19 / 31
愛してなどいないのに
しおりを挟む
ムカムカする。体内で蛇がのたうち回っているみたいだ。
汗を流せば少しはすっきりするかと思い、仕事を早めに切り上げて、無人のゴールマウスに向かってひたすらに球を蹴る。だが、蹴っても蹴ってもムカムカは収まらない。
目につくもの全てが、俺をイライラさせる。
何故、そんなところにゴールマウスがあるんだ。何故、そんなところに球が転がっているんだ。
当たり前の風景が、今は非常識に見えて仕方がない。
気付くと空には白い月が浮かんでいた。
散らかった球を拾い集める行為で、益々俺の中の蛇は暴れだす。
結局は、逆効果だった。
重くなっただけの体で、保健室へ戻る。
人影のない廊下を歩いていると、誰かの話し声が聞こえた。
声のする方へ近付いていくと、ロッカーを背にしゃがみ込んで携帯を耳に当てている笑顔の早乙女がいた。
早乙女は、この学園の生徒だ。
十年近く、この学園で保健医をやっている俺は、数多の生徒と関係を持ってきた。
同性同士での性欲解消が当たり前のここでは、行為に深い意味などない。
俺自身もこの学園の出身なので、なんの抵抗もなく快楽を追っていた。
最初は、早乙女を抱く気などなかった。
俺が相手にするのは、行為に意味を持たせようとしない者だけだからだ。
高校からの転入組で、外の世界の感覚を持っている早乙女は、俺が最も相手にしないタイプだったからだ。
なにが気に入ったのか、早乙女は放課後になると保健室に入り浸るようになった。
汚いものなど何も知らないと告げているようなキラキラ輝く瞳は、眩しくて、不快で、気に触った。
二度と保健室に来ることがないよう、無理矢理早乙女のぺニスを扱き、吐精させた。
それなのに、翌日の放課後も変わらずに早乙女は保健室を訪れた。
思い通りにならないことに腹が立ち、また早乙女を無理矢理吐精させた。
翌日も、また翌日も。それでも、早乙女は保健室に来ることをやめなかった。
苛立ちが最高潮に達した俺は、早乙女を抱いた。
「先生と繋がれて嬉しい。先生、愛しています」
行為後、早乙女は朝露のような涙を溜めた目を細めて、俺に告白してきた。
「俺は、お前など愛していない。相手が誰であろうと、やりたい時にやるだけだ」
「その誰かの中の一人でいいから、僕を抱いてください」
明らかに傷付いていると分かる顔をした早乙女が、必死に懇願してきた。
そのあとも、保健室に来ることをやめなかった早乙女を抱き続けた。
何度目か行為後、早乙女の瞳から輝きが消えていることに気付いた。
俺を苛立たせてきた輝きなのに、消えたと分かると更に苛立ちは増した。
「うん、じゃあね」
俺に気付いて電話を切った早乙女が、はにかみながら近づいてくる。
今の笑顔は何だ? あんなに清らかで若者らしい表情が出来るのに、何故俺の前では死んだ目になる? お前のことは愛せないと言っているのに、何故健気に尽くそうとする?
蛇が皮膚を破って飛び出してきそうだ。
「先生?」
急に抱きしめた俺に、驚きと喜びの混じった声をあげる早乙女。
「やりたくなったから舐めてくれ」
胸の中でこくんと頭が頷いたので体を離すと、膝をついた早乙女が俺のスラックスと下着を下ろし、俺のぺニスを口に含んだ。
「んっ……」
快感が広がるにつれて、ムカムカ感が薄れていく。
体中を快感だけで満たしたい。
「入れさせろ」
俺のぺニスを咥えている早乙女の腕を掴んで立たせる。
「脱いで、そこに手をつけるんだ」
俺の命令に頷いた早乙女が、ズボンと下着を脱いでいく。そして、下半身だけ露わになった姿でロッカーに手をつき、アナルを差し出してきた。
一刻も早く快感に溺れたい俺は、まだ受け入れる準備の整っていないそこに無理矢理潜り込む。
「あっ……ひゃぁぁ……っ……」
早乙女の口から悲痛な声があがる。
ロッカーがガタガタと音を立てる。
早乙女は必死で手をつき、体が崩れ落ちぬよう耐えている。
強烈な締め付けに、早乙女の痛みが快感に変わるより前に、ドロドロの欲望を吐き出してしまった。
俺が離れたその後も、早乙女はそのままの姿勢で小刻みに震えている。
ロッカーが、カタカタと小さな音を立て続けている。
「ひゃっ……」
俺が無理矢理入り込んだそこに指を入れると、悲鳴とも喘ぎ声ともつかぬ声があがった。
その中を掻き回すと、掌の中にドロッとした生温かいものが落ちてきた。
白と赤が混ざった液体だ。赤い……血?
