愛と涙とか弱い少女

涼奈 美夢

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ルナのはじまり

出発は突然に

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 ある夏の朝。
 私、斎藤さいとうルナは、家でテレビを見ながらくつろいでいた。

 キャミソールと超短いショートパンツ姿。いかにも夏の部屋着といった感じだ。

 もうすぐ、お父さんが出張から帰ってくる。
 久しぶりに会えるの、楽しみだなぁ。

 映画館とかで、デートしたいなぁ。

 でも最近、町内では変な事件が起こっているらしい。なんでも、人が急にいなくなるような無差別誘拐のような事件だ。

 お母さんから、「あんたは女の子の中でも、特にひ弱な子なんだから気をつけなさい」とよく言われる。

 実際、私は小さくてか弱い16歳の女の子。
 身長155センチ。体重39キロ。握力は8キロもない。
 ウエストは細い。でも、バストサイズはCカップある。顔も童顔だから、男子受けはいい方だと思う。

 そんなとき、家のインターホンが鳴った。
 お母さんな料理中なので、代りに私が出た。

「はーい。すみませーん」

 私は玄関の戸を開けた。家の前には、白いプリウスが停まっていて、その隣には背の高い男の人が立っていた。

 2つ年上の大西翼おおにしつばさ先輩だ。
 近所に住んでいて、昔から、よく可愛がってくれている。

「ルナ。突然だが、一緒に来てくれ。君の同級生の読子よみこが行方不明になった

「読子ちゃんが?」

 読子ちゃんは私のクラスメイトで、翼先輩の彼女だ。もしかして、あの誘拐事件に巻き込まれたのかな。

「すぐに来てくれ。一刻を争うんだ。今すぐ車に乗って」

「ご、ごめんなさい。今は、私、こんな下着みたいな格好してるし、服を着させてください」

 私の服装は、キャミソールと超短いショートパンツ。細い肩と細い太ももが露出していて、胸元とおヘソも少し見えている。かなりセクシーな格好だ。

「1秒を争うんだ。来い」

 翼先輩は手を伸ばし、私の細い肩を掴んだ。

「い、いたぁい……」

 私は弱々しく泣いた。

「わかったよ。ルナ、今すぐ気を失え」

 翼先輩は軽く拳を握り、私のお腹へと突き出した。
 先輩はにやりと笑い、私の丸見えのおヘソを殴りつけた。

「きゃ、きゃぁぁん……」

 私は弱々しく泣き、気を失った。
 私は弱い女の子だから、痛みに弱い。

 私は気を失って、前のめりに倒れる。
 翼先輩は私の体を受け止め、ほぼ下着姿の私を軽々とお姫様抱っこした。

 お腹を殴られて、気を失う。
 映画のヒロインが気を失うときのパターンだ。
 私も、同じ目にあってしまった。

 ほとんど下着姿の私は、苦しそうな顔のまま気を失っていた。
 翼先輩は私の体を後部座席に詰め込むと、勢いやく車を出した。

 これから何が始まるのか、気を失っている私には何もわからなかった。

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