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アキとハル
特別な日
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只今、23時36分。
明日は休みだから夜更かししちゃってもOK!って事で、遅い夕食を終えてアルコール片手に二本目のDVDを鑑賞中だ。
一本目はオレの計画など露知らず、隣でのほほんと画面を見つめているアキのリクエストのコメディーで、二人共ずーっと腹を抱えて楽しんだ。
その後の食事でも、主人公のマネをするアキに笑いは絶えることはなかった。
そして今、画面に映し出されているのはオレのリクエストの純愛ものだ。
美しくて儚いその世界に引き込まれそうになるのを必死で耐えながら、テレビの上に掛けられた時計から目を離さないようにしている。
後少しで日付が変わる。
明日は、愛しい君が生を受けた大切な記念日だ。
新たに歳を重ねた瞬間に、誰よりも先に「おめでとう!」と伝えたくて、アキがいない間に時報を聞いて正確な時刻に合わせておいた。
『おめでとう』
半年前、アキの腕の中で聞いたお祝いの言葉。
今までいろんな人から同じ言葉をかけてもらって、勿論凄く嬉しかったのだけれど、アキの言葉は胸の奥の奥まで響いて体が震えるほど嬉しかった。
あの日は試合で大きなミスをして、凹んだまま一日を過ごした。
「うわっ、何だこれ!?」
足取りと同じで、なんだか凄く重く感じる扉を開けると、小学生の時にパーティーの度に飾り付けていた色とりどりの折り紙で作った鎖が天井中に広がっていて、真っ白なテーブルクロスの上には溢れんばかりの料理が並んでいた。
近付いていってよく見ると、所々に焦げがあって全てがちょっと不格好で、料理人が誰なのか安易に想像できた。
雨模様だった心が、強烈に降り注ぐ太陽によって乾いていく。
「おかえり」
照れ臭そうに頭を掻いてキッチンからひょこって出てきたコックは、いつ買ってきたのか着せられてる感丸出しで全然似合っていないエプロンをつけていた。
たぶん元は黒だったんだろうが汚れて変な模様が出来ていて、オレの為に慣れない料理を頑張ってくれたのが分かって、胸が熱くなって我慢出来ずに飛びついてしまった。
「こら、汚れるぞ。今エプロン外すから、ちょっと離れて」
「いい! 汚れたって構わねぇ」
「もー、本当にハルは甘えん坊なんだから」
クスクスと笑いながら、エプロンの紐を解こうと背中に回していた手をオレに絡め、あやすように優しく頭を撫でてくれた。
アキの手料理はちょっと塩辛かったけど旨かったな、と幸せな記憶に酔いしれていると、時計の針が後数秒で全て重なるというとこまできていた。
ちらっとアキの様子を確認すると、画面の中の愛を確かめ合う二人を穏やかな表情で見つめている。
5、4、3、2……
「おめでとう!」
「うわっ」
突然抱きついたオレに軽くパニックをおこし、何だ?何だ?と小刻みに首を振っているアキ。
その姿にも、愛おしさが増していく。
「忘れちまったのか? 今日、アキの誕生日だぞ」
「あっ、そうか……」
ちらっと時計を見てオレの行動が理解出来たみたいで、ぎゅっと抱きしめ返してくれた。
ありがと、と優しい声が耳元を擽り、擽ったくて肩を揺らしたオレの頬を大きな掌が包み、幸せそうな顔が近付いてくる。
「んっ……」
優しく塞がれた唇を暫く啄んでいたアキのねっとりとした舌が、唇を割ってゆっくり入ってくる。
DVDはちょうどエンディングを迎え、美しいピアノの旋律にピチュピチュといやらしい水音が重なる。
甘くて幸せでクラクラする長い口付けが終わり乱れた息を整えていると、それを目を細めて眺めていたアキによって宙に浮かされた体。
「どこ行くんだ?」
「ベッド」
嫌?、と不安げに聞いてくるアキの首に腕を絡め、いいぞ、と耳元で答える。
お姫様だっこされて寝室に連れていかれ、ベッドに寝かされたオレの上にギシギシと音を立てて乗ってくるアキ。
「どうした?」
特に触れるでもなくじっとオレの顔を見つめているから、流石に何だろうと思い問いかける。
「いや、可愛いなって思って見てただけ」
