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「雲で行けばもっと早く旅館についてセックスができたろう」
……何を言い出すのかと思えば予想外の言葉に、絶句する。が、ヴィフレアは言葉を続ける。
「だが、もう『レンタカー』を借りてしまっているからな、だから仕方ない。風芽、車を出せ」
「その…、…股間のはいいの?」
「良くはない。本当は今すぐここで風芽の着ている物を乱して剥ぎ……」
ヴィフレアの瞳に情欲の色が現れる。
「……運転ができなくなるぐらいめちゃくちゃにしてやりたい」
「っ!」ぎゅううぅぅぅ、と心臓が締め付けられた。
瞬時に穏やかな表情になったヴィフレアが続けて、
「だが、風芽は言っていただろう? 『レンタカーは汚さないように乗るんだよ』と。私に日本の景色を見せようと用意してくれた車を汚して迷惑をかけるなんてできない。私はレンタカーが汚れたところで困らないが。きっと風芽が困るだろう? 私の為に計画してくれた旅行で風芽を困らせたくない」
僕の為にここでは抱くのを我慢してくれている、と聞いて、嬉しいような…、…今すぐ求められなくて寂しいような、複雑な気分だ。
「だが、しばらく営みをしていなかったからな。どうもこう……狭い空間で二人きり、風芽を見ていると勃起するようだ。……今のキスで風芽も勃っているようだな? 悩ましいところだがせっかくなら『旅館』で愛し合おうか、風芽」
……ヴィフレアには申し訳ないけど、すごく、ムラムラしてきた。こんなになりながらも、僕の為に葛藤する姿に。
スラックスのテントの張り具合からしてヴィフレアの方がつらいはず。僕も大人だ。ここは呼吸を集中させて、いったん落ち着こう。要は、旅館に着くまでの間、『気を紛らわせて勃起をしずめる』ということである。男性なら経験あるムラムラしていない所での不用意な勃起(今はムラムラしているけど!)を治める方法を今ここで駆使する。
「う、うん。僕も我慢するよ」
「日本に来てから散々お預けをくらっているんだ、着くまでにはお互いしずめられよう。フッ。旅館で楽しめることが増えたな」
……そうだそうだ。仕事を片付けてゆっくりできる時間ができたんだ。こんな窮屈な所でするよりかは旅館で時間をかけてゆっくりヤリ……、と考えたところでぶるっと首を振る。
……僕は…ヴィフレアの為に温泉旅行に行くというのに、やらしいことばかり考えている。
「ゴメン…っ、ヴィフレア」
「?」
僕の突然の謝罪にきょとんとした顔を見せたヴィフレアは、カチャンとシートベルトをはめたところだ。
「何のことだろうか?」
言いつつヴィフレアは色付き眼鏡をかけた。
……く、ナチュラルイケメンめ! いちいちしぐさが格好良い。
「ううん、何でもない。急ごう」
高揚する心臓を抑えるように、シートベルトを締め車を出した。
……何を言い出すのかと思えば予想外の言葉に、絶句する。が、ヴィフレアは言葉を続ける。
「だが、もう『レンタカー』を借りてしまっているからな、だから仕方ない。風芽、車を出せ」
「その…、…股間のはいいの?」
「良くはない。本当は今すぐここで風芽の着ている物を乱して剥ぎ……」
ヴィフレアの瞳に情欲の色が現れる。
「……運転ができなくなるぐらいめちゃくちゃにしてやりたい」
「っ!」ぎゅううぅぅぅ、と心臓が締め付けられた。
瞬時に穏やかな表情になったヴィフレアが続けて、
「だが、風芽は言っていただろう? 『レンタカーは汚さないように乗るんだよ』と。私に日本の景色を見せようと用意してくれた車を汚して迷惑をかけるなんてできない。私はレンタカーが汚れたところで困らないが。きっと風芽が困るだろう? 私の為に計画してくれた旅行で風芽を困らせたくない」
僕の為にここでは抱くのを我慢してくれている、と聞いて、嬉しいような…、…今すぐ求められなくて寂しいような、複雑な気分だ。
「だが、しばらく営みをしていなかったからな。どうもこう……狭い空間で二人きり、風芽を見ていると勃起するようだ。……今のキスで風芽も勃っているようだな? 悩ましいところだがせっかくなら『旅館』で愛し合おうか、風芽」
……ヴィフレアには申し訳ないけど、すごく、ムラムラしてきた。こんなになりながらも、僕の為に葛藤する姿に。
スラックスのテントの張り具合からしてヴィフレアの方がつらいはず。僕も大人だ。ここは呼吸を集中させて、いったん落ち着こう。要は、旅館に着くまでの間、『気を紛らわせて勃起をしずめる』ということである。男性なら経験あるムラムラしていない所での不用意な勃起(今はムラムラしているけど!)を治める方法を今ここで駆使する。
「う、うん。僕も我慢するよ」
「日本に来てから散々お預けをくらっているんだ、着くまでにはお互いしずめられよう。フッ。旅館で楽しめることが増えたな」
……そうだそうだ。仕事を片付けてゆっくりできる時間ができたんだ。こんな窮屈な所でするよりかは旅館で時間をかけてゆっくりヤリ……、と考えたところでぶるっと首を振る。
……僕は…ヴィフレアの為に温泉旅行に行くというのに、やらしいことばかり考えている。
「ゴメン…っ、ヴィフレア」
「?」
僕の突然の謝罪にきょとんとした顔を見せたヴィフレアは、カチャンとシートベルトをはめたところだ。
「何のことだろうか?」
言いつつヴィフレアは色付き眼鏡をかけた。
……く、ナチュラルイケメンめ! いちいちしぐさが格好良い。
「ううん、何でもない。急ごう」
高揚する心臓を抑えるように、シートベルトを締め車を出した。
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