなわけないか。俺、生きてるもん。
足元に落ちたそれを拾い上げてみる。
「あっ……」
それは、俺が食堂から持ってきたものと同じやつ。
鬼は外、福は内、のアレ。
「なーんだ。陽太も俺と豆まきするつもりだったんだ」
「……」
「でも、何で俺に投げるわけ?」
「……鬼は外」
「俺は福だろ?」
ちょっとお口の過ぎたハニーを、ぎゅっと抱きしめる。
最初はジタバタしていたものの次第に静かになった陽太は、髪に指を通す俺にされるがままにされている。
「太巻きも持ってきたから食べよ?」
「……あぁ」
か細い声が答える。
離してやると、俯いたままリビングへと出ていく陽太。
恥ずかしがっちゃって、本当に純情で可愛いんだから。
急いで俺も、その後を追う。
「これさ、今年の恵方を向いて、願い事を思い浮かべながら無言で丸かじりすると、その願いが叶うんだって」
陽太の前に座って、ガサゴソとビニール袋の中から太巻きを取り出す。
「ふーん」
陽太は、興味なさそうに太巻きに目をやる。
何だよ、願い事叶えて欲しくないのか? それとも、幸せすぎて願う事がないだけなのか?
くぅー、可愛いぜマイハニー。俺は、そんな陽太との永遠の幸せを願うからな。
太巻きを持って、いざ口に投入という直前に大変な事に気付いた。
恵方は、どこだ?
太巻きを口の前に持ったまま、部屋中を見渡す。
「陽太、恵方ってどこだ? って……」
陽太を見ると、包丁で太巻きを一センチ幅に切っていた。
「何やってんの?」
「食いやすいように」
「願い事叶えてもらわなくてもいいのかよ?」
「別に叶えて欲しい事なんてねぇし……」
やっぱり俺といられて満足なんだね。ジュテームだよ、ハニー。
太巻き片手に、また抱きしめ合おうとすると、
「痛っ」
再び顔に豆が飛んできた。
「何だよー」
「……」
知らん顔で太巻きを頬張る陽太。
もう、素直じゃないんだから。
願い事、変更しよ。
陽太がもっと素直になってくれますよーに!
結局、恵方が分からなかったので、ゆっくり回転しながら部屋の四方全てを見渡す形で太巻きをたいらげた。
どこかに恵方があったはずだ。
この際、多少効力が薄くても目を瞑ろう。
「おい……」
「ん?」
任務をやり遂げて満足している俺を呼ぶ声に振り向くと、伏し目がちの顔が近づいてきた。
なんかスローモーションみたいだなって思っていると、左頬に柔らかいものが当たった。
何が、起こった?
必死で状況を判断しようと少ない脳味噌をフル稼働させていると、顔を離した陽太がさっき頬に当たったものと同じくらい柔らかな笑みを浮かべて、お茶を差し出してくれた。
「陽太?」
「ご飯粒ついてたから……」
お茶をすする陽太が、俺から目を逸らす。
なんだ? 早速効果ありか?
凄いぜ恵方! 凄いぜ太巻き!
可愛い可愛いマイハニーをぎゅっと抱きしめても、今度は最初から静かに抱かれている。
「俺さ、陽太と俺の永遠の幸せを願って太巻き食ったんだよ」
「あぁ……」
「嬉しい?」
「……」
「嬉しくないの?」
「……嬉しくないことは、ない」
うぉ、こいつは春から縁起がいいねぇ!
「いでで……ごめんなさーい」
調子こいて押し倒したら、思いっきり豆を投げつけられてしまいました。
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