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直人が寝室として使っている部屋は、夫人と並んで寝ていたというキングサイズのベッドが置いてあるだけのシンプルな部屋だった。
「お風呂を入れてくるから、本を見て待っててくれな」
「はいっ!」
へッドボードに何冊か本が置いてあったのでそう告げると、直人はベッドに腰掛けて絵本を読み始めた。
浴室には部屋から直接行けるような作りになっていたので、脱衣所でタオルやドライヤーの位置などを確認し、見付けた掃除道具を持って浴室に入る。
一階の浴室よりも広めのそこは、デカい男が二人で入っても狭さは感じなさそうだ。
百九十センチ近い直人でも足を伸ばして悠々と浸かれるだろう広さの浴槽を洗い、湯を溜めていく。
一旦部屋に戻り、夢中で絵本を読んでいる直人に微笑みつつ、直人の服が入っていると聞いた一番右のクローゼットを開けて、何が入っているのかざっと確認した後パジャマを取り出す。
肌触りのよい光沢のある黒色の生地で出来たパジャマを手に取り、そろそろ湯が溜まっているだろう浴室に戻ろうとするが、下着を取り出すのを忘れていたことに気付いて探す。
綺麗に折り畳まれて並んでいる黒いボクサーパンツを、変な妄想を始めてしまわないうちに素早く掴み、浴室に戻る。
丁度いいくらいに溜まった湯を止めて白い入浴剤を入れ、ロンTを肘の辺りまで捲り上げる。
さっきシャワーを浴びた時に寝間着用の服に着替えたので、下は膝丈のジャージだから濡れはしないだろう。
「ナオくん、風呂の準備が出来たからこっちに来な」
「はいっ!」
寝室に続く扉を開けて直人と呼ぶと、すぐに絵本から顔を上げて近付いてきた。
「じゃあ、服を脱ぐ練習をしてみようか」
「はみがきは?」
「え……あぁ、そうだな。いつもはどうしてるんだ?」
「お母さまのおひざに寝て、やってもらうの」
幼児式の歯磨きをしているのか、と洗面台に置かれた直人のものだろう青い歯ブラシを見る。
虫歯になったら困るので仕上げ磨きは必要だろうが、出来るところまでやらせるべきだな。
「よし、今日は先生も一緒に磨くから一人でやってみよう」
「うん、がんばるっ!」
急いで寝室に戻り、鞄から歯ブラシを取り出して直人の元に戻る。
「こうやってやるんだぞ」
見本を見せてやると、真剣な目付きでそれを見ていた直人が、恐る恐る歯ブラシを口に入れた。
これでいい?と問うように首を傾げるので、いいぞと告げるように頷く。
直人の様子を見ながら手早く磨いて口を濯ぎ、床に正座して直人に膝に頭を乗せるように言う。
いつも母親にやってもらっているので躊躇うことなく頭を乗せてきた直人に、鼓動が早くなってしまう。
これは虫歯を作らない為の大切な医療行為なんだ、と騒ぐ心臓に言い聞かせ、直人の口内を覗く。
口内には、綺麗な白い歯が並んでいる。
夫人が丁寧に磨いていたという証拠だ。
母親として惜しみない愛を注いでいるという証を見せつけられ、胸の奥底に追いやった傷がズキリと痛んだ。
「よし、上手に磨けてる、合格だ。最後に先生がナオくんがやつけたバイ菌を追い出してやるな」
初めての歯磨きは大丈夫だったのかと不安そうに俺を見上げている直人に微笑みかけ、仕上げ磨きをしていく。
「よし、綺麗になったぞ。さぁ口を濯ごう」
起き上がった直人が口を濯ぐのを見守り、今日はどこまで自分でやらせるべきか考える。
歯磨きをやらせたし、服を脱ぐ練習だけにしておこうか。
「歯磨きも自分で出来たし、今日は服を脱ぐ練習もしてみような」
「はいっ!」
歯磨きのことを褒められたのが相当嬉しいのか、元気な返事と共にシャツを脱ごうと裾を持ちあげた直人。
現れた、綺麗に筋肉の付いた引き締まった腹に目を奪われて固まってしまったが、ボタンも開けずに無理矢理シャツを脱ごうと足掻いている直人にはっとなり、慌てて手を離すように言う。
「まずはボタンを外さないといけないんだ」
折角脱ごうとしたのに止められて不服そうな直人の白いシャツのボタンを、上から順に外していく。
そっと目線を上げると、俺の手元をじっと見つめている直人の男らしい喉仏が目に入って、慌てて視線を逸らす。
「やってごらん」
残した下の二つのボタンを指差すと、長い指を絡ませてモタモタしながらも外すことが出来た。
「うん、上手だ。シャツは脱げるか?」
「こう?」
体をくねらせながらも、なんとか自分だけの力でシャツを脱いだ直人。
現れた、ギリシャ彫刻のような逞しくて美しい体に、ゴクリと喉が鳴ってしまう。
「先生、ぬげたよっ!」
嬉しそうに破顔する直人を見て、暴れ出しそうだった熱がすぅっと冷えていく。
「あぁ、凄く上手だ。ズボンのボタンも外せるか?」
「できるっ!」
ぎこちない手つきで時間を掛けながらも、自分の力だけでボタンを外した直人は、そのままファスナーを下ろしにかかる。
なかなか下げることが出来ずにガチャガチャやっていたので、そろそろ声を掛けるべく口を開こうとすると、シャーと勢いよく下がった。
「ぬぐのもやれるよ」
ちゃんと見てて、と言うように俺の目を見つめ、下着と一緒にズボンを下げた直人。
下までは上手く下ろせたが、足首に絡まってなかなか取れず、地団駄を踏むように脱ごうとしている。
俺を惑わす直人の立派な男の象徴が、その動きに合わせてユラユラと揺れている。
ソレから目を逸らして踞り、足首に絡まったズボンを持ってやる。
「先生が押さえてるから、こっちの足から抜いてみな」
右足をツンツンと指すと、スルッと足は抜け、同じように左足も抜けた。
「先生、できたっ!」
「うん、上出来だ。明日からも頑張って練習しような」
色気が漂う男らしい体を見ないように、無垢な天使の笑顔を見つめて褒める。
脱いだ服を洗濯カゴに入れ、視線を上の方に保ちながら直人を引き連れて浴室に入っていく。
「お風呂を入れてくるから、本を見て待っててくれな」
「はいっ!」
へッドボードに何冊か本が置いてあったのでそう告げると、直人はベッドに腰掛けて絵本を読み始めた。
浴室には部屋から直接行けるような作りになっていたので、脱衣所でタオルやドライヤーの位置などを確認し、見付けた掃除道具を持って浴室に入る。
一階の浴室よりも広めのそこは、デカい男が二人で入っても狭さは感じなさそうだ。
百九十センチ近い直人でも足を伸ばして悠々と浸かれるだろう広さの浴槽を洗い、湯を溜めていく。
一旦部屋に戻り、夢中で絵本を読んでいる直人に微笑みつつ、直人の服が入っていると聞いた一番右のクローゼットを開けて、何が入っているのかざっと確認した後パジャマを取り出す。
肌触りのよい光沢のある黒色の生地で出来たパジャマを手に取り、そろそろ湯が溜まっているだろう浴室に戻ろうとするが、下着を取り出すのを忘れていたことに気付いて探す。
綺麗に折り畳まれて並んでいる黒いボクサーパンツを、変な妄想を始めてしまわないうちに素早く掴み、浴室に戻る。
丁度いいくらいに溜まった湯を止めて白い入浴剤を入れ、ロンTを肘の辺りまで捲り上げる。
さっきシャワーを浴びた時に寝間着用の服に着替えたので、下は膝丈のジャージだから濡れはしないだろう。
「ナオくん、風呂の準備が出来たからこっちに来な」
「はいっ!」
寝室に続く扉を開けて直人と呼ぶと、すぐに絵本から顔を上げて近付いてきた。
「じゃあ、服を脱ぐ練習をしてみようか」
「はみがきは?」
「え……あぁ、そうだな。いつもはどうしてるんだ?」
「お母さまのおひざに寝て、やってもらうの」
幼児式の歯磨きをしているのか、と洗面台に置かれた直人のものだろう青い歯ブラシを見る。
虫歯になったら困るので仕上げ磨きは必要だろうが、出来るところまでやらせるべきだな。
「よし、今日は先生も一緒に磨くから一人でやってみよう」
「うん、がんばるっ!」
急いで寝室に戻り、鞄から歯ブラシを取り出して直人の元に戻る。
「こうやってやるんだぞ」
見本を見せてやると、真剣な目付きでそれを見ていた直人が、恐る恐る歯ブラシを口に入れた。
これでいい?と問うように首を傾げるので、いいぞと告げるように頷く。
直人の様子を見ながら手早く磨いて口を濯ぎ、床に正座して直人に膝に頭を乗せるように言う。
いつも母親にやってもらっているので躊躇うことなく頭を乗せてきた直人に、鼓動が早くなってしまう。
これは虫歯を作らない為の大切な医療行為なんだ、と騒ぐ心臓に言い聞かせ、直人の口内を覗く。
口内には、綺麗な白い歯が並んでいる。
夫人が丁寧に磨いていたという証拠だ。
母親として惜しみない愛を注いでいるという証を見せつけられ、胸の奥底に追いやった傷がズキリと痛んだ。
「よし、上手に磨けてる、合格だ。最後に先生がナオくんがやつけたバイ菌を追い出してやるな」
初めての歯磨きは大丈夫だったのかと不安そうに俺を見上げている直人に微笑みかけ、仕上げ磨きをしていく。
「よし、綺麗になったぞ。さぁ口を濯ごう」
起き上がった直人が口を濯ぐのを見守り、今日はどこまで自分でやらせるべきか考える。
歯磨きをやらせたし、服を脱ぐ練習だけにしておこうか。
「歯磨きも自分で出来たし、今日は服を脱ぐ練習もしてみような」
「はいっ!」
歯磨きのことを褒められたのが相当嬉しいのか、元気な返事と共にシャツを脱ごうと裾を持ちあげた直人。
現れた、綺麗に筋肉の付いた引き締まった腹に目を奪われて固まってしまったが、ボタンも開けずに無理矢理シャツを脱ごうと足掻いている直人にはっとなり、慌てて手を離すように言う。
「まずはボタンを外さないといけないんだ」
折角脱ごうとしたのに止められて不服そうな直人の白いシャツのボタンを、上から順に外していく。
そっと目線を上げると、俺の手元をじっと見つめている直人の男らしい喉仏が目に入って、慌てて視線を逸らす。
「やってごらん」
残した下の二つのボタンを指差すと、長い指を絡ませてモタモタしながらも外すことが出来た。
「うん、上手だ。シャツは脱げるか?」
「こう?」
体をくねらせながらも、なんとか自分だけの力でシャツを脱いだ直人。
現れた、ギリシャ彫刻のような逞しくて美しい体に、ゴクリと喉が鳴ってしまう。
「先生、ぬげたよっ!」
嬉しそうに破顔する直人を見て、暴れ出しそうだった熱がすぅっと冷えていく。
「あぁ、凄く上手だ。ズボンのボタンも外せるか?」
「できるっ!」
ぎこちない手つきで時間を掛けながらも、自分の力だけでボタンを外した直人は、そのままファスナーを下ろしにかかる。
なかなか下げることが出来ずにガチャガチャやっていたので、そろそろ声を掛けるべく口を開こうとすると、シャーと勢いよく下がった。
「ぬぐのもやれるよ」
ちゃんと見てて、と言うように俺の目を見つめ、下着と一緒にズボンを下げた直人。
下までは上手く下ろせたが、足首に絡まってなかなか取れず、地団駄を踏むように脱ごうとしている。
俺を惑わす直人の立派な男の象徴が、その動きに合わせてユラユラと揺れている。
ソレから目を逸らして踞り、足首に絡まったズボンを持ってやる。
「先生が押さえてるから、こっちの足から抜いてみな」
右足をツンツンと指すと、スルッと足は抜け、同じように左足も抜けた。
「先生、できたっ!」
「うん、上出来だ。明日からも頑張って練習しような」
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脱いだ服を洗濯カゴに入れ、視線を上の方に保ちながら直人を引き連れて浴室に入っていく。
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