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心配だわ
フィーナは急いで両親に手紙を送った。
子供思いの2人は早速手紙を見て、大激怒……ではなく脱力したらしい。
返事には『早めに帰ってきなさい』の文字。
――そうするつもりよ、お父様、お母様。
フィーナは急いで荷造りをする。そして屋敷の使用人達にあって挨拶をして回った。
突然のことで、使用人達は驚き、悲しんでくれた。ほんと数ヶ月だったが、良くしてくてありがとう。そう言うとさらに泣かれた。
――ああ、この屋敷の人はいい人ばっかりね。
フィーナは涙を堪えながら、別れを言った。
ビルドより、屋敷から離れることの方が寂しかったのだ。
けれどもう長くいたくないのも事実。
「次に来る奥様によろしくね」
そういうと、彼らは鬼のような顔をした。
「まさか、旦那様の浮気ですか!」
「え、いや、えーっと」
「そうなんですね。坊ちゃんはもう!」
「ま、まぁそう怒らないでちょうだいな。その……多分何をいっても響かないので」
呆れ果て、そして怒りをみせる使用人達に苦笑いを返し、フィーナはため息を吐き出した。
――本当に、この家出て行って大丈夫かしら。
かなり不安になってきたフィーナだった。
フィーナはその後、リンツハルト伯爵家の馬車で実家に帰ることにした。
御者のジョセフは涙ぐむ。
「俺に優しくしてくれた奥様がいなくなるなんて、悲しすぎます」
「うん。ごめんね……お給金も改善させてあげるって言ったのに」
「へぇ、それはもう」
ジョセフに与えられている給金が一般的な水準より低いことを知ったのは、結婚してすぐだった。
それにともなって、使用人達の給金も確認しようとしていたのだが、それもうまくいかなくなってしまった。
「そうだわ、もしよかったらウチのオーレン家で働く? って突然困るわよね」
あはは。とわらってごまかす。
長年このリンツハルト伯爵に仕えてきた彼がすぐさま主人を変えられるわけがない。
と思ったのだが。
「いいんですか!?」
と予想外に気色を見せられた。
「え、ええ。口利きすれば大丈夫だと思うわ。御者の1人が近々年齢の問題で退職する予定だと聞いているから」
「ぜひ! ぜひお願いします」
「わ、わかったわ。でもちゃんとビルドには話すのよ」
「はい!」
ジョセフはどうにもウキウキした様子で馬車を御してくれた。
「勝手に使用人を取るような真似してしまって大丈夫かしら」
馬車の中で、フィーナは独りごちた。
まぁ、大丈夫だろう。ビルドはジョセフの名前も知らなかったし。
――こう言うこと考えると、ビルドって結構困った伯爵だったわね。
そうなってくると尚のこと使用人が心配だった。
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