[完結]元不良の転生令嬢、友達が婚約破棄されたので相手を殴ったら王子に溺愛されました

h.h

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2章

27 あたしの幸せ[完]


「それでね、ミゲル様ったら、私が好きだと言ったら白い薔薇をたくさん送ってくださったの」
「へぇ、よかったねぇ」
「それに、外国の美味しいお茶も取り寄せてくださったの。今度ピクニックにいくお約束もしたのよ。ねぇどんなドレスがいいかしら。聞いてる? レナ?」
「聞いてる聞いてる」
「嘘、聞いてないわ」
「うん。聞いてなかった」
「もう、いいわ。それじゃあ、レナのお話を聞かせて? 殿下とはどう?」

 あたしはにこりと笑顔をフレデリカにむけた。
 ここは伯爵邸に用意された新しいレナの部屋。そのバルコニーである。そこに椅子と机を置いて、フレデリカとお茶をするのが、午前の日課だった。
 そうしてほとんどミゲルさんとの惚気を聞かされ、最後にはあたしの話になる。
 そのころになると、あたしは逃げるようにここを去るのだ。
 惚気をしたくない。だって恥ずかしいしい。ってのもあるし。あともう一つ理由がある。
 あたしはすっくと立ち上がった。

「どうかしたの?」
「その手の話は無しでいこう」
「ええー! そういっていつも何も教えてくれないじゃない。私レナと恋のお話してみたいわ」

 うふふ。という嬉しそうな顔でそんなことを言われても。本当に恋する乙女は厄介だ。じゃなくて。

「それじゃあ、フレデリカ、あたしそろそろいかないと」
「あら、お稽古の時間? 残念だわ」
「いや、うん、そうじゃなくてね」

 苦笑いしかでてこない。いや、とにかく今は伯爵邸にいる場合ではないのだ。急いで帰らないといけない。なぜなら。

「レナー! 迎えにきたよー!」

 きちゃった。
 庭からの大きな声にあたしは脱力した。
 そうなのです。あれから、こんこんと、いかにあたしのことが好きなのかについて語り尽くした。と思われたアルクスはそれからも会うたび、いや、毎日会ってるのだけど、会うたびに「かわいい」「すき」「愛してる」と連呼するのだ。
 それがもう、もう! 赤面ものの何者でもない!!!
 あたしが慣れてないからやめてっていっても聞きやしない。
 城での稽古があれば呼びにくるし。
 そしていつも楽しそうだし。

「私、絶対こうなると思ってたわ。殿下って恋をしらないって感じだったもの」
「へぇ」「おーいレナー?」
「わかったから、待ってなさい!!」

 見下ろせば、嬉しそうに笑うアルクスの姿があった。
 くそう。可愛く見えてきた。

「待たせてはかわいそうね。殿下が。いってらっしゃい」
「はぁい」

 脱力しながらあたしはフレデリカに手を振った。フレデリカも手をふりかえしてくれる。ああ。癒しだ。
 そうこうしてると、またあたしを呼ぶ声がした。

「ああ、もう。今行きますよーっと」

 今、あたしは結構幸せだ。







 伯爵家の屋敷の2階。そのバルコニーから、美しい少女が自らの屋敷の庭を見下ろしていた。
 そこには、学園で誰とも親しくなれずに困っていた少女に、最初に声をかけてくれた人がいる。
 やさしくて、あたたかくて、太陽みたいなその人は、少女の親友だった。
 彼女はとても優しい人だった。言動は粗雑な面が目立ったが、内面はとてもやわらかく、そしてとてもかわいらしい。そして彼女は、少女が悲しい時、苦しい時、一番に駆けつけて、少女の代わりになんでも吹き飛ばしてしまう。
 だからいつか、いつか彼女のためにできることを全力でして、恩をかえしたいと思ってきた。

「それが叶って、すこし寂しい気もするけど……」

 ただ、少女の視線の先で、1人の男性が親友に声をかけた。
 はにかむ青年に、彼女は顔を赤くして何かを叫んでいる。青年はうれしそうに、そんな彼女に日傘を差し出して、腰に手を回した。
 彼女は照れて、腰に回った手を離そうと必死になりながら、それでも幸せそうに笑っていた。

「ああ、本当によかったわ」

 少女、フレデリカは満面の笑みを浮かべて、仲良く歩いていく親友と幼馴染を見送った。
 









♤♤♤♤♤♤♤♤♤

これにて完結です
感想などあれば是非!
ありがとうございました。

感想 1

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みんなの感想(1件)

たま
2023.01.07 たま

フレデリカの家に使えているメイド達の間で流れてた噂のことについてなんですが、主人の娘を庇った相手に対して酷くないですか?
そら大変な時に迷惑をかけたのはあるかもしれませんが、これはない。
それと、それに対応しないフレデリカにもなんだかなぁと思いました。それぐらい一言言えば治るでしょうし。

解除

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