死霊使いと精霊姫

五月七日 外

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剣帝

剣帝④

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「俺が突っ込むからせつなは、フォローを頼む!」
「わかった」 

 ましろは、せつなが返事をするのと同時に前へと駆け出す。せつながましろの〈範囲〉の外に出たところでましろは、左手の指を鳴らす。
 すると、ましろの〈範囲〉にいた死霊十数体が動きを止める。ましろは、動きを止めた死霊たちを置き去りにして前に進む。

「せつな!後ろのは任せた!」
「前のは任せたよ」

 せつながそう言ったのを聞くとましろは、右手の指を鳴らした。その瞬間、周りの動きがゆっくりしたものに変わる。
 ただ、それは本当に周りがゆっくりとした動きになったのではなく、ましろの時間が早くなったのでそう見えただけだ。そのまま、ましろは、ゆっくり動いている死霊たちを生成した剣で次々と斬っていく。
 そして、全ての死霊を斬り終えたところで〈時間操作〉を解除する。すると、ましろが斬ったところに大きな亀裂が入り次々と死霊が消滅する。
  後ろを振り返ると、丁度せつなも終わったらしく死霊がいたところには、植物が生えていた。

「あっ、この間のやつか」
「そう。霊体には、効果抜群だから……それよりも……」

 せつなは、壁をペタペタと触っている。せつなが触っている辺りは、先程男の人が壁から出てきたところだ。

「どうなってるんだろうな?」
「わからない。中から人が出てきたから何か仕掛けがあると思ったけど、今は普通の壁みたい」  

 ましろも壁を叩いてみたり耳を当てて中の音を聞いたりしてみるが、せつなの言うとおり普通の壁のようだ。2階の部屋全てを見てもやはり、誰もいなかった。
 もしかしたら、他の人たちは壁の中に吸い込まれたのかもしれないが、それすらもよく分からない。

「とりあえず、3階に行くしかないか……剣帝に会えば何か分かるかもしれないし」

 ましろたちは、壁の中に吸い込まれた人を助けるために剣帝がいるであろう3階に向かった。
 
 階段を上がると、小さな踊り場に出てきた。そこから短い廊下を歩くと、奥に一つだけ扉があった。
 今までと異なり3階には、部屋が一つしかないようだった。

「せつな、開けるぞ。準備はいいか?」
「いつでも大丈夫」

 ましろは、心のなかで数秒数えたあと、手を当て扉を開ける。
 すると、部屋の中では初めに斧で門を切り飛ばした大きな男と全身白装束に身を包んだ金髪の男が交錯したところだった。
 ……もしかして、もう勝負は終わったのか?……
 ましろがそう思った瞬間、大きな男の斧が砕け散った。

「く、やはり俺じゃあ倒せないか……」

 大きな男は、そう言って膝を地面につく。
 勝負は、着いたようだが金髪の男の勝利のようだ。

「ふん、その程度でこの俺様を倒そうなんて百年早えよ!おい、そいつも食っていいぞ」

 金髪の男がそう言うと、信じられないことに壁の中から死霊が現れ、大きな男を壁の中に引きずり込んでいった。

「な!?死霊が言うことを聞いた……のか?」

 ましろは、あまりの光景につい、そう口を溢していた。

「ん?ああコイツか?コイツは、俺の駒だ」

 金髪の男は、ましろに気づくと死霊を指差しながらそんなことを言う。

「あんた、剣帝なんだよな?なら……」
「確かに俺様が剣帝ライオネルだ。だが、今日からは死霊使いライオネルと呼びな!」

 ライオネルは、高らかに笑っている。完全に死霊を支配しているのか死霊は、ライオネルの側で漂っているだけで、ライオネルを襲うようすは無い。

「さて、お前たちも俺様を倒しに来たんだろ?なら、そろそろ始めようぜ。まずは、剣帝として戦ってやるよ」

 ライオネルは、そう言うと細身の剣を腰から抜き出し構えた。

「なあ、さっきのオジサンどうしたんだよ?」
「あ?コイツらを維持するのにも色々と必要でな、その為のエサになってもらった」

 ライオネルは、そう言うと面倒臭そうに周りで漂っている死霊を手で払っている。

「せつな……俺は、元々英雄とまで言われた人物を倒すのは乗り気じゃなかったけど」
「いいよ。たぶん、わたしもましろと同じ気持ちだから……」
 「俺は、剣帝を許せない。だから……」
「わたしも剣帝を許せない。だから……」


「「全力で剣帝をぶっ倒す!!!(ぶっ倒しなさい!!!)」」

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