「先生、もういいの?」
振り返った潤んだ瞳が笑う。
「先生?」
なんだかとても愛しくなって、早乙女の体を抱きしめる。
欲望と一緒に蛇を吐き出したようで、今は腕の中のこいつのことしか考えられない。
顎を掴んで、早乙女の顔を見つめる。
瞳は澄んでいて、キラキラと輝いている。
「んっ……」
吸い寄せられるように唇を重ねた。深く、深く、ねっとりと。
考えてみたら、初めての口付けだったのかもしれない。
「はぁん……ふぁ……」
口内で体を一つに繋げたまま、太腿に当たる早乙女のぺニスを扱いてやる。
すぐに、幸せそうな甘い声が漏れはじめた。
俺の背中に回された早乙女の腕の力が、段々と増していく。
それが快感と比例していることは、容易に分かる。
「あぁっ……」
太腿に生温かさが広がると、腕の中にいた早乙女が崩れ落ちた。
「ごめんなさい……」
俺の足を伝って床に落ちていく白濁を見て、申し訳なさそうに俺を見上げる早乙女の頬は濡れている。
捨てられた子犬を撫でるように、自然にしゃがみ込んでその頭を撫でていた。
心が、動き始めた――
汗を流せば少しはすっきりするかと思い、仕事を早めに切り上げて、無人のゴールマウスに向かってひたすらに球を蹴る。だが、蹴っても蹴ってもムカムカは収まらない。
目につくもの全てが、俺をイライラさせる。
何故、そんなところにゴールマウスがあるんだ。何故、そんなところに球が転がっているんだ。
当たり前の風景が、今は非常識に見えて仕方がない。
気付くと空には白い月が浮かんでいた。
散らかった球を拾い集める行為で、益々俺の中の蛇は暴れだす。
結局は、逆効果だった。
重くなっただけの体で、保健室へ戻る。
人影のない廊下を歩いていると、誰かの話し声が聞こえた。
声のする方へ近付いていくと、ロッカーを背にしゃがみ込んで携帯を耳に当てている笑顔の早乙女がいた。
早乙女は、この学園の生徒だ。
十年近く、この学園で保健医をやっている俺は、数多の生徒と関係を持ってきた。
同性同士での性欲解消が当たり前のここでは、行為に深い意味などない。
俺自身もこの学園の出身なので、なんの抵抗もなく快楽を追っていた。
最初は、早乙女を抱く気などなかった。
俺が相手にするのは、行為に意味を持たせようとしない者だけだからだ。
高校からの転入組で、外の世界の感覚を持っている早乙女は、俺が最も相手にしないタイプだったからだ。
なにが気に入ったのか、早乙女は放課後になると保健室に入り浸るようになった。
汚いものなど何も知らないと告げているようなキラキラ輝く瞳は、眩しくて、不快で、気に触った。
二度と保健室に来ることがないよう、無理矢理早乙女のぺニスを扱き、吐精させた。
それなのに、翌日の放課後も変わらずに早乙女は保健室を訪れた。
思い通りにならないことに腹が立ち、また早乙女を無理矢理吐精させた。
翌日も、また翌日も。それでも、早乙女は保健室に来ることをやめなかった。
苛立ちが最高潮に達した俺は、早乙女を抱いた。
「先生と繋がれて嬉しい。先生、愛しています」
行為後、早乙女は朝露のような涙を溜めた目を細めて、俺に告白してきた。
「俺は、お前など愛していない。相手が誰であろうと、やりたい時にやるだけだ」
「その誰かの中の一人でいいから、僕を抱いてください」
明らかに傷付いていると分かる顔をした早乙女が、必死に懇願してきた。
そのあとも、保健室に来ることをやめなかった早乙女を抱き続けた。
何度目か行為後、早乙女の瞳から輝きが消えていることに気付いた。
俺を苛立たせてきた輝きなのに、消えたと分かると更に苛立ちは増した。
「うん、じゃあね」
俺に気付いて電話を切った早乙女が、はにかみながら近づいてくる。
今の笑顔は何だ? あんなに清らかで若者らしい表情が出来るのに、何故俺の前では死んだ目になる? お前のことは愛せないと言っているのに、何故健気に尽くそうとする?
蛇が皮膚を破って飛び出してきそうだ。
「先生?」
急に抱きしめた俺に、驚きと喜びの混じった声をあげる早乙女。
「やりたくなったから舐めてくれ」
胸の中でこくんと頭が頷いたので体を離すと、膝をついた早乙女が俺のスラックスと下着を下ろし、俺のぺニスを口に含んだ。
「んっ……」
快感が広がるにつれて、ムカムカ感が薄れていく。
体中を快感だけで満たしたい。
「入れさせろ」
俺のぺニスを咥えている早乙女の腕を掴んで立たせる。
「脱いで、そこに手をつけるんだ」
俺の命令に頷いた早乙女が、ズボンと下着を脱いでいく。そして、下半身だけ露わになった姿でロッカーに手をつき、アナルを差し出してきた。
一刻も早く快感に溺れたい俺は、まだ受け入れる準備の整っていないそこに無理矢理潜り込む。
「あっ……ひゃぁぁ……っ……」
早乙女の口から悲痛な声があがる。
ロッカーがガタガタと音を立てる。
早乙女は必死で手をつき、体が崩れ落ちぬよう耐えている。
強烈な締め付けに、早乙女の痛みが快感に変わるより前に、ドロドロの欲望を吐き出してしまった。
俺が離れたその後も、早乙女はそのままの姿勢で小刻みに震えている。
ロッカーが、カタカタと小さな音を立て続けている。
「ひゃっ……」
俺が無理矢理入り込んだそこに指を入れると、悲鳴とも喘ぎ声ともつかぬ声があがった。
その中を掻き回すと、掌の中にドロッとした生温かいものが落ちてきた。
白と赤が混ざった液体だ。赤い……血?
「先生、もういいの?」
振り返った潤んだ瞳が笑う。
「先生?」
なんだかとても愛しくなって、早乙女の体を抱きしめる。
欲望と一緒に蛇を吐き出したようで、今は腕の中のこいつのことしか考えられない。
顎を掴んで、早乙女の顔を見つめる。
瞳は澄んでいて、キラキラと輝いている。
「んっ……」
吸い寄せられるように唇を重ねた。深く、深く、ねっとりと。
考えてみたら、初めての口付けだったのかもしれない。
「はぁん……ふぁ……」
口内で体を一つに繋げたまま、太腿に当たる早乙女のぺニスを扱いてやる。
すぐに、幸せそうな甘い声が漏れはじめた。
俺の背中に回された早乙女の腕の力が、段々と増していく。
それが快感と比例していることは、容易に分かる。
「あぁっ……」
太腿に生温かさが広がると、腕の中にいた早乙女が崩れ落ちた。
「ごめんなさい……」
俺の足を伝って床に落ちていく白濁を見て、申し訳なさそうに俺を見上げる早乙女の頬は濡れている。
捨てられた子犬を撫でるように、自然にしゃがみ込んでその頭を撫でていた。
心が、動き始めた――
0
あなたにおすすめの小説
兄のやり方には思うところがある!
野犬 猫兄
BL
完結しました。お読みくださりありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
第10回BL小説大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、そしてお読みくださった皆様、どうもありがとうございました!m(__)m
■■■
特訓と称して理不尽な行いをする兄に翻弄されながらも兄と向き合い仲良くなっていく話。
無関心ロボからの執着溺愛兄×無自覚人たらしな弟
コメディーです。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー
夏目碧央
BL
強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。
一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
王道学園の書記には過保護な彼氏がいるようで
春於
BL
「王道学園の副会長には愛しの彼氏がいるようで」のつづき
(https://www.alphapolis.co.jp/novel/987002062/624877237)
王道学園に王道転校生がやってきた
だけど、生徒会のメンバーは王道ではないようで…
【月見里学園】
生徒会
〈会長〉御宮司 忍 (おんぐうじ しのぶ)
〈副会長〉香月 絢人 (かづき あやと)
〈書記〉相園 莉央 (あいぞの りお)
〈会計〉柊 悠雅 (ひいらぎ ゆうが)
〈庶務〉一色 彩葉/日彩 (いっしき いろは/ひいろ)
風紀委員
〈風紀委員長〉伊武 征太郎 (いぶ せいたろう)
相園莉央親衛隊
〈親衛隊長〉早乙女 楓真 (さおとめ ふうま)
王道転校生
浅見翔大 (あさみ しょうた)
※他サイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる