65 / 76
第四章 二人の寄り道が終わるまで
65.告白
しおりを挟む
――朧げに覚えている。
広くて自由な海の上。澄み渡った空の下。
船のデッキに立ち、潮風を浴びていた。
「ララ」
ゆったりとした足取りでテオドールが向かってくる。銀色のイヤーカフが黒髪に映え、嬉しそうだ。
「無事に夜会を乗り切ったから、何か願いを聞いてやる」
目の前まできた彼が、忘れかけていた口約束を引っ張り出したものだから。
ずっと隣にいてください、と、簡単に心の内を吐き出した。
「ああ。分かったよ」
彼が迷いなく頷いたから――
これが夢だと、気付いてしまった。
◇
夜会の三日後。
ララはテオドールと共に、王都で買い出しをしていた。
視界いっぱいに広がる街並みは、絵画のように美しい。建ち並ぶ住宅はデザインに統一感があり、アーチ形を描いた高い窓が印象的だ。
馬車に乗り込み腰掛けると、茶色いスカートの裾が座席に広がった。購入品が入った紙袋を抱え、中身を確かめる。
「ジャスパーの整髪料と、ヒューゴ様に頼まれたスパイスの本と……よし。あとはアルバート様へのお土産を買えば、おつかい完了です」
最近休みを取れていなかったため、買い出し以外の時間は好きに過ごすようにと言われている。何をするべきだろうか。
「次の夜会の準備はしないのか? シアーズ侯爵夫人に誘われたんだろう?」
「うーん、それは……」
昨日捜査局に現れたシアーズ侯爵から、アンジーについての報告を受けた。家族で話し合い、無事に仲直りできたそうだ。
アンジーには生霊だった時の記憶が残っており、度々ララの話をするらしい。そうですか、と頬を緩めたララに侯爵が手渡したのは、シアーズ侯爵夫人からの手紙だった。
依頼の礼も含め、今度は仕事ではなく友人として夜会に招待したいと書かれていた。友人という言葉に心が躍ったのは言うまでもない。しかし、ララは返事を保留にしている。
「行けば良いじゃないか」
「いや、あの、そのー……」
誘ってもらえたことは嬉しいが、正直夜会に行っている場合ではないのだ。
「もしかして夜会って、八月十六日か?」
鋭い。言葉を詰まらせると、テオドールが「やっぱりな」とつぶやいた。
九日後のその日、――テオドールが神の元に帰る。夜会を楽しむような心境ではない。絶対に。
「踊るか」
突然何を言い出すのだろう。
「最後の日、君と夜会で踊りたい」
「え? でもその日は、安眠の間が解けていますので」
「早朝に解けるんだろう? 家族の顔を見に一回家に帰るが、夜は空いてる」
「一緒に……いてくださるのですか?」
「初めからそのつもりだ」
君と過ごすために俺はこの世に残ってるんだからな、と言われ、赤面する。ずるい。
「君が楽しそうに笑ってるところを、最後に一番近くで見たい」
「……ダンスが下手でも、笑わないでくださいよ」
「要相談だな」
当日に向けてドレスやアクセサリーを買いに行くかと聞かれたが、遠慮しておいた。
「欲しいものとかないのか? シアーズ侯爵の依頼を達成したから、『君の願いを叶える』って約束を果たしたいんだが」
「それは……今は思いつかないので、考えておきます。実は両親が、次のドレスは自分たちが買うと張り切っておりまして」
「楽しみを奪うわけにはいかないか。じゃあ午後からはどうする?」
「せっかくなので、どこかに行きたい気持ちはあるのですが」
ふーん、と相槌を打ったテオドール。
「なら、俺に付き合ってくれ――」
テオドールの提案で訪れたのは、ミトス王国の観光名所のひとつ、ツェルソア植物園だった。
怪訝な顔をする受付係からチケットの半券二枚とパンフレットを受け取る。
広大な敷地がエリア分けされており、ハーブ園、バラ園、樹木園、……水辺の植物が観察できる温室なんかもあるようだ。
正門から見えた黄色い花時計は午後一時をさしていた。時間によって別の花が開花し、色が変わるのだろう。
興味津々で花を観察し、植物名ラベルを読み、パンフレットの順路通りに進む。
大方見終わった頃には午後三時を過ぎていた。
「ボート楽しかったですね」
「相当変な目で見られてたけどな、君」
「もう慣れました」
スイレンが浮かぶ池を手漕ぎボートで一周するエリアは新鮮だった。
一人で乗る客は珍しいらしく他の客からじろじろ見られたが、最終的に華麗なオール捌きに拍手を送られた。テオドールは漕ぐのも上手だったのである。おかげでボート上の景色を満喫できた。
最後のエリアに向かうため、テオドールと並んで緩やかな丘を登る。風が香りを運んでくる。弾む心に合わせて、歩くスピードが速くなった。
軽やかな足取りでたどり着いたのは、ツェルソア植物園の目玉エリア、――無限に広がるラベンダー畑だった。
「わぁっ……!」
まさに花園。満開のラベンダーが太陽の光を浴び、美しく輝いている。
植物の紫と緑。空の青。調和のとれた景色が、自然と笑顔にしてくれる。
感動を共有したくてテオドールを見上げると、彼はすでにこちらを見ていた。
「君が婚約破棄された日、次の休みに外出しようって話してただろ」
「ここに誘おうとしてくださっていたのですか?」
あの時は道具屋に連れて行かれるのだとばかり思っていたが、違ったらしい。
「連れてきてくださって、ありがとうございます」
「……ん」
欲を言えば自分だけでなく、彼も楽しんでくれていると嬉しい。
「テオはラベンダー、好きですか?」
「ああ、好きだよ。君が好きな花だから」
話したことがあっただろうか。
「見てれば分かる」
疑問を口に出していないのに心を読まれた。捜査官の彼にはお見通しだったようだ。ちょっとだけ悔しくなる。
「あなた、そんなに私のことばかり見ていたのですか?」
今も、昔も。
わざと冗談めかして言ったのに、テオドールは照れも不貞腐れもしなかった。かわりにふわりと、目元を緩める。
「なんだ、やっと気付いたのか?」
胸が締め付けられるような、呼吸を忘れてしまうような、そんな笑顔だった。
(……ダメだ)
限界がきていると自覚した時には、すでに口を開いていた。
「私、ラベンダーも好きですが、空と海が大好きなんです」
どうしてか分かりますか? と問えば、テオドールは小さく首を傾げた。こればかりは、鈍感な彼には分からない。
広いからでも、綺麗だからでも、自由だからでもない。
「あなたの色だからです」
震える指先を、もう片方の手で握った。声がかすれないように、唾をのみ込む。
「『お願い』、今使わせてください」
笑みを消したテオドールから、目を逸らさなかった。
「私、――あなたに愛していますと、言いたいです」
広くて自由な海の上。澄み渡った空の下。
船のデッキに立ち、潮風を浴びていた。
「ララ」
ゆったりとした足取りでテオドールが向かってくる。銀色のイヤーカフが黒髪に映え、嬉しそうだ。
「無事に夜会を乗り切ったから、何か願いを聞いてやる」
目の前まできた彼が、忘れかけていた口約束を引っ張り出したものだから。
ずっと隣にいてください、と、簡単に心の内を吐き出した。
「ああ。分かったよ」
彼が迷いなく頷いたから――
これが夢だと、気付いてしまった。
◇
夜会の三日後。
ララはテオドールと共に、王都で買い出しをしていた。
視界いっぱいに広がる街並みは、絵画のように美しい。建ち並ぶ住宅はデザインに統一感があり、アーチ形を描いた高い窓が印象的だ。
馬車に乗り込み腰掛けると、茶色いスカートの裾が座席に広がった。購入品が入った紙袋を抱え、中身を確かめる。
「ジャスパーの整髪料と、ヒューゴ様に頼まれたスパイスの本と……よし。あとはアルバート様へのお土産を買えば、おつかい完了です」
最近休みを取れていなかったため、買い出し以外の時間は好きに過ごすようにと言われている。何をするべきだろうか。
「次の夜会の準備はしないのか? シアーズ侯爵夫人に誘われたんだろう?」
「うーん、それは……」
昨日捜査局に現れたシアーズ侯爵から、アンジーについての報告を受けた。家族で話し合い、無事に仲直りできたそうだ。
アンジーには生霊だった時の記憶が残っており、度々ララの話をするらしい。そうですか、と頬を緩めたララに侯爵が手渡したのは、シアーズ侯爵夫人からの手紙だった。
依頼の礼も含め、今度は仕事ではなく友人として夜会に招待したいと書かれていた。友人という言葉に心が躍ったのは言うまでもない。しかし、ララは返事を保留にしている。
「行けば良いじゃないか」
「いや、あの、そのー……」
誘ってもらえたことは嬉しいが、正直夜会に行っている場合ではないのだ。
「もしかして夜会って、八月十六日か?」
鋭い。言葉を詰まらせると、テオドールが「やっぱりな」とつぶやいた。
九日後のその日、――テオドールが神の元に帰る。夜会を楽しむような心境ではない。絶対に。
「踊るか」
突然何を言い出すのだろう。
「最後の日、君と夜会で踊りたい」
「え? でもその日は、安眠の間が解けていますので」
「早朝に解けるんだろう? 家族の顔を見に一回家に帰るが、夜は空いてる」
「一緒に……いてくださるのですか?」
「初めからそのつもりだ」
君と過ごすために俺はこの世に残ってるんだからな、と言われ、赤面する。ずるい。
「君が楽しそうに笑ってるところを、最後に一番近くで見たい」
「……ダンスが下手でも、笑わないでくださいよ」
「要相談だな」
当日に向けてドレスやアクセサリーを買いに行くかと聞かれたが、遠慮しておいた。
「欲しいものとかないのか? シアーズ侯爵の依頼を達成したから、『君の願いを叶える』って約束を果たしたいんだが」
「それは……今は思いつかないので、考えておきます。実は両親が、次のドレスは自分たちが買うと張り切っておりまして」
「楽しみを奪うわけにはいかないか。じゃあ午後からはどうする?」
「せっかくなので、どこかに行きたい気持ちはあるのですが」
ふーん、と相槌を打ったテオドール。
「なら、俺に付き合ってくれ――」
テオドールの提案で訪れたのは、ミトス王国の観光名所のひとつ、ツェルソア植物園だった。
怪訝な顔をする受付係からチケットの半券二枚とパンフレットを受け取る。
広大な敷地がエリア分けされており、ハーブ園、バラ園、樹木園、……水辺の植物が観察できる温室なんかもあるようだ。
正門から見えた黄色い花時計は午後一時をさしていた。時間によって別の花が開花し、色が変わるのだろう。
興味津々で花を観察し、植物名ラベルを読み、パンフレットの順路通りに進む。
大方見終わった頃には午後三時を過ぎていた。
「ボート楽しかったですね」
「相当変な目で見られてたけどな、君」
「もう慣れました」
スイレンが浮かぶ池を手漕ぎボートで一周するエリアは新鮮だった。
一人で乗る客は珍しいらしく他の客からじろじろ見られたが、最終的に華麗なオール捌きに拍手を送られた。テオドールは漕ぐのも上手だったのである。おかげでボート上の景色を満喫できた。
最後のエリアに向かうため、テオドールと並んで緩やかな丘を登る。風が香りを運んでくる。弾む心に合わせて、歩くスピードが速くなった。
軽やかな足取りでたどり着いたのは、ツェルソア植物園の目玉エリア、――無限に広がるラベンダー畑だった。
「わぁっ……!」
まさに花園。満開のラベンダーが太陽の光を浴び、美しく輝いている。
植物の紫と緑。空の青。調和のとれた景色が、自然と笑顔にしてくれる。
感動を共有したくてテオドールを見上げると、彼はすでにこちらを見ていた。
「君が婚約破棄された日、次の休みに外出しようって話してただろ」
「ここに誘おうとしてくださっていたのですか?」
あの時は道具屋に連れて行かれるのだとばかり思っていたが、違ったらしい。
「連れてきてくださって、ありがとうございます」
「……ん」
欲を言えば自分だけでなく、彼も楽しんでくれていると嬉しい。
「テオはラベンダー、好きですか?」
「ああ、好きだよ。君が好きな花だから」
話したことがあっただろうか。
「見てれば分かる」
疑問を口に出していないのに心を読まれた。捜査官の彼にはお見通しだったようだ。ちょっとだけ悔しくなる。
「あなた、そんなに私のことばかり見ていたのですか?」
今も、昔も。
わざと冗談めかして言ったのに、テオドールは照れも不貞腐れもしなかった。かわりにふわりと、目元を緩める。
「なんだ、やっと気付いたのか?」
胸が締め付けられるような、呼吸を忘れてしまうような、そんな笑顔だった。
(……ダメだ)
限界がきていると自覚した時には、すでに口を開いていた。
「私、ラベンダーも好きですが、空と海が大好きなんです」
どうしてか分かりますか? と問えば、テオドールは小さく首を傾げた。こればかりは、鈍感な彼には分からない。
広いからでも、綺麗だからでも、自由だからでもない。
「あなたの色だからです」
震える指先を、もう片方の手で握った。声がかすれないように、唾をのみ込む。
「『お願い』、今使わせてください」
笑みを消したテオドールから、目を逸らさなかった。
「私、――あなたに愛していますと、言いたいです」
0
あなたにおすすめの小説
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
旦那様は、転生後は王子様でした
編端みどり
恋愛
近所でも有名なおしどり夫婦だった私達は、死ぬ時まで一緒でした。生まれ変わっても一緒になろうなんて言ったけど、今世は貴族ですって。しかも、タチの悪い両親に王子の婚約者になれと言われました。なれなかったら替え玉と交換して捨てるって言われましたわ。
まだ12歳ですから、捨てられると生きていけません。泣く泣くお茶会に行ったら、王子様は元夫でした。
時折チートな行動をして暴走する元夫を嗜めながら、自身もチートな事に気が付かない公爵令嬢のドタバタした日常は、周りを巻き込んで大事になっていき……。
え?! わたくし破滅するの?!
しばらく不定期更新です。時間できたら毎日更新しますのでよろしくお願いします。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜
ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。
イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。
8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。
※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
婚約破棄された公爵令嬢エルカミーノの、神級魔法覚醒と溺愛逆ハーレム生活
ふわふわ
恋愛
公爵令嬢エルカミーノ・ヴァレンティーナは、王太子フィオリーノとの婚約を心から大切にし、完璧な王太子妃候補として日々を過ごしていた。
しかし、学園卒業パーティーの夜、突然の公開婚約破棄。
「転入生の聖女リヴォルタこそが真実の愛だ。お前は冷たい悪役令嬢だ」との言葉とともに、周囲の貴族たちも一斉に彼女を嘲笑う。
傷心と絶望の淵で、エルカミーノは自身の体内に眠っていた「神級の古代魔法」が覚醒するのを悟る。
封印されていた万能の力――治癒、攻撃、予知、魅了耐性すべてが神の領域に達するチート能力が、ついに解放された。
さらに、婚約破棄の余波で明らかになる衝撃の事実。
リヴォルタの「聖女の力」は偽物だった。
エルカミーノの領地は異常な豊作を迎え、王国の経済を支えるまでに。
フィオリーノとリヴォルタは、次々と失脚の淵へ追い込まれていく――。
一方、覚醒したエルカミーノの周りには、運命の攻略対象たちが次々と集結する。
- 幼馴染の冷徹騎士団長キャブオール(ヤンデレ溺愛)
- 金髪強引隣国王子クーガ(ワイルド溺愛)
- 黒髪ミステリアス魔導士グランタ(知性溺愛)
- もふもふ獣人族王子コバルト(忠犬溺愛)
最初は「静かにスローライフを」と願っていたエルカミーノだったが、四人の熱烈な愛と守護に囲まれ、いつしか彼女自身も彼らを深く愛するようになる。
経済的・社会的・魔法的な「ざまぁ」を経て、
エルカミーノは新女王として即位。
異世界ルールで認められた複数婚姻により、四人と結ばれ、
愛に満ちた子宝にも恵まれる。
婚約破棄された悪役令嬢が、最強チート能力と四人の溺愛夫たちを得て、
王国を繁栄させながら永遠の幸せを手に入れる――
爽快ざまぁ&極甘逆ハーレム・ファンタジー、完結!
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる