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生徒会庶務の夏祭り
生徒会庶務の夏祭り③
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「ん~!美味しい」
嬉しそうにりんご飴を食べているのはリンゴちゃん……もとい、リンコ先輩だった。
リンコ先輩は本当に俺にりんご飴を奢ってくれたのだが、自分も欲しくなったようで結局りんご飴をもう一つ買っていた。
「美味しいですけど、これ絶対飽きますよね」
「あ~わかるなぁ。最初は美味しいんだけど、だんだんキツくなるし口の回りがベタベタしてくるしで、全部食べるの苦労するんだよね」
「そう言えば、リンコ先輩って昔大きいりんご飴買っちゃって死にかけてましたもんね」
確か、俺と由依とリンコ先輩がまだ小学生のころ、三人で祭りに来たときそんなことがあった気がする。
「アハハッ!そんなこともあったね~それからだっけ?あーくんが私のことリンゴちゃんって呼び出したのって」
「そう言えばそうでしたね」
「そうそう、他にも由依ちゃんがかき氷の早食い対決で異常に強かったりしたな~」
「アイツ、今でもかき氷めちゃくちゃ早く食いますよ」
「えっ、本当に!?」
俺とリンコ先輩は昔遊んでいたころの話をしながらブラブラ歩いていた。
いくつか屋台をまわったあとのことだった。俺たちが金魚すくいの列に並んでいると、二つ隣の屋台の前で小さな女の子が今にも泣きそうな顔で一人ウロチョロしていた。
「……これは仕方ないか。リンコ先輩ちょっと仕事が出来たんで適当にまわってて下さい!」
「ちょっとあーくん!?」
俺は事前に久遠さんから貰った『警備係り』と書かれた腕章をつけて、出来るだけ愛想よく女の子に話しかけた。
「ま、迷子かなにか……かな?」
「う……うん」
「俺はその、警備係りという者なんだが……お母さんとお父さんを探しにいこう?」
すると、女の子は震えながら首を横に振った。
「知らない人に付いていったらダメって……ママ言ってたもん」
……困った、この子変にしっかりしてるなぁ。これだと町内会のテントまで連れていくのも難しいか……
俺がどうしたものかと悩んでいると、カランコロンと下駄を鳴らしてリンコ先輩がやって来た。
「えっ?あーくん……それは犯罪だよ」
リンコ先輩は開口一番とんでもないことを言い出したので、きちんと説明をしてあげた。
すると、リンコ先輩は女の子の目線と同じ高さまでしゃがんで巾着から出したあめ玉を女の子に渡した。
「えっと、お姉さんにお名前教えてくれると嬉しいな」
「ともちゃん4しゃいです」
「おお~ともちゃんはしっかりしてるね。ところで、ともちゃんは今日一人で来たの?」
「ううん、ママとしおりおねえちゃんときたの……でもとちゅうでいなくなって」
「そっか、それは怖かったね。きっとともちゃんのママとおねえちゃんも心配しているだろうから、お姉ちゃんたちと一緒にママとおねえちゃんをさがそっか?」
「うん」
リンコ先輩は女の子の頭を軽く撫でてあげると、手を繋いで立ち上がった。
「それじゃあ、あーくんも手伝ってね」
「……あっ、はい」
「えっと、何か顔に付いてる?」
「いえ、なんかすごいなぁと思いまして……俺には何も出来なかったのに」
すると、リンコ先輩は俺の肩をポンと軽く叩いてきた。
「何言ってるの、あーくんはこの子が困ってることに気が付いたんだから凄いよ」
「…………」
俺はリンコ先輩の言葉に対して何も言えなかった。
「あーくん何突っ立ってるの~?早くともちゃんのママとおねえちゃんを探すよ~」
「わ、分ってますよ!」
俺は慌ててリンコ先輩とともちゃんの隣まで走った。
嬉しそうにりんご飴を食べているのはリンゴちゃん……もとい、リンコ先輩だった。
リンコ先輩は本当に俺にりんご飴を奢ってくれたのだが、自分も欲しくなったようで結局りんご飴をもう一つ買っていた。
「美味しいですけど、これ絶対飽きますよね」
「あ~わかるなぁ。最初は美味しいんだけど、だんだんキツくなるし口の回りがベタベタしてくるしで、全部食べるの苦労するんだよね」
「そう言えば、リンコ先輩って昔大きいりんご飴買っちゃって死にかけてましたもんね」
確か、俺と由依とリンコ先輩がまだ小学生のころ、三人で祭りに来たときそんなことがあった気がする。
「アハハッ!そんなこともあったね~それからだっけ?あーくんが私のことリンゴちゃんって呼び出したのって」
「そう言えばそうでしたね」
「そうそう、他にも由依ちゃんがかき氷の早食い対決で異常に強かったりしたな~」
「アイツ、今でもかき氷めちゃくちゃ早く食いますよ」
「えっ、本当に!?」
俺とリンコ先輩は昔遊んでいたころの話をしながらブラブラ歩いていた。
いくつか屋台をまわったあとのことだった。俺たちが金魚すくいの列に並んでいると、二つ隣の屋台の前で小さな女の子が今にも泣きそうな顔で一人ウロチョロしていた。
「……これは仕方ないか。リンコ先輩ちょっと仕事が出来たんで適当にまわってて下さい!」
「ちょっとあーくん!?」
俺は事前に久遠さんから貰った『警備係り』と書かれた腕章をつけて、出来るだけ愛想よく女の子に話しかけた。
「ま、迷子かなにか……かな?」
「う……うん」
「俺はその、警備係りという者なんだが……お母さんとお父さんを探しにいこう?」
すると、女の子は震えながら首を横に振った。
「知らない人に付いていったらダメって……ママ言ってたもん」
……困った、この子変にしっかりしてるなぁ。これだと町内会のテントまで連れていくのも難しいか……
俺がどうしたものかと悩んでいると、カランコロンと下駄を鳴らしてリンコ先輩がやって来た。
「えっ?あーくん……それは犯罪だよ」
リンコ先輩は開口一番とんでもないことを言い出したので、きちんと説明をしてあげた。
すると、リンコ先輩は女の子の目線と同じ高さまでしゃがんで巾着から出したあめ玉を女の子に渡した。
「えっと、お姉さんにお名前教えてくれると嬉しいな」
「ともちゃん4しゃいです」
「おお~ともちゃんはしっかりしてるね。ところで、ともちゃんは今日一人で来たの?」
「ううん、ママとしおりおねえちゃんときたの……でもとちゅうでいなくなって」
「そっか、それは怖かったね。きっとともちゃんのママとおねえちゃんも心配しているだろうから、お姉ちゃんたちと一緒にママとおねえちゃんをさがそっか?」
「うん」
リンコ先輩は女の子の頭を軽く撫でてあげると、手を繋いで立ち上がった。
「それじゃあ、あーくんも手伝ってね」
「……あっ、はい」
「えっと、何か顔に付いてる?」
「いえ、なんかすごいなぁと思いまして……俺には何も出来なかったのに」
すると、リンコ先輩は俺の肩をポンと軽く叩いてきた。
「何言ってるの、あーくんはこの子が困ってることに気が付いたんだから凄いよ」
「…………」
俺はリンコ先輩の言葉に対して何も言えなかった。
「あーくん何突っ立ってるの~?早くともちゃんのママとおねえちゃんを探すよ~」
「わ、分ってますよ!」
俺は慌ててリンコ先輩とともちゃんの隣まで走った。
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