キュンとする言葉を、これまたキュンとする凛々しい顔で言うもんだから、嬉しさと恥ずかしさで体がカーッと熱くなっていく。
「何? 照れてるの?」
本当可愛いな、と頬を緩めて優しい眼差しで見つめながら、頬から顎へと指を滑らせてくるアキ。
「はぁ……」
何度も上下に行き来していた指は顎で止まり、犬や猫を可愛がる時のように細かく動く。
勿論そこが、オレが感じやすい場所だと知っての行動だ。
擽ったいけれど気持ちのいいその感覚に、腰が反る。
楽しそうにオレの歓ぶ顔を眺めているアキの表情が、段々とオスの顔になっていく。
「あのさ……」
「ん?」
プチプチとオレのシャツのボタンを外し始めたアキに、今日だけの特別を話すべく口を開く。
「今日だけは、好きなようにしてもいいぜ」
「へ?」
発言の意味が分からないのか、あんぐりと口を開けた顔が首を傾げる。
「誕生日プレゼントじゃねぇけどさ、今日だけは特別に、その……電気つけたままやったり、写真撮ったり、あの変な玩具も使わせてやるよ……」
何も言わず、ただただオレを見つめ続けているアキの、色素が薄くて吸い込まれそうなほど綺麗な瞳に映る自分の姿が目に入る。
どうしようか何日も悩んでやっと決意して発した言葉なのに、今更ながら物凄く恥ずかしくなってきてた。
絶対に喜んでくれると思っていたのに想像と全く違うアキの反応もあって、後悔し始めてしまう。
「無理しなくてもいいよ」
「へ?」
ぐいっと引き寄せられ、大きな胸にすっぽり埋まる。
「ハルがちょっとでも嫌だって思う事はしたくないから。俺さ、ハルの笑顔大好きだから、それを曇らせる事はしたくないんだ」
なんなんだよ、アキの奴は。
いつもは馬鹿ばっかりやってオレに怒られてばかりなのに、どうしてこういう重要なところでは、こんなにも優しくて頼もしくて格好いいんだよ?
鼻の奥がツーンとしてくる。
「泣かないでよ」
「泣いてねぇよ」
強がるオレを抱き締め、慣れた手つきであやしてくれるアキ。
アキとオレが同じ時代に生まれ、出会い、愛し合えた運命に、本当に感謝したい。
「なぁ、続きしてもいい?」
「あぁ」
心も体も満たされる幸せな夜が更けていく。
明日は休みだから夜更かししちゃってもOK!って事で、遅い夕食を終えてアルコール片手に二本目のDVDを鑑賞中だ。
一本目はオレの計画など露知らず、隣でのほほんと画面を見つめているアキのリクエストのコメディーで、二人共ずーっと腹を抱えて楽しんだ。
その後の食事でも、主人公のマネをするアキに笑いは絶えることはなかった。
そして今、画面に映し出されているのはオレのリクエストの純愛ものだ。
美しくて儚いその世界に引き込まれそうになるのを必死で耐えながら、テレビの上に掛けられた時計から目を離さないようにしている。
後少しで日付が変わる。
明日は、愛しい君が生を受けた大切な記念日だ。
新たに歳を重ねた瞬間に、誰よりも先に「おめでとう!」と伝えたくて、アキがいない間に時報を聞いて正確な時刻に合わせておいた。
『おめでとう』
半年前、アキの腕の中で聞いたお祝いの言葉。
今までいろんな人から同じ言葉をかけてもらって、勿論凄く嬉しかったのだけれど、アキの言葉は胸の奥の奥まで響いて体が震えるほど嬉しかった。
あの日は試合で大きなミスをして、凹んだまま一日を過ごした。
「うわっ、何だこれ!?」
足取りと同じで、なんだか凄く重く感じる扉を開けると、小学生の時にパーティーの度に飾り付けていた色とりどりの折り紙で作った鎖が天井中に広がっていて、真っ白なテーブルクロスの上には溢れんばかりの料理が並んでいた。
近付いていってよく見ると、所々に焦げがあって全てがちょっと不格好で、料理人が誰なのか安易に想像できた。
雨模様だった心が、強烈に降り注ぐ太陽によって乾いていく。
「おかえり」
照れ臭そうに頭を掻いてキッチンからひょこって出てきたコックは、いつ買ってきたのか着せられてる感丸出しで全然似合っていないエプロンをつけていた。
たぶん元は黒だったんだろうが汚れて変な模様が出来ていて、オレの為に慣れない料理を頑張ってくれたのが分かって、胸が熱くなって我慢出来ずに飛びついてしまった。
「こら、汚れるぞ。今エプロン外すから、ちょっと離れて」
「いい! 汚れたって構わねぇ」
「もー、本当にハルは甘えん坊なんだから」
クスクスと笑いながら、エプロンの紐を解こうと背中に回していた手をオレに絡め、あやすように優しく頭を撫でてくれた。
アキの手料理はちょっと塩辛かったけど旨かったな、と幸せな記憶に酔いしれていると、時計の針が後数秒で全て重なるというとこまできていた。
ちらっとアキの様子を確認すると、画面の中の愛を確かめ合う二人を穏やかな表情で見つめている。
5、4、3、2……
「おめでとう!」
「うわっ」
突然抱きついたオレに軽くパニックをおこし、何だ?何だ?と小刻みに首を振っているアキ。
その姿にも、愛おしさが増していく。
「忘れちまったのか? 今日、アキの誕生日だぞ」
「あっ、そうか……」
ちらっと時計を見てオレの行動が理解出来たみたいで、ぎゅっと抱きしめ返してくれた。
ありがと、と優しい声が耳元を擽り、擽ったくて肩を揺らしたオレの頬を大きな掌が包み、幸せそうな顔が近付いてくる。
「んっ……」
優しく塞がれた唇を暫く啄んでいたアキのねっとりとした舌が、唇を割ってゆっくり入ってくる。
DVDはちょうどエンディングを迎え、美しいピアノの旋律にピチュピチュといやらしい水音が重なる。
甘くて幸せでクラクラする長い口付けが終わり乱れた息を整えていると、それを目を細めて眺めていたアキによって宙に浮かされた体。
「どこ行くんだ?」
「ベッド」
嫌?、と不安げに聞いてくるアキの首に腕を絡め、いいぞ、と耳元で答える。
お姫様だっこされて寝室に連れていかれ、ベッドに寝かされたオレの上にギシギシと音を立てて乗ってくるアキ。
「どうした?」
特に触れるでもなくじっとオレの顔を見つめているから、流石に何だろうと思い問いかける。
「いや、可愛いなって思って見てただけ」
キュンとする言葉を、これまたキュンとする凛々しい顔で言うもんだから、嬉しさと恥ずかしさで体がカーッと熱くなっていく。
「何? 照れてるの?」
本当可愛いな、と頬を緩めて優しい眼差しで見つめながら、頬から顎へと指を滑らせてくるアキ。
「はぁ……」
何度も上下に行き来していた指は顎で止まり、犬や猫を可愛がる時のように細かく動く。
勿論そこが、オレが感じやすい場所だと知っての行動だ。
擽ったいけれど気持ちのいいその感覚に、腰が反る。
楽しそうにオレの歓ぶ顔を眺めているアキの表情が、段々とオスの顔になっていく。
「あのさ……」
「ん?」
プチプチとオレのシャツのボタンを外し始めたアキに、今日だけの特別を話すべく口を開く。
「今日だけは、好きなようにしてもいいぜ」
「へ?」
発言の意味が分からないのか、あんぐりと口を開けた顔が首を傾げる。
「誕生日プレゼントじゃねぇけどさ、今日だけは特別に、その……電気つけたままやったり、写真撮ったり、あの変な玩具も使わせてやるよ……」
何も言わず、ただただオレを見つめ続けているアキの、色素が薄くて吸い込まれそうなほど綺麗な瞳に映る自分の姿が目に入る。
どうしようか何日も悩んでやっと決意して発した言葉なのに、今更ながら物凄く恥ずかしくなってきてた。
絶対に喜んでくれると思っていたのに想像と全く違うアキの反応もあって、後悔し始めてしまう。
「無理しなくてもいいよ」
「へ?」
ぐいっと引き寄せられ、大きな胸にすっぽり埋まる。
「ハルがちょっとでも嫌だって思う事はしたくないから。俺さ、ハルの笑顔大好きだから、それを曇らせる事はしたくないんだ」
なんなんだよ、アキの奴は。
いつもは馬鹿ばっかりやってオレに怒られてばかりなのに、どうしてこういう重要なところでは、こんなにも優しくて頼もしくて格好いいんだよ?
鼻の奥がツーンとしてくる。
「泣かないでよ」
「泣いてねぇよ」
強がるオレを抱き締め、慣れた手つきであやしてくれるアキ。
アキとオレが同じ時代に生まれ、出会い、愛し合えた運命に、本当に感謝したい。
「なぁ、続きしてもいい?」
「あぁ」
心も体も満たされる幸せな夜が更けていく。
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