24 / 26
2章
24 今、顔見ないで!
「こ、公爵って、公爵!?」
「はい。公爵です」
淡々と答えるミゲルさん。の頬がすこし赤い。視線はフレデリカの元へむいていて、その視線を追ってフレデリカを見れば、フレデリカも頬を染めている。
「つまり、2人が婚約?」
思わず指をさすあたしに、フレデリカが楽しそうに笑う。
「そうよ」
「そうです」
「あ、そう…………」
って、あたしの勘違いかい!!!!!!
は、恥ずかしい!
あたしはついに真っ赤になってしまった。顔が熱いのがわかる。自覚あるくらい赤い。絶対。恥ずかしい。だって、フレデリカとアルクスが婚約するんだとばかり思って、殿下とお幸せに的なことを言ってしまった。しかも関係者全員の前で。
あれ、でも。
「アルの婚約は?」
「それについては、弁解させてほしい」
思ったより近距離にいたらしい。真後ろからの声に驚いて肩が跳ねる。
「まず、婚約の話は確かにあった。でもお断りしたよ。と言うのも、今回2人の婚約がきまったことで、王家派閥は今盤石と言えるところに来ている。今は、それで十分と言うのが、王の意見だ。これ以上の地盤固めはいらない」
「はぁ」
曖昧にしか返事ができない。というかいまだに振り返れない。
ちょっとフレデリカ、ニヤニヤしないで。
「加えて、イーサン・ジェイコブ……フレデリカの元の婚約者だが、彼はもともと貴族派で、王家派と対立していた。フレデリカとの婚約は繋ぎの意味もあったのだが、あちらが騒動を起こしたことで、勢力を失っている。彼らと繋ぎを得るメリットは……そうだな、財力くらいなものだが、そちらはまぁ、こないだの件を母上がお怒りでな……」
「え、王后さま?」
「うん。それで、イーサンにも、公爵にもすこし痛い目を見てもらおうと思って。そういう諸々の事情から婚約しないことになったんだ」
「痛い目?」
「…………私の婚約相手、イーサンの妹だったんだよ」
「は!?」
あたしは思わず振り返ってアルクスを見た。
と思ったら、すごい優しい顔をしてあたしを見ていて……。
「まった! ちょっとまった! 今あたしの顔みちゃだめ!」
「え!? なんで!?」
ばっと音がしそうな勢いであたしはしゃがみ込む。膝の間に顔を埋めて、あたしはうーっと唸った。だって、今絶対すごい顔してるっ。すごい赤い顔してます!
ああ、もうっ。じゃあ、あたし1人で突っ走って、1人で悶々として、1人で勘違いして、逃走劇を繰り広げたわけだ。
さっとそばにフレデリカがしゃがみ込む気配がして。
「よかったね」
なんてこっそり言ってくるものだから、さらにあたしは赤くなってしまった。
「それで、レナ」
後ろからアルクスがあたしの肩に手を置いて話しかけてくる。
「本気にしてくれたんだって?」
「はひ?」
「いやぁ、俺の一世一代の告白から数日、よく逃げてくれたよなぁ。こっちはヤキモキしたよ。だって、まさかこんなに避けられるとは思わないだろう?」
「あら、殿下とうとう告白に成功されたんですか? 聞いてませんわ。レナ」
「言ってなかったのか。まったくこういうところは口が硬くて、そんなところもかわいいよ」
「やーめーてー」
これ以上あたしを照れさせないで!
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜
まりー
恋愛
ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。
でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
成功条件は、まさかの婚約破棄!?
たぬきち25番
恋愛
「アリエッタ、あなたとの婚約を破棄する……」
王太子のアルベルト殿下は、そう告げた。
王妃教育に懸命に取り組んでいたアリエッタだったが、
それを聞いた彼女は……?
※他サイト様にも公開始めました!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!
白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、
この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。
自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。
ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、
それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___
「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、
トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘!
そんな彼女を見つめるのは…?
異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