死霊使いと精霊姫

五月七日 外

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商人の国パッチオ

商人の国パッチオ①

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 黄金の夜明けから数時間後……ましろたちはレンガで舗装された大きな一本道を歩いていた。
「ましろ!もしかしてあれが次の国?」
 せつなはようやく見えてきた街を指差しながらましろに聞いてくる。
「ああ、あれが商人の国パッチオだよ!」
「何だかましろのテンションが高い……」
 せつなが若干引いているがテンションが上がるのも無理はない。パッチオは商人の国なだけあって世界中から様々な商品を集めており中には貴重な古代の生霊術 スピナリーが記されている本やある地域でしか使われていなかった生霊術 スピナリーの使い方を記している本も見つかるかもしれないのだ。
「まあ、パッチオには色んな物が集まるからなぁもしかしたら珍しい団子もあるかも」
「本当!それは急がないと」
 ましろとせつなはそれぞれワクワクしながらパッチオへ向かうのだった。

「へい!そこの兄ちゃん!世にも珍しい青い林檎はどうだい!」
「何言ってんだよ!そこの兄ちゃんは俺のところの商品を見てるんだよ!」
「あそこの馬鹿二人はほっといてそこの彼女にプレゼントなんてどうだい?いい商品入ってるよ!」
 ましろたちはパッチオに入ったはいいが、あっという間に商人たちに囲まれていた。
「あはは、ありがたいですけど結構ですよ」
「わたしも団子がほしい」
 せつなは団子以外はどうでもいいらしく団子屋を探している。
「団子は置いてねえな~すまないね!」
「団子屋なんてパッチオにあったか?」
「一個くらいはあるだろ~?」
 商人たちがせつなの言葉を聞いて何やら良くないことを話し出した。
「ましろ……どういうこと?団子屋無いみたいだけど?」
 (ヤバイ、目がマジだ……何とかしないと……)
「ま、まだパッチオに入ったばかりだし探せばきっとあるよ!」
「……それもそうね」
 少しだけ機嫌がなおったようだ。
「そう言えば、生霊術 スピナリーの本を取り扱ってる店なんてあります?」
生霊術 スピナリーの本?どうしてそんなのいるんだ?」
 ましろが聞くとさっきまでうるさかった商人が少し怖い顔で聞いてきた。
「えっと、こう見えて俺死霊殺しなんで生霊術 スピナリーの研究をしたいなぁと思ってて……」
「なんだ死霊殺しかよ……あっち行きな」
「悪いが、死霊殺しに売る商品はないな」
 ましろが死霊殺しだと知った瞬間に商人たちの態度が冷たいものに変わりシッシッとやっている。
 何故かは、わからないがこの国では死霊殺しのことをあまりよく思っていないらしい。


 
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