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第四章 彼が半透明になる前は【テオドール視点】
47.苦渋の決断
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テオドールがララと出会ったのは、三年と少し前のことである。
◇
初めて入った開発局の局長室で、テオドールは口を開いた。
「――しつこいようですが、男性の開発局員に担当していただくことはできないのですか?」
今ので五回目だ。テオドールは同じ質問を五回も繰り返している。それも真顔で。相当鬱陶しいはずだが、開発局の局長、ヘンリー・モルガンは困ったような笑みを浮かべるだけだった。
「こればっかりはねぇ。他に適任者がいないから」
「絶対無理ですか」
「無理だねぇ」
最悪だ。テオドールは表情を歪ませる。
「耐えるしか、……ないか」
開発局の力を借りるには、自分が折れるしかないだろう。つまり、女性の開発局員に捜査局の担当をしてもらうということだ。本当は嫌だが。もの凄く嫌だが。
(俺は文句を言える立場じゃないしな)
今年新設されたばかりの捜査局は、まだ力が足りない。実績が足りない。ついでに愚痴ると、経費が足りない。
局長であるテオドールが十九歳。見た目だけの若造集団だと言われ、騎士団や他の局と比べて冷遇されている。いつか後悔させてやるつもりだ。
そんな扱いの中、テオドールの相談相手になってくれたのがヘンリーだった。元から親しかったわけでもないのに、なぜか助けようとしてくれる。理由を聞いても、彼は「周りが敵だらけの子を知ってるからかなぁ」としか答えなかった。
「グラント卿が女性を避けたいのは分かってるんだけど……。苦労してるんだろう? 色々と」
「少し、まあまあ、だいぶ、……非常に」
「美青年っていうのも困りものだねぇ」
その言葉が他人を褒めるものだとしても、テオドールは喜べなかった。「老いれば等しく骨になるっていうのに」とぶつくさ言いながら眉間を揉む。
(顔も家柄も、俺の力ではない)
公爵家の長男であることに誇りはある。恵まれた体格や環境で生きてこられたことにも感謝している。
だが与えられた記号が多かったがゆえに、それ目当てに近寄ってくる人間を嫌というほど見てきた。テオドールにとって最も厄介なのが、結婚適齢期の女性である。
仕事で夜会に参加すれば、こちらの事情などお構いなしに付け回される。これはまだ良い方だ。
後日会う理由を作るために、衣服の一部を引きちぎられたこともある。女性でなければ殴っている。
痺れ薬や媚薬など、安全性が確かめられないものを盛られそうになったこともある。好意を持っているならば、せめて体に優しいものを盛ってくれ、と何度願ったか分からない。
(依頼があると言って捜査局に来た令嬢が求婚を始めた時は、さすがに牢にぶち込んでやろうかと思ったが……ヒューゴを犠牲にしたから、あいつの方が災難か)
これまでの経験を踏まえて一言で言ってしまえば、もうこりごりなのだ。極力女性と関わりたくない。だが任務遂行のためには、関わらねばならない。
「……捜査局の担当になる局員は、どのような方なのですか」
渋い表情で聞くと、ヘンリーが「心配しなくても大丈夫」と笑った。
「あの子は令嬢だけど婚約者がいるし、グラント卿に求婚するような子じゃないから」
「令嬢がこちらで働いていることが意外なのですが」
「まあ訳ありだから」
「どこの家ですか?」
「オルティス伯爵家」
「……働く必要、ないじゃないですか」
造船技術で右に出る者はいないと言われるオルティス伯爵家。伯爵と夫人が自ら設計に携わっている船は、他国からも注文が入るほど人気だ。
「令嬢が働かなくても、金銭面では余裕がある家でしょう」
「あの子はお金ではなく、自分が生きる理由を求めて働いてるんだよ。……噂、聞いたことないかい?」
「……あー……」
(呪われた令嬢、のことか)
ミトス王国の貴族でララ・オルティスの噂を知らない者はいない。死んだ人間が見えるらしく、七、八年前に一度騒ぎになった。彼女はほとんど社交の場に現れないそうだが、今でも噂は残っている。――呪われた令嬢。わがままな親不孝者。不吉な痣。目が合うと呪われる。
「どう思う?」
ヘンリーは噂について言っているようだ。
「噂の真偽は知りません。お会いしたこともありませんし。……ただ、オルティス伯爵令嬢の呪いで死んだという事件を取り扱った経験もありませんので、少なくとも犯罪者ではないと思っています」
痣に関しては、会ってみなくては分からない。令嬢に生まれつき痣があったのなら、それをとやかく言う周りの神経を疑う。
「わがままな親不孝者というのは、モルガン局長の態度から考えると嘘のようですね」
噂通りの人間ならば、彼が気にかけるはずがない。そもそも呪いとわがままが並んで噂になっている時点で嘘くさい。
「……そっか。……そう思うかぁ」
小さく息を吐いたヘンリーが、嬉しそうに微笑んだ。おそらく大切な部下なのだろう。令嬢を傷つけないためにも、程よい距離感を保つ必要がありそうだ。
テオドールは足元の箱から木剣を取ると、素振りをするように構えた。捜査局から回収してきたもので、使い古されていて状態が悪い。
「噂は気にしません。私に必要以上近付こうとせず、まともな物を作れる人なら」
捜査局の役に立つ人材なら、呪われていても霊が見えても、痣があっても構わない。
そう思っていると、局長室の扉がノックされた。ヘンリーが穏やかに返事をする。
「誰だい?」
「ララです。結界魔道具の試験が終了しましたので、結果をお伝えしに参りました」
噂をすれば本人が来たようだ。想像より柔らかい声に、一瞬戸惑う。
ちらりとこちらを見たヘンリーに、テオドールは平静を装って頷き返した。呪いでも痣でも、なんでも来い。
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初めて入った開発局の局長室で、テオドールは口を開いた。
「――しつこいようですが、男性の開発局員に担当していただくことはできないのですか?」
今ので五回目だ。テオドールは同じ質問を五回も繰り返している。それも真顔で。相当鬱陶しいはずだが、開発局の局長、ヘンリー・モルガンは困ったような笑みを浮かべるだけだった。
「こればっかりはねぇ。他に適任者がいないから」
「絶対無理ですか」
「無理だねぇ」
最悪だ。テオドールは表情を歪ませる。
「耐えるしか、……ないか」
開発局の力を借りるには、自分が折れるしかないだろう。つまり、女性の開発局員に捜査局の担当をしてもらうということだ。本当は嫌だが。もの凄く嫌だが。
(俺は文句を言える立場じゃないしな)
今年新設されたばかりの捜査局は、まだ力が足りない。実績が足りない。ついでに愚痴ると、経費が足りない。
局長であるテオドールが十九歳。見た目だけの若造集団だと言われ、騎士団や他の局と比べて冷遇されている。いつか後悔させてやるつもりだ。
そんな扱いの中、テオドールの相談相手になってくれたのがヘンリーだった。元から親しかったわけでもないのに、なぜか助けようとしてくれる。理由を聞いても、彼は「周りが敵だらけの子を知ってるからかなぁ」としか答えなかった。
「グラント卿が女性を避けたいのは分かってるんだけど……。苦労してるんだろう? 色々と」
「少し、まあまあ、だいぶ、……非常に」
「美青年っていうのも困りものだねぇ」
その言葉が他人を褒めるものだとしても、テオドールは喜べなかった。「老いれば等しく骨になるっていうのに」とぶつくさ言いながら眉間を揉む。
(顔も家柄も、俺の力ではない)
公爵家の長男であることに誇りはある。恵まれた体格や環境で生きてこられたことにも感謝している。
だが与えられた記号が多かったがゆえに、それ目当てに近寄ってくる人間を嫌というほど見てきた。テオドールにとって最も厄介なのが、結婚適齢期の女性である。
仕事で夜会に参加すれば、こちらの事情などお構いなしに付け回される。これはまだ良い方だ。
後日会う理由を作るために、衣服の一部を引きちぎられたこともある。女性でなければ殴っている。
痺れ薬や媚薬など、安全性が確かめられないものを盛られそうになったこともある。好意を持っているならば、せめて体に優しいものを盛ってくれ、と何度願ったか分からない。
(依頼があると言って捜査局に来た令嬢が求婚を始めた時は、さすがに牢にぶち込んでやろうかと思ったが……ヒューゴを犠牲にしたから、あいつの方が災難か)
これまでの経験を踏まえて一言で言ってしまえば、もうこりごりなのだ。極力女性と関わりたくない。だが任務遂行のためには、関わらねばならない。
「……捜査局の担当になる局員は、どのような方なのですか」
渋い表情で聞くと、ヘンリーが「心配しなくても大丈夫」と笑った。
「あの子は令嬢だけど婚約者がいるし、グラント卿に求婚するような子じゃないから」
「令嬢がこちらで働いていることが意外なのですが」
「まあ訳ありだから」
「どこの家ですか?」
「オルティス伯爵家」
「……働く必要、ないじゃないですか」
造船技術で右に出る者はいないと言われるオルティス伯爵家。伯爵と夫人が自ら設計に携わっている船は、他国からも注文が入るほど人気だ。
「令嬢が働かなくても、金銭面では余裕がある家でしょう」
「あの子はお金ではなく、自分が生きる理由を求めて働いてるんだよ。……噂、聞いたことないかい?」
「……あー……」
(呪われた令嬢、のことか)
ミトス王国の貴族でララ・オルティスの噂を知らない者はいない。死んだ人間が見えるらしく、七、八年前に一度騒ぎになった。彼女はほとんど社交の場に現れないそうだが、今でも噂は残っている。――呪われた令嬢。わがままな親不孝者。不吉な痣。目が合うと呪われる。
「どう思う?」
ヘンリーは噂について言っているようだ。
「噂の真偽は知りません。お会いしたこともありませんし。……ただ、オルティス伯爵令嬢の呪いで死んだという事件を取り扱った経験もありませんので、少なくとも犯罪者ではないと思っています」
痣に関しては、会ってみなくては分からない。令嬢に生まれつき痣があったのなら、それをとやかく言う周りの神経を疑う。
「わがままな親不孝者というのは、モルガン局長の態度から考えると嘘のようですね」
噂通りの人間ならば、彼が気にかけるはずがない。そもそも呪いとわがままが並んで噂になっている時点で嘘くさい。
「……そっか。……そう思うかぁ」
小さく息を吐いたヘンリーが、嬉しそうに微笑んだ。おそらく大切な部下なのだろう。令嬢を傷つけないためにも、程よい距離感を保つ必要がありそうだ。
テオドールは足元の箱から木剣を取ると、素振りをするように構えた。捜査局から回収してきたもので、使い古されていて状態が悪い。
「噂は気にしません。私に必要以上近付こうとせず、まともな物を作れる人なら」
捜査局の役に立つ人材なら、呪われていても霊が見えても、痣があっても構わない。
そう思っていると、局長室の扉がノックされた。ヘンリーが穏やかに返事をする。
「誰だい?」
「ララです。結界魔道具の試験が終了しましたので、結果をお伝えしに参りました」
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